回復期リハビリテーション病棟入院料(令和4年度改定)のポイント



☆回復期リハビリテーション病棟入院料とは

急性期治療の後、病態が安定し始めた時期に、ADLの向上と家庭復帰・職場復帰を目指して行う集中的なリハビリテーションを回復期リハビリテーションという。

また、回復期リハビリテーションを提供するために設置された病棟を回復期リハビリテーション病棟という。

回復期リハビリテーション病棟の入院患者で、以下の状態にある患者が対象となり、これらの患者を「回復期リハビリテーションを要する状態の患者」という。

今回の改訂で新たに「心筋梗塞等」が対象疾患に追加された。

対象患者

状態の詳細

1. 脳神経疾患などの発症後または手術後、義肢装着訓練を要する状態

脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性硬化症、脳神経叢損傷などの発症後または手術後、または義肢装着訓練を要する状態

2.骨折後または手術後 

大腿骨、骨盤、脊椎、股関節、膝関節の骨折、または2肢以上の多発骨折の発症後、または手術後

3. 廃用症候群を有する状態

外科手術または肺炎などの治療時の安静による廃用症候群を有する状態

4. 神経、筋、靭帯損傷後の状態

大腿骨、骨盤、脊椎、股関節、膝関節の神経、筋、靭帯の損傷後

5. 関節置換術後の状態

股関節または膝関節の置換術後

6. 急性心筋梗塞等の状態

急性心筋梗塞、狭心症発作その他の急性発症した心大血管疾患または手術後の状態

※回復期リハビリテーション病棟での心大血管リハビリテーションの適応に「慢性心不全[LVEF≦40%、最高酸素摂取量(基準値)≦80%、BNP≧80pg/mL、NT-proBNP≧400pg/mL以上]」は該当しない。

しかしながら、慢性心不全を合併した急性心筋梗塞等(急性心筋梗塞、狭心症発作その他の急性発症した心大血管疾患または手術後の状態)の患者は、回復期リハビリテーション病棟での治療が可能である。

また、廃用症候群(外科手術または肺炎などの治療時の安静による廃用症候群を有する状態)を併発した慢性心不全患者は、回復期リハビリテーション病棟での治療が可能である。

☆5種類の回復期リハビリテーション病棟入院料

今回の改訂で従来の回復期リハビリテーション病棟入院料5が廃止され、回復期リハビリテーション病棟入院料6が新たな回復期リハビリテーション病棟入院料5になった。

また、回復期リハビリテーション病棟入院料1~4の実績部分の要件(重症患者割合)が見直された。

令和4年3月31日時点で回復期リハビリテーション病棟入院料5,6の届出を行っている病棟は、令和5年3月31日までの間、改定前の回復期リハビリテーション病棟入院料5,6の算定が可能である。

入院料は「基本部分」と「実績部分」で評価され、入院料1,3には「リハビリテーション実績指数」の評価も組み込まれている。

入院料

点数(生活療養を受ける場合)

回復期リハビリテーション病棟入院料1

2,129点(2,115点)/日

回復期リハビリテーション病棟入院料2

2,066点(2,051点)/日

回復期リハビリテーション病棟入院料3

1,899点(1,884点)/日

回復期リハビリテーション病棟入院料4

1,841点(1,827点)/日

回復期リハビリテーション病棟入院料5

1,678点(1,644点)/日

生活療養を受ける場合とは、回復期リハビリテーション病棟などの医療療養病床に入院する65歳以上の患者については、生活療養に要する費用(食事、温度、照明、給水などにかかる費用)が、入院時生活療養費として保険給付される。

リハビリテーション実績指数とは、1日あたりのFIM改善度を指数化したもので、回復期リハビリテーション病棟入院料の施設基準やリハビリテーションの実績評価に用いられている。

リハビリテーション実績指数=

各患者の(退棟時のFIM運動項目の得点-入棟時のFIM運動項目の得点)の総和

各患者の(入棟から退棟までの日数÷入棟時の状態に応じた算定上限日数)の総和

管理人作成

☆回復期リハビリテーション病棟入院料の算定上限日数

対象患者の状態

算定上限日数(算定開始日から起算)

