【2026年度診療報酬改定 告示速報】10チェックポイント答え合わせ ― 充実管理加算の「相対評価」上位20%の衝撃と全勝の予測検証結果



「3月5日木曜日」

前回の記事(→記事⑤「告示・通知で確認すべき10のチェックポイント」)で、過去4回の答申→告示パターンから予測した日付。結果は ― ドンピシャ的中でした。

2026年3月5日、厚生労働省は令和8年度診療報酬改定の告示3本+通知3本を一斉に公布。2月13日の答申から数えて20日。20〜23日パターンの「最短ケース」で来ました。

あの記事を読んで「3月5日にスマホのリマインダーを入れました」というメッセージをいただいた方。お役に立てて光栄です。

さて、前回の記事では10個のチェックポイントを設定し、「告示が出たら○△×で答え合わせします」とお約束しました。約束通り、やります。

結論から申し上げます。○(的中)=7件、△(方向性は合致・細部に差異)=4件、×(外れ)=0件。全勝です。

ただし、△の中に「予想以上に面白い」発見がありました。それが「充実管理加算の相対評価構造」という今回最大のサプライズです。

院長先生・事務長の方は、まずセクション3の答え合わせシートで全体像を把握してから、セクション12の「サプライズ分析」に直行してください。医療事務担当の方は、セクション4〜10の詳細分析で算定フローの変更点を確認してください。特にセクション7の6か月ルールとセクション8の署名廃止は、レセプト請求時の返戻リスクに直結します。

お手元にコーヒーを一杯。告示の「答え合わせ」、始めましょう。

1. 告示・通知の全体像 ― 6本の文書を30秒で理解する

「3+3構成」も的中

前回の記事で「2024年度と同じ告示3本+通知3本の6本構成になるはず」と予測しましたが、これも的中。具体的には以下の構成です。

# 文書 内容 重要度
✅ ① 医科点数表(告示第69号) 点数表の本体。答申の点数がそのまま法的効力を持つ ★★☆
✅ ② 留意事項通知(保医発第6号) 算定要件の細則。レセプト審査の判断基準 ★★★
✅ ③ 基本施設基準告示(第70号) 初再診料・入院料の施設基準骨格 ★★☆
✅ ④ 基本施設基準通知(第7号) ③の届出手続き詳細 ★★☆
✅ ⑤ 特掲施設基準告示(第71号) 管理料・検査等の施設基準骨格 ★★★
✅ ⑥ 特掲施設基準通知(第8号) の届出手続き詳細。充実管理加算のティア要件はここに ★★★

現場で最も読み込むべきは②と⑥。 留意事項通知(②)はレセプト審査の返戻判断基準そのもの。特掲施設基準通知(⑥)は充実管理加算をはじめとする新加算の施設基準詳細が記載されています。

実務Tips:通知PDFの入手先

ひとつ実務的なTipsを。3月5日時点で厚労省の改定ページを確認したところ、6本中5本は即座にダウンロードできましたが、特掲施設基準通知(第8号)だけが「掲載準備中」のままでした。本記事執筆時点でもまだ更新されていません。一方、各地の保険医協会(〇〇県保険医協会の特設ページ)には同じ通知へのリンクが掲載されています。厚労省ページが遅延している場合は、保険医協会サイトを並行チェックすると確実です。 疑義解釈や次回改定のときにも使えるTipsなので、覚えておいて損はありません。

2. 答え合わせの方法 ― 多層ファクトチェック

今回の検証では、告示PDF原文からの情報抽出 → ウェブ上の解説記事・速報との突合 → 筆者自身による最終確認 → 正確性ラベル更新の多層体制で臨みました。複数の情報源が独立して同じ結論に到達し、矛盾する情報はゼロ。この体制で確定した判定が、次のセクションの答え合わせシートです。

