【2026年度診療報酬改定】腎臓リハビリ「見送り」でも諦めるな ― CKD運動療法を収益化する3つの受け皿と収益シミュレーション



「腎臓リハビリテーション料、新設見送り」

2026年2月13日の中医協答申を見て、腎臓リハビリテーション学会の関係者や透析医療に携わる方々は、一様に落胆したかもしれません。心大血管疾患リハビリテーション料や脳血管疾患等リハビリテーション料と並ぶ、独立した「腎臓疾患等リハビリテーション料」の保険収載 ― これは学会が長年求め続けてきた悲願でした。

でも、ここで立ち止まるのは早すぎます。

答申を丁寧に読み解くと、「独立した点数」は見送られたものの、CKD患者への運動療法を収益化するための3つの受け皿が、実は着々と整備されていることが分かります。しかもそのうちの一つは、前回までの記事で解説した充実管理加算と組み合わせることで、クリニックの年間収益を数十万円単位で押し上げるポテンシャルを持っています。

透析クリニックの方には、受け皿②(透析時運動指導等加算)のPT雇用損益分岐点が直接役立ちます。内科クリニック(かかりつけ医)の方には、受け皿③(地域包括診療加算+充実管理加算)が最大の武器になります。病院のリハビリ部門の方には、受け皿①(リハ・栄養・口腔連携体制加算の再編)が新たな算定機会を開きます。

本記事では、「見送り」の裏側にある設計思想を読み解き、CKD患者への運動療法をどの加算で、どう収益化するかを具体的に整理します。お手元にコーヒーを一杯。少し長めのお付き合いになりますが、「見送り」が「始まり」に変わる瞬間をお見せします。

1. なぜ「独立した腎臓リハビリ料」は見送られたのか

まず、見送りの背景を正確に理解しておきましょう。これは「エビデンスが足りなかった」のではなく、「インフラが足りなかった」のです。

CKD患者への運動療法の有効性は、すでに確立されたエビデンスとして国際的に認められています。サルコペニアやフレイルの進行抑制、透析導入時期の遅延、心血管イベントの抑制 ― いずれも複数のランダム化比較試験やメタアナリシスで示されています。日本腎臓リハビリテーション学会も、これらのエビデンスに基づいて保険収載を強く要望してきました。

しかし、中医協の調査・評価分科会で指摘されたのは、全国約4,500の透析医療施設のうち、専従の理学療法士を配置している施設がごく一部に限られているという現実でした。都市部の大規模病院ではリハビリ部門が充実していても、地方の透析クリニックでは理学療法士がゼロという施設が大半です。

このインフラ格差がある状態で、高い点数の独立した腎臓リハビリ料を新設するとどうなるか。都市部の大規模施設だけが算定し、収益格差がさらに広がる。患者のアクセスは不均衡のまま。厚労省が最も避けたい結果です。

CKMフレームワークへの「統合」という設計思想

ここに、もう一つ重要な設計思想があります。

厚労省は、腎臓を「単独の臓器」として扱うのではなく、心・腎・代謝(CKM)を一体として管理するフレームワークに完全にシフトしています。CKD重症化予防を解説した前回の記事でお伝えしたとおり、米国心臓協会(AHA)が提唱したCKM症候群の概念が国際標準となる中、日本の診療報酬もこの方向に舵を切っています。地域包括診療加算にCKDと慢性心不全が同時に追加されたのは、その明確な証左です。

つまり、腎臓リハビリが「独立しなかった」のは、制度が腎臓を臓器横断的な管理の一部として位置づけたからです。これはネガティブな「見送り」ではなく、より大きな枠組みへの「統合」と読むべきです。

Donabedianモデルで読み解く3つの受け皿

ここで、シリーズを通じて使ってきたDonabedian(ドナベディアン)の質の3次元 ― Structure(構造)、Process(過程)、Outcome(結果)― を使って、3つの受け皿の位置づけを整理しておきましょう。

受け皿

Structure(体制整備)

Process(管理行為)

Outcome(結果評価)

