2型糖尿病発症リスクに基づく民族固有のBMIカットオフ値



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33989535/ 

タイトル:Ethnicity-specific BMI cutoffs for obesity based on type 2 diabetes risk in England: a population-based cohort study

<概要(意訳)>

背景:

非白人集団における2型糖尿病などの肥満関連の合併症を予防する為に、国内外で推奨しているBMIのカットオフ値には疑問が残る。

本研究では、白人集団におけるBMIのカットオフ値(≥30kg/m)と2型糖尿病発症リスクが同等となる民族固有の肥満患者におけるBMIカットオフ値を前向きに調査した。

方法:

この人口ベースの前向きコホート研究では、イギリスにおける一般開業医の診療記録にリンクされている臨床診療研究データを使用した。

対象となる被験者は、18歳以上で、2型糖尿病の既往がなく、BMIが15.0~50.0 kg/m、民族性データを有し、1990年9月1日~2018年12月1日の間に、少なくとも1年間の追跡データが診療所に登録されていた。

2型糖尿病の患者は、電子カルテからCALIBER表現型アルゴリズムを使用して特定した。

民族性は、自己申告により、5つの主要カテゴリーに分類された。

BMIの分数多項式を使用し、年齢と性別で調整した負の二項回帰モデルに、2型糖尿病を発症した民族を適合された。

結果:

被験者1,472,819例の内、白人は1,333,816例(90.6%)、南アジア人は75,956例(5.2%)、黒人は49,349例(3.4%)、中国人は10,934例(0.7%)、アラブ人は2,764例(0.2%)であった。

追跡期間の中央値6.5年(IQR 3.2-11.2年)の間に、97,823例(6.6%)が2型糖尿病と診断された。

 

白人集団のBMIカットオフ値30kg/mと2型糖尿病の発症リスクと同等なBMIカットオフ値は、各民族で、それぞれ、

南アジア:23.9(95%CI 23.6-24.0)kg/m

黒人:28.1(95%CI 28.0-28.4)kg/m

中国人:26.9(95%CI 26.7-27.2)kg/m

アラブ人:26.6(95%CI 26.5-27.0)kg/m

となった。

Lancet Diabetes Endocrinol. 2021 May 11; S2213-8587(21)00088-7.

また、白人集団のBMIカットオフ値25kg/mと2型糖尿病の発症リスクと同等なBMIカットオフ値は、各民族で、それぞれ、

南アジア:19.2(95%CI 18.9-19.3)kg/m

黒人:23.4(95%CI 23.2-23.6)kg/m

中国人:22.2(95%CI 22.0-22.4)kg/m

アラブ人:22.1(95%CI 21.8-22.0)kg/m

となった。

Lancet Diabetes Endocrinol. 2021 May 11; S2213-8587(21)00088-7.

結論:

各民族集団における2型糖尿病の予防、早期診断、管理を最適化するには、民族固有のBMIカットオフ値の改定が必要であることが示された。

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