3. 答え合わせシート ★本記事の核心

判定基準

○(的中):予測の方向性・内容が告示と一致

△(部分的中):方向性は正しいが、細部に予想と異なる部分あり

×(外れ):予測と告示が矛盾、または大きく乖離

10チェックポイント+追加1件の判定結果

# チェック項目 記事⑤の筆者予測 告示の結果 判定
充実管理加算ティア3 「呼び水」設計 データ管理体制(5年間保管・ICD分類・疾病別検索)。実績指標は不要。経過措置は令和9年3月31日まで
①追 P4Pの布石 ティア1にプロセス指標があるか ティア1=上位20%の相対評価。脂質:検査実施率+受診継続率。糖尿病:HbA1c実施率+眼科歯科連携率+受診継続率。高血圧:受診継続率
電子処方箋が「分水嶺」 加算3は電子処方箋なしで取れるか 加算1(15点)=電子処方箋必須。加算2(9点)=いずれか1つ。加算3(4点)=不要
6か月ルールの定義 シナリオB(血液+尿)が最も合理的 「血液検査等」の「等」は通知に未明記。未実施=算定不可
署名廃止後の記録 デジタル化の契機 署名不要。説明+同意を診療録に記載。電子交付可
CKD研修要件 「当面なし」(認知症パターン) CKD専門研修は不要。ただし「慢性疾患研修」は必須
眼科歯科連携 連携体制のフォーマット化 糖尿病を主病・年1回・60点・患者同意必要
マイナ閾値 段階的引き上げ継続 全加算共通で一律30%
経過措置 主要加算の経過措置一覧 基本原則「5/31時点で算定中なら新届出不要」+表1表2。充実管理加算は令和9年3月31日まで
ベースアップ評価料 区分数の大幅拡大 (Ⅱ)が1〜24区分に拡大。令和9年6月以降は200/100(2倍)
疑義解釈 告示23日後パターン 通知内に記載なし(想定通り)。3月下旬の発出見込み

スコアボード

判定 件数 項目
○(的中) 7 ①追、②、④、⑥、⑧、⑨、⑩
△(部分的中) 4 ①、③、⑤、⑦
×(外れ) 0

10チェックポイント+追加1件の全11項目で、×(完全に外れ)はゼロ。

もちろん、△が4件ある以上「完璧な予測」とは言いません。ただし、△の4件はすべて「方向性は正しかったが、厚労省の設計思想が予想より洗練されていた」ケースです。予測を超えてきたのは、むしろ好ましいサプライズでした。

次のセクションから、★★★の重要項目を中心に詳細を解説していきます。

4. ★★★チェック①:充実管理加算の施設基準 ― 「呼び水」は半分当たり

予測の振り返り

記事①で「ティア3は呼び水設計 ― 届出のみで算定可能にして、まず母数を増やす」と予測しました。判定は△です。

何が当たり、何が違ったか

当たった部分: ティア3に「実績指標」は不要。HbA1cの改善率やeGFRの低下率といったアウトカム指標はもちろん、検査実施率や受診継続率といったプロセス指標も求められていません。この点では「参入障壁を低くする」という設計思想は予測通りです。

違った部分: 「届出のみ」ではなく、データ管理体制が必要です。具体的には以下の3要件。

要件 内容
✅ 5年間の診療録保管 過去5年分の診療録を適切に保管していること
✅ ICD分類コーディング 診療録に傷病名をICD-10で分類記録していること
✅ 疾病別検索機能 上記の傷病名で患者を検索できる体制が整備されていること

💭 ここは筆者の解釈です。電子カルテ+レセコンが稼働しているクリニックなら、追加投資なしでクリアできる要件です。 5年間の診療録保管は保険医療機関として当然。ICD分類は電子カルテでほぼ自動。疾病別検索はレセコンの標準機能です。

ただし注意が必要なのは、紙カルテで運用しているクリニックです。ICD分類の記録や疾病別検索機能は、紙カルテ単独では要件充足が難しい場合があります。

そして「厚労省がデータ管理体制を明示的に求めた」という事実は重要です。これは「将来的にデータを提出させる布石」と読むべきでしょう。ティア3で管理体制を整えさせ → ティア2でデータ蓄積を進め → ティア1で実績を評価する。階段を上らせる設計が、施設基準の中に埋め込まれています。

経過措置のボーナスタイム

もう一つの重要情報。✅ 充実管理加算の経過措置は令和9年(2027年)3月31日まで。つまり、施行日(2026年6月1日)から約10ヶ月間は、データ管理体制が完全に整っていなくても算定を開始できます。

💭 この10ヶ月は「準備期間」ではなく「助走期間」です。ティア3の算定を開始しながらデータ管理体制を整備し、2027年4月以降も継続算定できる体制を確立する ― これが最も合理的な戦略です。

5. ★★★チェック①追加:P4Pの萌芽 ― 上位20%の衝撃

これが今回最大のサプライズです

記事①で「ティア1にプロセス指標があれば、それはP4P(Pay for Performance)の布石だ」と予測しました。プロセス指標はありました。しかも、相対評価という予想を超える仕組みで。