①リハ・栄養・口腔連携加算

多職種配置、カンファレンス体制

入院中の包括的介入

FIM利得(将来の布石)

②透析時運動指導等加算

PT配置、指導プロトコル

透析中の運動指導実施

ADL維持、入院回避

③地域包括+充実管理加算

データ管理体制、指導体制

CKD包括管理+運動指導

eGFR推移データ(2028年度へ)

受け皿①はStructure+Processの評価、受け皿②はProcessの評価、そして受け皿③はProcess+Outcomeへの橋渡し。3つの受け皿は、DonabedianのS-P-Oを「入院→透析→外来」の3フェーズでカバーする設計になっているのです。

この構造が見えると、「見送り」の意味が変わります。制度は「腎臓リハビリ」を否定したのではなく、S-P-Oの全次元で段階的に評価するインフラを先に整えているのです。

2. 受け皿①:リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の再編

何が変わったか

2024年度に120点で新設されたこの加算が、2026年度改定で2段階に再編されました。

区分

点数

位置づけ

加算1

⚠️ 引き上げ(具体的な点数は告示で確定予定)

高い質の多職種連携体制

加算2(入門編)★新設★

⚠️ 新設(具体的な点数は告示で確定予定)

裾野を広げるためのエントリー

さらに重要なのは、対象病棟が大幅に拡大されたことです。✅ 従来は急性期病棟が中心でしたが、2026年度からは地域包括ケア病棟および地域包括医療病棟でも算定可能になりました。

なぜこれがCKD患者の「受け皿」になるのか

CKD患者、特に透析導入前後や急性増悪で入院する患者の多くは、地域包括ケア病棟を経由します。この病棟での入院中に、理学療法士による運動指導、管理栄養士による腎臓食の栄養管理、歯科衛生士による口腔ケアを一体的に提供し、それが加算として評価される。

これは事実上、入院中のCKD患者に対する「腎臓リハビリ」の受け皿です。独立した腎臓リハビリ料ではないけれど、多職種連携という枠組みの中で、運動・栄養・口腔を包括的に提供できる制度設計になっています。

「入門編」加算の設計思想

加算2(入門編)が新設された背景には、行動経済学的な「ナッジ」の発想があります。加算1の施設基準は専従の専門職配置や厳密なカンファレンス実施が求められ、中小規模の病院にはハードルが高い。そこで、まず低いハードルで「多職種連携の枠組み」に参加してもらい、データを蓄積した上で、次期改定で段階的に質的要件を引き上げていく ― 充実管理加算の3段階設計とまったく同じロジックです。

施設基準のポイント:BIからFIMへ

注目すべき実務的な変更が一つ。✅ 施設基準において、従来のBI(Barthel Index)測定の研修に加え、FIM(機能的自立度評価表)の測定に関する内容を含むことが望ましいと明確化されました。

FIMはBIに比べて「認知項目」の評価が含まれており、認知症を合併した高齢CKD患者の自立度をより精緻に測定できます。これは将来的にアウトカム評価(FIM利得に基づく報酬評価)を厳格化するための布石であり、回復期リハビリテーション病棟の実績指数で培われた仕組みが、地域包括ケア病棟にも波及してくることを示唆しています。

告示・通知でここを確認

  • 加算1と加算2の具体的な点数 ⚠️
  • 加算2(入門編)の施設基準の詳細(専従要件がどこまで緩和されるか)⚠️
  • CKD患者への適用に関する特記事項があるか ⚠️
  • 地域包括ケア病棟と地域包括医療病棟での算定要件の違い ⚠️

3. 受け皿②:透析時運動指導等加算の戦略的活用

既存の加算をフルに使う

「独立した腎臓リハビリ料」を待つ必要はありません。既存の透析時運動指導等加算が、透析クリニックにおけるCKD患者の運動療法の直接的な収益源です。

2026年度改定における具体的な点数や算定要件の変更は告示・通知で確定予定ですが、現行制度での運用を前提に、戦略的な活用方法を整理します。

算定の基本構造

透析時運動指導等加算は、透析中の患者に対して理学療法士等が運動指導を行った場合に算定できる加算です。

運用上の留意点:

