糖尿病合併COVID-19患者の院内死亡に対する危険因子と臨床特徴



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32409504/ 

タイトル:Clinical Characteristics and Risk Factors for Mortality of COVID-19 Patients With Diabetes in Wuhan, China: A Two-Center, Retrospective Study

<概要(意訳)>

背景:

COVID-19患者は、糖尿病罹患率が高く、予後が悪い。

本研究では、糖尿病合併COVID-19患者の院内死亡に対する危険因子と臨床特徴を調査した。

方法:

2020年1月1日~3月8日までに、武漢における2施設(中南病院、人民病院)の病院で退院または死亡した糖尿病合併COVID-19患者(N=153)を後ろ向きに調査した。

全体のCOVID-19患者の内、糖尿病合併COVID-19患者と年齢と性別が一致する糖尿病非合併COVID-19患者を無作為に選択し、患者背景、検査データ等を抽出した。

Cox比例ハザード分析により、これらの患者の死亡率に関連する危険因子を特定した。

結果:

1,561人のCOVID-19患者の内、153人(9.8%)が糖尿病を合併しており、年齢の中央値は64.0(四分位範囲:56.0〜72.0)歳であった。

糖尿病合併COVID-19患者(N=153)は、糖尿病非合併COVID-19患者(N=153)と比較し、集中治療室への入院の割合が高く(17.6% vs 7.8%、p=0.01)、院内死亡率が高く(20.3%vs 10.5%、p=0.017)、退院した割合が低かった(79.7% vs 89.5%、p=0.017)。

多変量Cox回帰分析による、合計306人のCOVID-19患者の院内死亡リスクは、高血圧[HR:2.50、95%CI(1.30–4.78)]、心血管疾患[HR:2.24、95%CI(1.19–4.23)]、および慢性閉塞性肺疾患[HR:2.51、95 %CI(1.07–5.90)]は、独立した関連があったが、糖尿病[HR:1.58、95%CI(0.84–2.99)]には、その関連が認められなかった。

また、多変量Cox回帰分析による、糖尿病非合併COVID-19患者(N=153)の院内死亡リスクは、70歳以上[HR:5.87、95%CI (1.88–18.33)]と独立した関連があった。

糖尿合併COVID-19患者(N=153)の院内死亡リスクは、70歳以上[HR:2.39、95%CI (1.03–5.56)]と高血圧[HR:3.10、95%(1.14–8.44)]と独立した関連があった。

糖尿病合併COVID-19患者における非生存者(院内死亡)は生存者(退院)と比較して、高齢(76.0歳 vs 63.0歳)で、男性が多く(71.0% vs 43.4%)、高血圧(83.9% vs 50.0%)、心血管疾患(45.2% vs 14.8%)の併発率が高く、Dダイマー値(2,545,0 mg/L vs 495.0mg/L)が高く、呼吸困難(54.8% vs 28.7%)を訴え、Spo2(89.0% vs 97.0%)が低値を示す等の特徴があった(全てのp<0.005)。

結論:

糖尿病合併COVID-19患者は、性別と年齢が一致した糖尿病非合併COVID-19患者と比較して、院内死亡率が高かった(Log-rank p=0.021)。

COVID-19患者の院内死亡リスクは、糖尿病は独立した関連が認められなかったが、「高血圧、心血管疾患、慢性閉塞性肺疾患」は独立した関連があった。

糖尿病合併COVID-19患者の院内死亡リスクは、「高血圧と高齢(70歳以上)」に独立した関連があったのに対し、糖尿病非合併COVID-19患者では、「高齢(70歳以上)」に独立した関連があった。

これらのリスクが高いCOVID-19患者には、早期モニタリングと支持療法が必要となるだろう。

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