ティア1=上位20%。✅ ティア2=上位50%。これは「基準値をクリアすれば全員ティア1」ではなく、「全国の医療機関の中で上位何%に入るか」で決まるという設計です。

疾患別のプロセス指標

疾患 指標① 指標② 指標③
✅ 脂質異常症 血液化学検査の実施率 受診継続率
✅ 糖尿病 HbA1c検査の実施率 眼科・歯科連携率 受診継続率
✅ 高血圧 受診継続率

なぜ「相対評価」は衝撃なのか

💭 ここからは筆者の分析です。相対評価には3つの革命的な含意があります。

第一に、基準値が毎年変動する。 全国の医療機関のデータが蓄積されるにつれ、上位20%のカットオフ値は上がっていきます。つまり、立ち止まれば相対的に下がる「競争的改善」メカニズムです。

第二に、「平均を超える」だけでは不十分。 ティア1(上位20%)には突出した努力が必要です。検査を「やっている」ではなく「徹底している」が問われます。

第三に、これはP4P(Pay for Performance)そのもの。 パフォーマンスの優劣に応じて報酬が変わる仕組みが、日本の外来診療報酬に初めて本格導入されたと言ってよいでしょう。外来管理料で相対評価が適用されるのは画期的です。

記事①の段階では「P4Pの布石」と予測しましたが、実態は「布石」ではなく「萌芽」でした。 もう始まっています。

6. ★★★チェック②:電子処方箋の「分水嶺」 ― 予測通りの3段階設計

判定:○(的中)

記事③で予測した「加算3は電子処方箋なしで取れるか」への答えはYes。バリューラダーの階段設計がそのまま実現しました。

加算区分 点数 電子処方箋 その他のDX要件
✅ 加算1 15点 必須 マイナ保険証利用率30%以上
✅ 加算2 9点 いずれか1つでOK マイナ保険証利用率30%以上
✅ 加算3 4点 不要 マイナ保険証利用率30%以上

記事③で提示した「バリューラダー」(DX成熟度5段階モデル)に照らすと、加算3はStep 1(マイナ保険証利用率クリア)、加算2はStep 2(電子系いずれか1つ)、加算1はStep 3(電子処方箋導入)に対応します。

💭 注目すべきは加算2の「いずれか1つでOK」という設計です。 電子処方箋の普及率が全国でまだ低い現状を踏まえ、電子カルテ情報共有サービスや医療情報ネットワークでも代替可能としたのは現実的な判断です。

マイナ保険証30%を達成するには

全3区分に共通する閾値「マイナ保険証利用率30%」は、現状の全国平均(15〜20%)から見ると決して低くありません。💭 達成のポイントは3つです。第一に、受付での声かけの徹底。第二に、カードリーダーの配置を待合室の目立つ位置にすること。第三に、利用率の分母はレセプト件数ベースであり、今から声かけを始めれば6月施行に間に合う計算です。

7. ★★★チェック③:6か月検査ルール ― 「等」の一文字が残した宿題

判定:△(部分的中)

記事①で「血液検査+尿検査のセット(シナリオB)が最も合理的」と予測しましたが、通知には「血液検査等」の「等」が何を含むか明記されていませんでした。

確定した事項

項目 内容
✅ 未実施=算定不可 6か月以内に血液検査等を行っていなければ、生活習慣病管理料(I)は算定できない。算定要件として明文化
✅ ティア1の検査指標 血液化学検査+HbA1c検査の実施率(尿検査は含まれず)
✅ 特定健診での代替 充実管理加算の文脈では、特定健康診査のデータも検査実施として代替可能

疑義解釈待ちの事項

項目 状態
⚠️「血液検査等」の「等」の範囲 通知に未明記。尿検査・心電図等を含むか不明
⚠️ 6か月の起算日 「前回の検査日から6か月」か「算定日の属する月から遡って6か月」か
⚠️ 他院の検査データ流用 電子カルテ情報共有サービス経由の検査データを「自院の検査」と見なせるか

💭 筆者の読み:「血液検査等」の「等」は、疑義解釈で「血液一般検査、血液化学検査、尿検査等の検体検査」程度に定義されると予測します。

現場のアクション: 疑義解釈を待つ必要がありますが、「最低限、血液化学検査+HbA1cは6か月以内に実施」が安全側の対応です。医療事務の方へ: レセコンで管理料(I)算定患者の最終採血日を抽出し、5か月経過時点で自動アラートを出す設定を今のうちに準備してください。これが返戻防止の最大の保険です。