  • 指導期間:⚠️ 運動指導を開始した日から起算して90日間が限度と見込まれる(告示で確定予定)。保守的に「年1回90日間」と設定すべき
  • 指導体制:✅ 理学療法士、作業療法士、または講習を受けた看護師・臨床工学技士が実施
  • 指導内容:⚠️ 1回20分以上の実施が想定され、医師の指示とカルテ記載が必須(告示で確定予定)

PT1名の新規雇用:損益分岐点はどこか

透析クリニック(外来透析患者100人)を想定して、理学療法士(PT)1名を新規雇用した場合の損益を試算してみます。

コスト面: – PT年収+法定福利費等:約450〜500万円 – 採用・教育コスト(初年度):約50万円 – 年間コスト計:約500万円

増収面(⚠️ 仮定を含む試算 ― 告示後に数字を補正します): – 透析時運動指導等加算:⚠️ 100人に年1回(90日間)の指導で約270万円(告示で確定予定の点数による) – 患者のフレイル予防によるADL維持効果(入院回避、外来維持):💭 推定100万円 – ベースアップ評価料(PT人件費を原資とした加算):⚠️ 推定150万円 – 年間増収計:約520万円

損益分岐点: PTが1日平均15〜20人の指導を行う体制を維持できれば、雇用コストはほぼカバー可能。さらにPTが非透析日に訪問リハや通所リハを担当できる体制があれば、利益率は大きく向上します。

⚠️ 重要な留意事項: この試算は現行制度の点数に基づく仮定を含みます。2026年度改定で透析時運動指導等加算の点数や要件が変更される場合、数字は補正が必要です。告示を確認した上で、改めて精密なシミュレーションをお届けします。

リハ・栄養・口腔連携体制加算との関係

「透析クリニックでリハ・栄養・口腔連携体制加算は取れるのか?」という疑問があると思います。

現時点での判断は、外来透析のみでは対象外の可能性が高いです。この加算は主に入院患者を対象とした評価であり、地域包括ケア病棟等を併設している医療機関のみが算定可能と見込まれます。

ただし、将来的な「外来版連携加算」の新設に備え、管理栄養士とPTが協働するプロトコルを今のうちに作成しておくことは、次期改定への布石として極めて有効です。

4. 受け皿③:地域包括診療加算+充実管理加算の「ダブル活用」

かかりつけ医にとっての最大の武器

3つ目の受け皿は、透析クリニックではなく内科クリニック(かかりつけ医)向けです。

記事①で解説した充実管理加算(✅ 30/20/10点の3段階)と、CKDが追加された地域包括診療加算を組み合わせることで、CKD患者の管理が直接的な収益源になります。

なぜ「運動療法」の受け皿なのか

「地域包括診療加算は運動療法と関係ないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、地域包括診療加算にCKDが追加されたことの意味は、かかりつけ医がCKD患者に対して「包括的な生活指導」を行うことが制度として評価されたということです。

この「包括的な生活指導」には、食事指導(塩分制限、タンパク質管理)と並んで、運動指導が含まれます。日本腎臓学会のCKDガイドライン2024でも、保存期CKD患者に対する適度な運動が腎機能低下の抑制に寄与することが推奨されています。

つまり、かかりつけ医が「CKD患者に運動の重要性を説明し、具体的な運動処方を提示する」という行為は、地域包括診療加算の算定根拠を強化し、さらに充実管理加算のデータ提出要件においても「質の高い管理」の実績として機能するのです。

SGLT2阻害薬×運動療法の「両輪」戦略

ここで、CKD重症化予防を解説した前回の記事で触れたSGLT2阻害薬との接続を深掘りします。

CKD患者に対するSGLT2阻害薬(ダパグリフロジン、エンパグリフロジン等)は、DAPA-CKDやEMPA-KIDNEY試験で腎保護効果が確立されています。一方、運動療法は心血管リスクの低減とフレイル予防に効果を示す。この2つは相補的です。

