PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32363737/
タイトル:Heart Failure and Chronic Kidney Disease Manifestation and Mortality Risk Associations in Type 2 Diabetes
<意訳(概要)>
背景:
2型糖尿病(T2D)患者を対象とした最近の臨床試験において、心腎連関疾患である心不全(HF)と慢性腎臓病(CKD)の併発は予防可能であることが示された。
我々は、第1に「心血管および腎疾患(CVRD)を併発してないT2D患者のCVRD発症リスク」を第2に「CVRDを併発したT2D患者の死亡リスク」を調査した。
方法:
イギリス、ドイツ、日本、オランダ、ノルウェー、スウェーデンの医療記録から、CVRDを併発してないT2D患者を同定した。
CVRDの発症は、HF、CKD、脳卒中、心筋梗塞(MI)または末梢動脈疾患(PAD)の初発イベントと定義した。
HF、CKD、MI、脳卒中、またはPADを発症したCVRD併発のT2D患者とCVRD未併発のT2D患者の死亡リスクを比較した。
結果:
平均4.5年間追跡された1 ,177, 896人のT2D患者の内、772 ,336人(66%)はCVRD未併発であったが、その内の137 081人(18%)は、CVRDを発症した[CKD(36%)、HF(24%)、脳卒中(16%)、MI(14%)およびPAD(10%)]。
Diabetes Obes Metab. 2020 Sep; 22(9):1607-1618.
HFまたはCKD(Cardiorenal disease)は、心血管死[HR 2.02(95%CI 1.75-2.33)]、全ての原因による死亡[2.05(1.82-2.32)]、心筋梗塞[HR 1.55(95%CI 1.45-1.65)]、脳卒中[HR 1.35(95%CI 1.28-1.43)]、末梢動脈疾患[HR 1.96(95%CI 1.69-2.27)]リスクの増加と関連していた。
Diabetes Obes Metab. 2020 Sep; 22(9):1607-1618.
また、HFとCKD(Cardiorenal syndrome)は、死亡リスクの大幅な増加と独立した関連があり、HFとCKDの併発は、心血管死[HR 3.91(3.02-5.07)]、全ての原因による死亡[3.14(2.90-3.40)]、心筋梗塞[HR 2.16(95%CI 1.51-3.09)]、脳卒中[HR 1.73(95%CI 1.45-2.06)]、末梢動脈疾患[HR 3.16(95%CI 2.31-4.34)]リスクの増加と関連していた。
Diabetes Obes Metab. 2020 Sep; 22(9):1607-1618.
結論:
75万人を超えるCVRD(心血管および腎疾患)未併発T2D(2型糖尿病)患者を対象とした大規模な多国籍研究において、HFとCKD(Cardiorenal syndrome)は、一貫して最も発症リスクの高い初発のCVD(心血管疾患)であり、死亡リスクの増加にも関連していた。
本研究の新知見は、これらのCVRDはT2D患者の深刻な合併症であり、その予防戦略の改善が必要であることを示唆している。