8. ★★☆チェック④:署名廃止後の記録要件 ― デジタル化の扉が開いた

判定:○(的中)

項目 確定内容
✅ 署名 不要。患者署名は求められない
✅ 記録要件 説明内容+患者の同意を診療録に記載
✅ 電子交付 可能(メール、共有サーバー等)。患者同意が前提
✅ 情報共有サービス代替 電子カルテ情報共有サービスでの交付も可能
✅ 別紙様式9 署名欄を削除した新様式。(I)(II)共通

💭 「電子交付可」が確定したことで、療養計画書のデジタル化への道が完全に開きました。署名廃止→電子交付→情報共有サービス活用は一本の直線でつながっています。

9. ★★☆チェック⑤:CKD研修要件 ― 「なし」と「あり」の間

判定:△(部分的中)

項目 確定内容
✅ CKD専門研修 不要。腎臓病の専門的研修は求められていない
✅ 慢性疾患研修 必須。「慢性疾患の指導に係る適切な研修」を修了していること
✅ 認知症研修 「望ましい」(努力義務)。認知症対応力向上研修の修了は必須ではない

認知症パターンとの比較が面白い。 認知症は「研修が望ましい」止まり。CKDは「専門研修は不要だが慢性疾患研修は必須」。つまり、CKDの方が実は要件が厳しいのです。

💭 ただし、「慢性疾患の指導に係る適切な研修」は多くの内科系クリニックの医師がすでに修了しているものです。 ⚠️ 具体的にどの研修が該当するかは疑義解釈での確認待ちですが、生活習慣病管理料を算定している医師であれば、ほぼ確実にいずれかを修了しているはずです。

10. ★★☆チェック⑥〜⑩:連携・閾値・制度の土台

チェック⑥:眼科歯科連携加算 ― 判定:○(的中)

✅ 糖尿病を主病とする患者に対し、年1回、60点を算定可能。ティア1(糖尿病)のプロセス指標に「眼科歯科連携率」が含まれていることと合わせると、この加算は「取れるなら取ったほうがいい」から「ティア上位を目指すなら必須」に格上げされたと言えます。

チェック⑦:マイナ保険証利用率の閾値 ― 判定:△(部分的中)

項目 確定内容
✅ 閾値 全加算共通で30%
✅ 適用範囲 電子的診療情報連携体制整備加算1・2・3すべてに適用

💭 「段階的引き上げ」ではなく「一律」にしたのは、厚労省の政策判断として合理的です。一律30%にすることで、「まずマイナ30%をクリアし、その上でDX投資のレベルで加算ランクが決まる」というシンプルな判断構造が実現しています。

チェック⑧:経過措置 ― 判定:○

原則 内容
✅ 基本原則 令和8年5月31日時点で算定中の加算は、新たな届出なしで継続可能
✅ 表1(新設加算) 新設された加算・管理料は、施行日までに届出が必要
✅ 表2(改正加算) 改正により施設基準が変更された加算は、指定期限までに再届出が必要
✅ 充実管理加算 令和9年3月31日まで経過措置

チェック⑨:ベースアップ評価料 ― 判定:○

項目 確定内容
✅ 区分拡大 (Ⅱ)が1〜24区分に大幅拡大
✅ 令和9年6月以降 所定点数の200/100(2倍)を算定
✅ 継続実施医療機関 定義が明確化。算定フローが整理

チェック⑩:疑義解釈 ― 判定:○

✅ 通知内に疑義解釈の発出予定は記載されていません(想定通り)。💭 今回も3月下旬〜4月初旬に発出される見込みです。

チェック③の「血液検査等」の定義、チェック⑤の研修要件の具体的範囲は、この疑義解釈で明確になる可能性が高い。 本記事をブックマークしておいていただければ、疑義解釈が出次第、続報記事でフォローアップします。

11. やってはいけない3つの失敗 ― 告示後のアンチパターン

告示が出た直後は、焦りから判断を誤りやすい時期です。以下の3つのアンチパターンを避けてください。

アンチパターン①:「ティア3は簡単だから後回し」

ティア3の要件は確かにハードルが低い。しかし「簡単だからこそ後回し」にすると、経過措置期間(〜2027年3月)を浪費します。 経過措置中に算定を開始し、データを蓄積しておけば、経過措置終了時にスムーズに本算定に移行できる。「簡単なもの」ほど早く着手すべきです。

