日本人一般集団におけるCKD発症に対する高血圧と糖尿病の影響



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36171326/   

タイトル:Impact of hypertension and diabetes on the onset of chronic kidney disease in a general Japanese population

<概要(意訳)>

背景:

高血圧と糖尿病は、いずれも慢性腎臓病 (CKD) の主要な危険因子である。

しかしながら、一般集団におけるCKD発症に対する高血圧、糖尿病、高血圧および糖尿病の影響を調査した研究はほとんどない。

本研究では、高血圧と糖尿病のどちらが日本人一般集団におけるCKD発症に影響するかを調査した。

 

方法:

日本では、2008年4月に特定健診・特定保健指導が開始された。

これは、メタボリックシンドロームの発症を管理することにより、40~74 歳の心血管疾患を予防することを目的としている。

本研究では、大阪府羽曳野市で実施された特定健康診査(特定健診)のデータを使用した。

2013年度に特定健診を受診した羽曳野市内の住民8,704例を対象とした。

特定健診でCKDと診断された日、または2018年3月末日まで、経過観察を行った。

8,704例の内、CKD を罹患していた1,020例、脳卒中または心臓病の既往のある662例、ベースラインのデータが不完全な59例、2013年(ベースライン)に特定健診を受けたが、その後4年間、特定検診を受けなかった1,140例は除外された。

したがって、残りの5,823例(男性 2,166例、女性 3,657 例) が分析対象となった。

 

結果:

5,823例の内、3,073例(男性989例、女性2,084例)は「高血圧(HT)および糖尿病(DM)

の罹患なし(None)」、2,183例(男性862例、女性1,321例)は「高血圧(HT)」、258例(男性141例、女性117例)は「糖尿病(DM)」、309例(男性174例、女性135例)は「HT + DM」に分類された。

「None」のグループは、他の3つのグループよりも、比較的若く、BMIが低かった。

脂質異常症の有病率は、「None」グループで最も低く、「HT+DM」グループで最も高かった。

 

平均追跡期間3.0年の間に、合計17,695例(男性6,370例、女性11,325例)の内、759例の新規CKDが発症した。

 

「None」のグループと比較した、全体におけるCKD発症のハザード比[HR(95%CI)]は、それぞれ、

「HT」:1.56 (1.33–1.83)

「DM」:1.22 (0.86–1.75)

「HT+DM」:2.83 (2.22–3.63)

となり、「高血圧」、「高血圧および糖尿病」を罹患したグループは、CKD発症に有意な関連が示された。

一方で、「糖尿病」を罹患したグループは、CKD発症に有意な関連は示されなかった。

この結果は、男女別の性差においても一貫した傾向が示された。

 

CKD発症に対する人口寄与危険割合(PAF:人口に対してリスクの占める割合を考慮した

指標)は、「高血圧」で16.4%、「糖尿病」で0.8%、「高血圧+糖尿病」で7.2%であり、「高血圧」が最もPAFが高かった。

Hypertens Res. 2023 Feb;46(2):311-320.

65歳未満において、CKD発症に有意な関連が示されたのは、「全体」および「男性」の「高血圧」、「糖尿病」、「高血圧および糖尿病」を罹患したグループであった。

一方で、「女性」においては、「高血圧および糖尿病」を罹患したグループのみがCKD発症と有意に関連していた。

 

65歳以上において、CKD発症に有意な関連が示されたのは、「全体」、「男性」および「女性」の「高血圧」、「高血圧および糖尿病」を罹患したグループであった。

「糖尿病」の罹患は、全てのグループでCKD発症と有意な関連を示さなかった。

Hypertens Res. 2023 Feb;46(2):311-320.

結論:

日本人一般集団において、高血圧は糖尿病よりも、CKD発症の強力な危険因子であることが分かった。

CKD予防には、糖尿病の管理と同様に高血圧の管理が重要であることが示された。

 

Sponsored Link




この記事を書いた人