在宅療養患者の退院後における支援と診療・介護報酬



医師や看護師が常にそばについている病院から、家族しかいない自宅に戻るとなると利用者(患者)や家族は不安になるものである。

そのため、退院当初は訪問診療や訪問看護の回数を通常より多めに設定し、利用者や家族が療養生活に慣れてきたら、徐々に訪問回数を減らしていく。

原則として、退院日には訪問看護は行えないが、例外的に訪問できるケースがある。

<入院医療機関の場合>

退院後訪問指導料 580点

厚生労働大臣が定める状態等別表第8に該当する利用者、認知症又は認知症の症状を有し、日常生活を送る上で介助が必要な状態の利用者(患者)に対しては、退院後1ヶ月以内に限り5回まで算定(退院日は除く)できる。

また、在宅療養を担う訪問看護ステーション又は他の保険医療機関の保健師、助産師、看護師又は准看護師と同行し、必要な指導を行った場合は、訪問看護同行加算として、退院後1回に限り、20点を加算することができる。

<在宅医の場合>

在宅患者訪問診療料(算定できる要件が異なる)

往診料 720点(各種加算は施設分類によって異なる)

計画的な医学管理の下、定期的に患者の家に出向いて診療することである。

カレンダーなどで訪問日を患者にあらかじめ伝えているのが、この訪問診療(診療報酬名:在宅患者訪問診療料)である。

患者の状態が急変した時など、患者や家族から依頼があって予定外で訪問するのは往診(診療報酬名:往診料)となる。

医療機関と患者の所在地が16kmを超える場合は、在宅患者訪問診療料と往診料ともに算定できない。

ただし、患家周囲に往診を行う医療機関がない、専門的な対応ができる医療機関がない等の場合は算定できる。

在宅患者訪問診療料は、下記の如く、算定できる要件が異なる。

在宅患者訪問診療料

(1日につき)

在宅患者訪問診療料Ⅰの1

同一建物居住者以外の場合 888点

同一建物居住者の場合 213点

※通常の訪問診療の際に在宅主治医が算定する

 

在宅患者訪問診療Ⅰの2

同一建物居住者以外の場合 884点

同一建物居住者の場合 187点

※在宅主治医以外の医師が主治医の依頼を受けて訪問した場合に算定する

在宅患者訪問診療料Ⅱ

イ)定期的な訪問診療を行った場合 150点

※老人ホーム等の同一敷地内や隣接する敷地内に位置する医療機関からその老人ホーム等に訪問した場合に算定する

ロ)他の医療機関の依頼により訪問診療を行った場合 150点

※他の医療機関からの依頼により、老人ホーム等の同一敷地内や隣接する敷地内に位置する医療機関から、その老人ホーム等に訪問した場合に算定する。

訪問看護指示料 300点

利用者(患者)に対する診療を担う保険医療機関の保険医が、診療に基づき指定訪問看護事業者からの指定訪問看護の必要を認め、又は、指定地域密着型サービス事業者からの指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護又は指定複合型サービス(いずれも訪問看護を行うものに限る)の必要を認め、患者の同意を得て当該患者の選定する訪問看護ステーション等に対して、訪問看護指示書を交付した場合に、患者1人につき月1回に限り算定する。

特別訪問看護指示加算 100点

利用者(患者)に対する診療を担う保険医療機関の保険医が、診療に基づき、当該患者の急性増悪時を含む、終末期、退院直後などで主治医が週4日以上の頻回な訪問看護を一時的に行う必要があると認めた場合に利用者の同意を得て特別訪問看護指示書(有効期間は、指示を出した日から14日間)を発行する。

その場合、特別訪問看護指示加算として、患者1人につき月1回(ただし、気管カニューレを装着している利用者と真皮を超える褥瘡患者については、月2回)に限り、100点を加算する。

<訪問看護ステーションの場合>

退院時支援指導加算 6,000円  or  8,400円(長時間の場合)

[医療保険]

下記の利用者(患者)に対して、退院日に訪問した場合に算定できる。

・厚生労働大臣が定める疾病等別表第7の利用者(参考情報リンクより詳細確認可能)

・厚生老大臣が定める状態等別表第8の利用者(参考情報リンクより詳細確認可能)

・主治医より退院日の訪問看護が必要と認められた利用者

ただし、准看護師による訪問では算定できない。

2022年度の診療報酬改定で、退院日に看護師等が長時間にわたる退院支援指導を行った場合の診療報酬が新設されている。

・15歳未満の超重症児・準超重症児

・厚生労働大臣が定める状態等別表第8

・特別訪問看護指示期間

上記のいずれかに該当する利用者に90分を超える訪問看護を退院日に実施した場合、8,400円を算定できる。

[介護保険]

主治医が退院日の訪問看護が必要と認める利用者と厚生労働大臣が定める状態等別表第8に対して退院・退所日に訪問した際に訪問看護費が算定できる。

准看護師の場合は、10%減算して算定する。

【在宅療養患者の退院後における診療報酬と介護報酬】

入院医療機関

□退院後訪問指導料 580点(1~2回)

在宅医

 

□在宅患者訪問診療料 算定できる要件により異なる

□往診料 720点 各種加算は施設分類により異なる

□訪問看護指示料 300点

□特別訪問看護指示加算 100点

訪問看護ステーション

 

□退院時支援指導加算 6,000円

□退院時支援指導加算 8,400円(90分を超える指導の場合)

【参考情報】

訪問看護ステーションの看護師による、退院日の長時間退院支援指導を評価-「退院支援指導加算」の新設

https://www.ns-pace.com/article/a7266/ 

訪問看護における別表7、別表8とは?

https://ewellibow.jp/useful/useful_20180921/ 

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