SGLT2阻害薬が「eGFR低下速度の抑制」という腎機能の守りを担い、運動療法が「ADL維持とサルコペニア予防」という身体機能の攻めを担う。ここからは私見ですが、この「薬物+運動の両輪」でCKD管理に取り組む体制をデータで示せるクリニックが、2028年度改定でのアウトカム評価において最も有利な立場に立てると考えています。

実務的には、充実管理加算のデータ提出で蓄積されるeGFR推移データの中に、「SGLT2阻害薬処方あり+運動指導実施あり」の患者群と「薬物のみ」の患者群を比較できるデータが生まれる。このデータが2028年度改定に向けたエビデンスとなる可能性があります。

慢性腎臓病透析予防指導管理料との連携

糖尿病性腎症を合併するCKD患者に対しては、慢性腎臓病透析予防指導管理料が強力な収益源になります。

この管理料は、医師・看護師・管理栄養士の3職種が連携して、透析導入を遅らせるための個別指導を行った場合に算定できます。指導内容には塩分制限、血圧管理、血糖管理に加えて、運動指導が含まれます。

2026年度改定での具体的な点数変更は告示で確定予定ですが、現行の点数構造(✅ 初回300点、2回目以降250点)を基にすると、糖尿病性腎症20人に月1回算定で年間約72万円の増収が見込めます。

5. 収益シミュレーション ― 2つのモデルケース

モデルケース1:透析クリニック(外来透析患者100人)

項目

最小限の対応

標準的対応

積極的対応

人工腎臓点数改定

⚠️ 減収想定

⚠️ 減収想定

⚠️ 減収想定

透析時運動指導等加算

算定なし

⚠️ 対象患者50人×90日=約135万円

⚠️ 全100人×90日=約270万円

療養・就労両立支援指導料

算定なし

⚠️ 就労患者20人=約48万円

⚠️ 就労患者40人=約96万円

PT新規雇用コスト

なし

なし

△約500万円

ベースアップ評価料

⚠️ 約150万円

年間収益インパクト

⚠️ 減収のみ

⚠️ 約+183万円(減収の補填)

⚠️ 約+16万円(PT雇用コスト控除後)

注: ⚠️ の数字は現行制度の点数に基づく仮定を含みます。人工腎臓の点数引き下げ幅と透析時運動指導等加算の具体的点数は告示で確定予定です。告示後に精密版をお届けします。

透析クリニックの戦略判断: 積極的対応(PT雇用)は初年度の利益インパクトが小さく見えますが、これは「投資」です。PT雇用のROIは3年目以降に本格化する設計です。理由は3つ。①採用・教育コスト50万円は初年度のみ、②非透析日の訪問リハ・通所リハで追加収益を生む体制が2年目以降に稼働、③2028年度改定で腎臓リハビリ独立評価が実現すれば、PT配置施設が先行者利益を得る。

モデルケース2:内科クリニック(生活習慣病患者200人/月、うちCKD合併50人)

項目

最小限の対応

標準的対応

積極的対応

充実管理加算

✅ ティア3(10点)24万円/年

✅ ティア2(20点)48万円/年

✅ ティア1(30点)72万円/年

地域包括診療加算(CKD追加)

算定なし

⚠️ CKD患者25人に算定

⚠️ CKD患者50人に算定

透析予防指導管理料

算定なし

✅ 糖尿病性腎症10人

✅ 糖尿病性腎症20人

外来栄養食事指導料

✅ CKD患者10人

✅ CKD患者25人

✅ CKD患者50人

眼科・歯科連携加算

算定なし

✅ 糖尿病患者10人

✅ 糖尿病患者20人

年間増収額

約46万円

約150万円

約276万円

記事①のシミュレーションとの統合: 記事①で試算した充実管理加算+眼科連携加算の最大76万円に、CKD関連の指導管理料と栄養指導料を加えることで、積極的対応なら年間約276万円の増収ポテンシャルが見えてきます。