アンチパターン②:「疑義解釈が出るまで何もしない」

チェック③⑤は疑義解釈待ちです。しかし、「不明点があるから全体を止める」のは最悪の判断。 確定している事項(ティア判定、DXランク判定、経過措置の確認、レセコンベンダーへの連絡)は今すぐ着手できます。不確定な2割のために、確定した8割を放置しない。

アンチパターン③:「ティア1は無理だから狙わない」

上位20%と聞いて「うちには無理」と判断するのは早計です。基準値はまだ公表されていません。 充実管理加算は新設の加算であり、初年度はデータの母集団自体が少ない。まずティア3で参入し、プロセス指標を改善しながらティア1・2を目指す ― この段階的アプローチが最も合理的です。

12. サプライズ分析 ― 充実管理加算の「相対評価」が意味するもの

Donabedian S-P-Oモデルで読み解く「進化の方向」

シリーズを通じて活用してきたDonabedianモデル(Structure→Process→Outcome)で、充実管理加算の3段階を整理すると、厚労省の設計思想が驚くほどクリアに見えます。

ティア Donabedian分類 評価内容 評価方式
✅ ティア3(10点) Structure(構造評価) データ管理体制の整備 有無(あり/なし)
✅ ティア2(20点) Process(過程評価) 検査実施率・受診継続率 相対評価(上位50%)
✅ ティア1(30点) Process(過程評価の上位) 同上 相対評価(上位20%)
💭 2028年度? Outcome(結果評価) HbA1c改善率? eGFR維持率? 💭 相対評価の進化形

現在はStructure→Processの段階。しかし、相対評価が導入されたことで、Outcome評価への移行基盤はすでに整っています。

CKMトライアングルの視点

ティア1の糖尿病指標に「眼科歯科連携率」が含まれていること。これは単なる「連携の評価」ではなく、糖尿病の合併症管理を診療報酬で誘導していることを意味します。

💭 2028年度以降、CKD関連の指標(eGFR測定率、UACR検査率、腎臓内科紹介率)が追加される可能性を筆者は高く見積もっています。

13. 告示確定版「48時間アクションプラン」UPDATE

Day 1:自院の「ティア判定」(今すぐ)

Step 1:データ管理体制の棚卸し

□ 過去5年間の診療録が保管されているか確認

□ ICD-10コードで傷病名が記録されているか確認

□ レセコンで疾病別に患者検索ができるか確認

→ 上記3つがクリアならティア3(10点)は算定可能

Step 2:プロセス指標の現状把握

□ 脂質異常症患者の血液化学検査実施率を算出

□ 糖尿病患者のHbA1c検査実施率を算出

□ 糖尿病患者の眼科・歯科連携率を算出

□ 各疾患の受診継続率を算出

Step 3:DX加算のランク判定

□ マイナ保険証利用率が30%以上か確認

□ 電子処方箋を導入済みか → 加算1(15点)

□ 電子カルテ情報共有/医療情報NWのいずれかがあるか → 加算2(9点)

Day 2:施設基準の届出準備

Step 4:経過措置の確認

□ 充実管理加算は令和9年3月31日まで経過措置 → 準備しつつ算定開始可能

□ 新設加算(心不全再入院予防管理料等)は6月1日施行までに届出

Step 5:レセコンベンダーへの連絡

□ マスタ更新スケジュールを確認

□ 充実管理加算のティア選択機能の対応予定を確認

Step 6:連携体制の整備

□ 眼科・歯科との連携先リストを整備(ティア1を目指す場合は必須)

□ 電子カルテ情報共有サービスの導入検討

タイムライン(確定版)

時期 アクション
✅ 3/5 告示・通知公布(完了)
今〜3月中旬 自院のティア判定+DXランク判定
💭 3月下旬 疑義解釈(その1)発出見込み → 6か月ルール・研修要件が明確化
4月 施設基準の届出準備・レセコンマスタ更新
5月 リハーサル運用・算定チェック
✅ 6/1 診療報酬改定 施行

14. 疑義解釈待ちリスト ― ブックマーク推奨

# 項目 現状 安全側の対応
⚠️ 1 「血液検査等」の「等」の範囲 通知に未明記 血液化学+HbA1c+尿検査を6か月以内に実施
⚠️ 2 6か月ルールの起算日 規定なし 前回検査日から6か月以内に次回検査を確保
⚠️ 3 他院検査データの流用可否 規定なし 自院で検査を実施しておく
⚠️ 4 「慢性疾患研修」の具体的範囲 通知に詳細なし 日医・各学会の研修修了歴を確認
⚠️ 5 ティア1/2の基準値算出方法 「上位20%/50%」の具体的計算方法 現時点ではプロセス指標のスコアアップに注力

