PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35670067/
タイトル:Prognostic Implications of N-terminal Pro-B Type Natriuretic Peptide and High-Sensitivity Cardiac Troponin T in EMPEROR-Preserved
<概要(意訳)>
背景:
NT-proBNP(N末端プロBNP)とhs-TnT(高感度心筋トロポニンT)は、HFpEF患者の重症度と転帰に関連している。
本研究では、EMPEROR-Preserved試験において、これらのバイオマーカーと臨床転帰の関連を評価した。
方法:
被験者5,988例の内、NT-proBNPとhs-TnT のデータが利用可能であったのは、5986人(99.9%)と5825人(97.3%)であった。
ベースライン特性は、バイオマーカーの四分位数により表示した。
NT-proBNPの場合、「Q1:<499 ng/L、Q2:499~<974 ng/L、Q3:<1,731 ng/L、Q4:≧1,731 ng/L」とした。
hs-TnT の場合、「Q1:<11.6 ng/L、Q2:11.6~<17.8 ng/L、Q3:17.8~<27.0 ng/L、Q4:≧27.0 ng/L」とした。
エンパグリフロジン(SGLT2阻害薬)の臨床転帰[初発の心血管死または心不全による入院、心不全による総入院(初発と再発)、初発の心血管死、初発の心不全による入院、初発の腎複合転帰、eGFRの低下率]に及ぼす影響を各バイオマーカーの四分位数で評価した。
結果:
ベースラインにおけるNT-proBNPとhs-TnTは、併存疾患および心不全の重要度に比例して高値を示していた。
心腎イベントの発生率は、NT-proBNPまたはhs-TnTの四分位数のQ4/Q1で2~5倍であった。
エンパグリフロジンは、ベースラインのNT-proBNPまたはhs-TnTの値に関わらず、全体の結果と一貫して心血管イベントのリスクを低減することが示された。
eGFRの低下率においても、同様であった。
エンパグリフロジン治療により、NT-proBNPは適度に低下し、100週間でのプラセボとの平均差は7%であった。
ベースラインから12週におけるNT-proBNPの増加は、心血管死または心不全による入院のリスクと強い関連があった。
JACC Heart Fail. 2022 May 25;S2213-1779(22)00302-X.
結論:
HFpEF患者の臨床転帰に対するエンパグリフロジン(SGLT2阻害薬)のベネフィットは、ベースラインのNT-proBNP(N末端プロBNP)とhs-TnT(高感度心筋トロポニンT)に関わらず一貫していることが示された。
エンパグリフロジンは、HFpEF患者のNT-proBNPを適度に低下させた。