「管理の質」と「CKD管理の深さ」の2軸で、周囲のクリニックとの収益格差が静かに広がっていく構造は、記事①で指摘したとおりです。

6. 避けるべき3つの失敗パターン

シリーズの他の記事でもお伝えしてきましたが、「やってはいけないこと」を先に押さえておくと、戦略の精度が上がります。

失敗①:「腎リハが独立するまで待つ」待機戦略

「2028年度に独立した点数がつくだろうから、それまで様子を見よう」。

これが最も危険な選択肢です。理由は3つ。

第一に、待っている間に既存の3つの受け皿で得られるはずの収益を丸ごと逃す。年間100万〜200万円規模の機会損失が2年間蓄積します。

第二に、充実管理加算のデータ提出は早期に始めるほど2028年度のアウトカム評価で有利になる。今から2年分のeGFR推移データを蓄積している施設と、2028年度からデータを出し始める施設では、スタートラインが全く違います。

第三に、2028年度に独立した点数がつく保証はない。インフラ(PT配置率)が改善しなければ、再び見送られる可能性があります。

失敗②:「PT雇用コストだけで判断する」原資不足の罠

「PTを雇っても透析時運動指導等加算だけではペイしない」と判断して投資を見送るパターンです。

これは加算単体のROIだけで判断するという誤りです。セクション5の透析クリニック・シミュレーションで示したように、PTの価値は透析時運動指導等加算の直接収益だけでなく、①非透析日の追加収益(訪問リハ・通所リハ)、②患者のADL維持による入院回避の間接効果、③ベースアップ評価料の原資、④2028年度への布石 ― の4層構造で評価すべきです。

失敗③:「記録なき指導」で算定根拠を失う

運動指導を実施しているのに、カルテに具体的な運動処方の内容と患者の反応を記録していないパターンです。

透析時運動指導等加算も、充実管理加算も、算定根拠はカルテ記載にあります。「運動指導した」の一文ではなく、「週3回のレジスタンストレーニング(○○kg、○○セット)と有酸素運動(透析中エルゴメーター20分、Borg指数11〜13)を処方。患者は○○と反応」レベルの記載が求められます。

特に2028年度のアウトカム評価を見据えると、記録の質が評価の質を決める。今から記載テンプレートを整備し、PTと医師のダブルチェック体制を確立しておくべきです。

7. 6月施行までのToDoリスト

透析クリニック向け

時期

ToDo

関連する受け皿

Now(2〜3月)

透析時運動指導等加算の現行算定状況を確認。算定していない場合、障壁は何か(PT不在?プロトコル未整備?)を特定

②透析時運動指導

 

PT採用の意思決定。求人開始(採用まで最短2〜3ヶ月)

②透析時運動指導

 

療養・就労両立支援指導料の対象患者(就労中の透析患者)をリストアップ

②周辺加算

Next(3月5日〜4月)

告示・通知で透析時運動指導等加算の点数・要件変更を確認

②透析時運動指導

 

運動指導プロトコルを策定(or 既存プロトコルを改定要件に合わせて修正)

②透析時運動指導

 

カルテ記載テンプレートを作成(運動処方+患者反応+効果判定)

②③共通

Final(5月)

スタッフ説明会(看護師・臨床工学技士向け:運動指導の目的と連携フロー)

②透析時運動指導

 

レセプトのテスト算定

全体

 

管理栄養士×PT協働プロトコルの策定(将来の外来版連携加算への布石)

①の将来対応

内科クリニック向け

時期

ToDo

関連する受け皿

Now(2〜3月)

地域包括診療加算の施設基準を満たしているか確認。未取得なら取得手続き開始

③地域包括

 

CKD合併患者のリストアップ(eGFR、アルブミン尿の最新値で層別化)

③充実管理

 

糖尿病性腎症の患者を透析予防指導管理料の対象として選定

③透析予防

Next(3月5日〜4月)

告示・通知で地域包括診療加算のCKD追加要件の詳細を確認

③地域包括

 

充実管理加算のティア要件確定 → 自院が狙うティアを決定

③充実管理

 

CKD患者向けの運動指導パンフレット作成(外来で配布)

③地域包括

Final(5月)

