持続性AFアブレーション後の洞調律維持と左房逆リモデリングとの関連性



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31346694/

タイトル:Association Between Left Atrial Reverse Remodeling and Maintenance of Sinus Rhythm After Catheter Ablation of Persistent Atrial Fibrillation

<概要(意訳)>

背景:

持続性心房細動(AF)カテーテルアブレーションの成功率は、まだ改善の余地があるが、洞調律を維持する予測因子は定かではない。

その為、アブレーション後に洞調律が維持される患者の特徴を特定することは重要である。

本研究では、アブレーション後の左心房リバースリモデリングとAF再発との関連性を調査することを目的とした。

方法:

2012年4月~2016年4月に、持続性AFアブレーションを施行した132人の患者(平均年齢:63±10歳、男性:81%、高血圧:53%、うっ血性心不全:16%、持続性AFの罹病期間:9ヶ月、長期(1年以上)持続性AF患者の割合:41%、平均CHADSスコア:1±1、平均CHADS-VAScスコア:2±2)を登録した。

肺静脈隔離術(PVI)に加えて、CAFÉ(心房内分裂電位心房内)アブレーションを施行した。アブレーション後、少なくとも3ヶ月間は、べプリジルまたはアミオダロンを処方した。全ての患者にアブレーション後の当日、1ヶ月、3ヶ月(補足:再発の多いブランキング期)、6ヶ月の間隔で、心エコー検査と24時間ホルター心電図を行った。

結果:

AFアブレーションを施行した132人の内、52人(39%)は3ヶ月以内にAFの再発があり、24人(18%)は再アブレーションを施行した。

24ヶ月のフォローアップ期間中に、125人(95%)は洞調律(SR)を維持し、7人(5%)に持続性AFの再発があった。

125人の内、90人(68%)はAFの再発はなく、35人(27%)に発作性AFの再発があった。2年のフォローアップ期間で、合計42人のAF再発があった。

フォローアップ24ヶ月時点のAF再発の有無に関わらず、年齢、性別、アブレーション前のBNPと高血圧、糖尿病、脳卒中の既往歴に差はなかった。

AFの再発グループとAFの非再発無グループにおいて、AFの罹病期間[中央値12ヵ月(四分位範囲6-37)vs8ヶ月(四分位範囲5-17)]とアブレーション3ヶ月以内の早期再発率(69% vs 26%、p <0.05)、抗不整脈薬の継続率(57% vs 22%、p <0.05)には、有意な差があった。

フォローアップ期間の3ヶ月(44±6 vs 40±6 mm、p <0.001)と6ヶ月(44±6vs40±6 mm、p <0.001)における左房径は、再アブレーションを施行した患者よりもAF非再発の患者の方が、有意に小さかった。

また、3か月の左房径は、AFの再発患者とAFの非再発患者で有意な差があった[42±4vs40±6 mm(p < 0.05)]。

3カ月と6カ月におけるA波(補足:‎心房を収縮させる電位で12誘導心電図のP波に相当、心房波ともいう)の振幅は、再アブレーション施行患者よりもAF非再発の患者の方が大きかった。

AFの再発患者と非再発患者で、ベースライン、3ヶ月、6ヶ月でのLVEF(左室駆出率)に差はなかった。

ベースラインのBNP濃度(中央値)と3ヶ月(111.0 vs 34.9 pg / ml、p <0.001)、および6ヶ月(111.0 vs 30.4 pg / ml、p <0.001)時のBNP濃度の間には、有意な減少があった。

「ベースラインからアブレーション6ヶ月後における5%以上の左房径減少」は、24ヶ月後のAF非再発率と有意な関連性があった(p <0.05)。

結論:

持続性AFアブレーション後の左房リバースリモデリングは、24ヶ月後のAF非再発と関連していた。

本研究では、持続性AFアブレーション6ヶ月後の左房径減少率が高いほど、24ヶ月後の洞調律の維持率が高くなることが分かった。

これは、持続性AFアブレーション後の洞調律維持における新しい予測因子である。

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