PubMed URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32235468
タイトル:The Optimal Range of Serum Uric Acid for Cardiometabolic Diseases: A 5-Year Japanese Cohort Study.
<概要(意訳)>
背景:
健康集団における心血管代謝性疾患の発症リスクが最も低い血清尿酸値の至適範囲は、まだ明らかでない。5年間のコホート研究を行い、血清尿酸値の至適範囲を特定した。
対象と方法:
2004年から2009年における聖路加国際病院予防医学センターの13,070人(30~85歳、日本人)データを収集した。
血清尿酸値1 mg/ dL低下毎における5年間の高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎疾患(CKD)の罹患者数(および罹患率)を調査した。
さらに、これらの疾患に罹患しないオッズ比(OR)は、複数の因子を補正して求めた。
結果:
低尿酸血症(男性:3mg/dL未満、女性:2mg/dL)を除いて、血清尿酸値の低下は、高血圧、脂質異常症、CKDを罹患しない独立した予測因子であったが、糖尿病は独立した予測因子ではなかった。
高血圧、脂質異常症、およびCKDの保護因子としての血清尿酸値1mg / dL低下毎のオッズ比は、男性で1.153(95%CI、1.068-1.245)、1.164(1.077-1.258)、および1.226(1.152-1.306)、 女性で1.306(1.169-1.459)、1.121(1.022-1.230)、1.424(1.311-1.547)であった。
さらに、男性(3〜5 mg / dL)と女性(2〜4 mg / dL)の血清尿酸値を比較すると、女性においては、低尿酸血症が高血圧(OR:4.532; 0.943-21.78)およびCKD(OR:4.052; 1.181 -13.90)の発症リスクとなる可能性が示唆された。
結論:
心血管代謝性疾患の発症リスクが最も低い血清尿酸値の最適範囲は、男性で5 mg / dL未満、女性で2〜4 mg / dLであった。
【参考情報】
血清尿酸値の正常値は?:https://www.tufu.or.jp/gout/gout2/61.html