スタッフ説明会(看護師・管理栄養士向け:CKD管理フローと記録方法)

③充実管理

 

眼科・歯科への連携体制を確認(紹介状テンプレート準備)

③周辺加算

 

レセプトのテスト算定

全体

8. 告示・通知でここを確認 ― 記事④の10チェックポイントへの追加

「告示・通知はここを読め」で整理した10のチェックポイントに、本記事から3つのCKDリハ関連チェックポイントを追加します。

#

チェック項目

確認すべき文書

影響度

11

リハ・栄養・口腔連携体制加算の加算1・加算2の点数と施設基準

入院料等施設基準告示

★★★

12

透析時運動指導等加算の点数・要件変更の有無

特掲診療料留意事項通知

★★★

13

慢性腎臓病透析予防指導管理料の点数・対象患者の定義変更

特掲診療料留意事項通知

★★☆

記事④のチェックポイントと合わせて、13項目を3月5日の告示で一気に確認するのが効率的です。

9. 2028年度予測 ― 「心腎連関リハビリテーション」の創設仮説

ここからは私見です。

2028年度改定では、心臓リハビリテーションと腎臓の運動療法を統合した新カテゴリーが創設される可能性があると考えています。

予測①:「心腎連関リハビリテーション料(仮称)」の新設

現在、心臓リハビリと腎臓の運動療法は、「心大血管疾患リハ」と「透析予防指導」という異なる枠組みで運用されています。しかし、CKM症候群フレームワークが国際標準となり、日本でもCKDと心不全が地域包括診療加算に同時追加された以上、この2つを統合する流れは自然です。

循環器内科医と腎臓内科医、理学療法士、管理栄養士を配置する施設基準を条件に、心腎双方の予後を改善させるための統合リハビリテーション料が新設される ― これがCKM管理の最終的なゴールになると予測します。

予測②:アウトカム指標の導入

2026年度にデータ提出(充実管理加算)で蓄積されたeGFRの推移データが、2028年度には「eGFR低下速度の抑制率」というアウトカム指標として評価に組み込まれる可能性があります。回復期リハビリテーション病棟の実績指数と同じ発想です。運動療法を含む包括的管理を行った患者群と、行わなかった患者群での腎機能維持率の差がデータで示されれば、腎臓リハビリの独立した点数化は一気に現実味を帯びます。

予測③:理学療法士の「外来常駐」が標準に

地域包括診療加算でCKDが管理対象に加わったことで、将来的にかかりつけ医の外来に理学療法士が常駐する正当性が制度的に担保されます。理学療法士は「透析室のスタッフ」から「地域のCKMコンシェルジュ」へと役割が拡大し、クリニックの差別化要因になるでしょう。

まとめ ― 「見送り」は終わりではなく、始まりである

2026年度改定における腎臓リハビリの評価を整理すると、以下の構図が見えてきます。

独立した腎臓リハビリ料は「見送り」。しかし、3つの受け皿がすでに用意されている。

受け皿

対象

フェーズ

質の評価軸(S-P-O)

核心

①リハ・栄養・口腔連携

入院患者

入院

Structure+Process

多職種連携の「入門編」

②透析時運動指導等加算

透析患者

透析

Process

PT雇用の損益分岐点を超える

③地域包括+充実管理

外来CKD患者

外来

Process→Outcome

SGLT2×運動の「両輪」で攻める

そして、この3つの受け皿の背後にある設計思想は、臓器別のサイロを壊し、心・腎・代謝を一体として管理するCKMフレームワークの国内実装です。DonabedianのS-P-O全次元を「入院→透析→外来」の3フェーズで段階的に評価するインフラが、今回の改定で整えられた。

見送りを嘆くのではなく、今ある受け皿を使い切る。SGLT2阻害薬と運動療法の両輪でデータを出し、実績を積み、2028年度の心腎連関リハビリテーション料の新設に向けた布石を打つ。それが、2026年度改定を「チャンスに変える」戦略です。

🎧 耳で聴きたい方はこちら
理解を深めるために、音声でもお楽しみいただけます(約18分)

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