1.     脳神経疾患などの発症後または手術後、義肢装着訓練を要する状態

 150日以内

(重症脳血管障害などは、180日以内)

2.     骨折後または手術後の状態

 90日以内

3.     廃用症候群を有する状態

 90日以内

4.     神経、筋、靭帯損傷後の状態

 60日以内

5.     関節置換術後の状態

 90日以内

6.     急性心筋梗塞等の状態

 90日以内

重症脳血管障害などとは、高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頚髄損傷、頭部外傷を含む多部位外傷を指す。

※急性心筋梗塞等の患者については、「心大血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」の内容を踏まえ、心配運動負荷試験を入棟時および退棟後、月に1回以上実施することが望ましい。

☆回復期リハビリテーション病棟入院料における2種類の加算

回復期リハビリテーション病棟入院料には、2種類の加算(体制強化加算1・2、休日リハビリテーション提供体制加算)がある。

算定できる加算は届出ている回復期リハビリテーション病棟入院料によって異なる。

加算

点数

算定可能病棟

体制強化加算1

200点/日

回復期リハビリテーション病棟入院料

1・2を届出る病棟

体制強化加算2

120点/日

休日リハビリテーション

提供体制加算

60点/日

回復期リハビリテーション病棟入院料

3~5を届出る病棟

☆体制強化加算1・2の施設基準

患者の早期機能回復および早期退院の促進のため、専従医師や専従社会福祉士の配慮を評価した加算となっている。

体制強化加算1

体制強化加算2

体制

回復期リハ入院料1または2を届出ている

従事者

専従の常勤医師(リハ医療に関する3年以上の経験を有し、適切なリハにかかわる研修を修了した者)1名以上

専従の常勤医師(リハ医療に関する3年以上の経験を有し、適切なリハにかかわる研修を修了した者)2名以上

専従の常勤社会福祉士1名以上

(退院調整に関する3年以上の経験を有する者)

その他事項

体制強化加算1に規定される専従医師1名は、所定の労働時間外の自院当直は可能、外来は不可。

以下のすべてを満たす場合、専従医師2名は、回復期リハ病棟の業務に従事しない時間は、自院の他の業務に従事できる(他の施設基準の専従医師として届け出ることは不可)

1.前月に自院にて外来リハまたは

訪問リハ指導を実施している

2.各専従医師は、回復期リハ病棟の業務に従事する曜日や時間をあらかじめ決めている

3.専従医師2名のうち1名以上が回復期リハ病棟に従事している時間が週32時間以上

4.専従医師2名は、いずれも回復期リハ病棟業務に従事する時間が週8時間以上

リハビリテーション科の専門医や認定医であっても研修を修了することが必要である。

 

☆休日リハビリテーション提供体制加算の施設基準

入院当初から休日・平日にかかわらず集中的なリハビリテーションを提供できる体制を評価した加算である。                休日・平日を問わず算定できる。

体制

・回復期リハ入院料3~5のいずれかを届出ている

・休日を含め、週7日間リハビリテーションを提供できる体制を有する(休日

 も1日平均リハビリテーション提供単位数が2単位以上であるなど、曜日によって提供単位数が著しく異ならないこと)

従事者

全ての日に、専従の常勤理学療法士(PT)または作業療法士(OT)1名以上

その他

事項

看護要因の配置は、休日のリハビリテーション提供に支障がないよう配慮すること

 

【参考情報】

回復期リハビリテーション病棟入院料

https://www.pt-ot-st.net/contents4/medical-treatment-reiwa-4/department/588 

令和4年度診療報酬改定の概要 【全体概要版】

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000906904.pdf

令和4年度診療報酬改定の概要 個別改定事項Ⅲ

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000911811.pdf

令和4年度診療報酬改定の概要 入院Ⅱ(回復期・慢性期入院医療)

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000911811.pdf

令和4年度診療報酬改定の概要

https://www.wam.go.jp/content/files/pcpub/top/mseminar/msem22001_01.pdf 

Sponsored Link




この記事を書いた人