心血管イベントを予測する為のディップスティック蛋白尿スクリーニングの役割



PubMed URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32248254

タイトル:Role of dipstick proteinuria for predicting cardiovascular events: a Japanese cardiovascular hospital database analysis.

<概要(意訳)>

ディップスティック(UDT)による蛋白尿を初診時にスクリーニングすることは、患者の臨床転帰の予測に有効かもしれない。

心臓血管研究所の受診患者データを登録している心研データベースにおいて、2004~2010年の間の初診時にUDTにより尿蛋白をスクリーニングした患者(n = 7131)を、3群【陰性(-)、微量(±:15 mg/dL)、陽性(1+:30 mg/dL, 2+:100 mg/dL, 3+:300 mg/dL, 4 +:1000 mg/dL】に分けて、5年以内の臨床転帰を分析した。

3.4年間の平均追跡期間中に、233人(3.1%)の死亡、255人(3.6%)の心不全(HF:NYHAクラス≧Ⅱ)、106人(1.5%)の虚血性脳卒中(IS)のイベントが発生していた。蛋白尿の増加に伴い、アテローム血栓症リスクの有病率は増加していた。

全ての原因による死亡、HFおよびISイベントの発生率は、蛋白尿の増加に伴い有意に増加した(ログランク検定、トレンドP値< 0.001)。

多変量解析により、陽性(1+ ~ 4+)群では、全死亡[HR:1.50(95%CI:1.07–2.10)]、HF[HR:1.55、(95%CI :1.14–2.12)]、およびIS[HR:2.08、(95%CI: 1.26〜3.45)]は、独立した関連性があった。

微量(±)群でも、HF[HR:1.64、(95%CI :1.07–2.53)]およびIS[HR:2.17、(95%CI :1.14–4.11)および全死亡[HR:1.56、(95%CI :0.99–2.47)]は、独立した関連性があった。

CKD有無のサブ解析においてCKD患者では、蛋白尿の増加に伴い、全死亡、HF、およびISの発生率が明らかに増加した(ログランク検定、トレンドP値はそれぞれ、<0.001、<0.001、= 0.003)。ただし、非CKD患者では、HF発症リスクで同様の傾向が観察されたが、全死亡およびISでは、微量タンパク尿を超える陽性タンパク尿の発症リスクは認められなかった。

利便性と費用対効果を考慮すると、ディップスティック蛋白尿スクリーニングは、患者のイベントリスクを評価するための有用なツールである。

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