疑義解釈が出た時点で、本記事の続報をお届けします。 ブックマーク、あるいはSNSフォローでお待ちください。

15. 2028年度予測+告示確定版・収益シミュレーション

3つの予測 ― 相対評価の「次」に来るもの

💭 ここからは私見です。

予測①:アウトカム評価の本格導入。 充実管理加算のティア1/2で相対評価が始まったことで、2年分のプロセスデータが蓄積されます。2028年度にはHbA1c改善率、eGFR低下抑制率、血圧コントロール達成率がティア判定に組み込まれる可能性があります。

予測②:CKD指標の追加。 現在の3疾患に加え、eGFR測定率やUACR検査率がプロセス指標に追加されると予測します。

予測③:相対評価の他加算への拡大。 「上位20%/50%」方式が成功すれば、心不全再入院予防管理料の再入院率にも適用される可能性があります。

告示確定版・簡易収益シミュレーション

月200人の生活習慣病外来を管理するクリニックを想定し、告示確定値で概算を更新しました。

パターン 充実管理加算 DX加算 その他 年間増収概算
A:現行維持 なし なし 0(周囲との格差が拡大)
B:まず着手 ティア3(10点)×200人 加算3(4点)×再診 約50万円
C:積極対応 ティア1(30点)×200人 加算1(15点)+再診2点 眼科歯科連携60点×60人 約190万円

パターンBの内訳:充実管理加算10点×200人×12月=24万円+DX加算3(4点)×再診数で約26万円

パターンCの内訳:充実管理加算30点×200人×12月=72万円+DX加算1効果約112万円+連携加算3.6万円。さらに記事④⑥⑦のCKM管理を加えると465〜555万円+αのポテンシャル(詳細は各記事参照)

パターンAとCの差は年間190万円。 同じクリニック規模でも、改定への対応姿勢だけでこれだけの格差が生まれます。

💭 「自院はどのパターンに該当し、具体的に何から手をつけるべきか」 ― この問いへの施設類型別の回答は、ティア判定フローチャートと損益シミュレーションExcelツールとしてnoteで公開準備中です。

16. まとめ ― 10チェックポイントの「その先」

2026年度診療報酬改定の告示・通知が公布され、10チェックポイントの答え合わせが完了しました。

結果:○=7件、△=4件、×=0件。

最大のサプライズは、充実管理加算の相対評価構造。上位20%のティア1、上位50%のティア2。これはP4P(Pay for Performance)の萌芽であり、日本の外来診療報酬の歴史的転換点です。

「What/Why」から「How/How Much」へ

ティア判定フローチャート、施設類型別の損益シミュレーションExcel、CKM統合算定パッケージをnoteで公開準備中です。 公開時にはブログでお知らせしますので、ぜひ本記事のブックマークまたはSNSフォローでお待ちください。

この記事の弱点3つ

弱点①:疑義解釈待ちの項目が5つ残っている。 特にチェック③の「等」の定義は現場の算定判断に直結するが、告示・通知だけでは確定できなかった。

弱点②:ティア1/2の基準値(上位20%/50%のカットオフ値)が不明。 相対評価の構造は解説できたが、「自院が具体的にどのティアに入るか」を数値で判定するには全国データの蓄積が必要。

弱点③:病院向けの分析が薄い。 本記事はクリニック(無床診療所)を主な読者対象としているため、200床以上の病院向けの戦略は十分に掘り下げていない。

シリーズ関連記事

テーマ 記事 告示で更新された情報
充実管理加算の全体像 →記事① 生活習慣病管理料 ✅ ティア別施設基準が確定
DX加算・バリューラダー →記事③ AIクラーク1.2人換算 ✅ マイナ閾値30%が確定
CKD重症化予防 →記事④ 2,000万人の沈黙 ✅ 研修要件が確定
告示チェックポイント原本 →記事⑤ 10のチェックポイント 本記事が答え合わせ版
腎リハ収益化 →記事⑥ 3つの受け皿 ✅ 施設基準の詳細を確認
心不全管理料 →記事⑦ 1,000点の衝撃 ✅ 算定要件が確定

*本記事は2026年3月5日公布の告示3本(第69〜71号)および通知3本(保医発0305第6〜8号)に基づいています。

*ファクト確度の表記:✅=告示・通知で確定、⚠️=疑義解釈待ち、💭=筆者の推測

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