PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33554614/
タイトル:Ablation Versus Drug Therapy for Atrial Fibrillation in Heart Failure: Results from the CABANA Trial
<概要(意訳)>
背景:
カテーテルアブレーションの臨床試験において、心不全(HF)を合併した心房細動(AF)患者のAF再発率、生活の質(QOL)、生存率などが改善された報告がいくつか示されている。
本研究では、CABANA試験に登録されたHF(合併AF)患者の臨床転帰を調査した。
方法:
CABANA試験[2009年11月~2016年4月に10ヵ国126施設で、脳卒中リスク因子を1つ以上有する症候性AF(新規発症、治療中)患者2,204例(年齢中央値68歳、男性63%、発作性AF 43%、持続性AF 57%)を心房細動カテーテルアブレーション又は抗不整脈(レート/リズムコントロール)薬療法にランダム化した。
本研究では、2,204例の内、ベースラインでNYHA分類≧Ⅱ度の778例(35%)の心不全患者を対象とした。
主要評価項目は、「全死亡、後遺症を伴う脳卒中、重篤な出血、心停止」の複合であった。
結果:
HF患者778例の内、アブレーション治療群は378例[抗不整脈薬:なし(56.5%)、1剤(35.9%)、2剤以上(7.6%)]、抗不整脈薬療法群は400例[抗不整脈薬:なし(50.4%)、1剤(39.6%)、2剤以上(10.0%)]に割り当てられた。
ベースラインでの左室駆出率(LVEF)は、571例(73%)で利用可能であり、その内訳はLVEF<40%が9.3%、LVEF40~50%が11.7%であった。
追跡期間中央値48.5ヶ月におけるITT解析の主要評価項目(全死亡、後遺症を伴う脳卒中、重篤な出血、心停止の複合)のアブレーション治療群のハザード比は、抗不整脈薬療法群と比較して、HR 0.64(95%CI 0.41-0.99)となり、36%の相対リスク減少率となった。
「全死亡」のアブレーション治療群のハザード比は、抗不整脈薬療法群と比較して、HR 0.57(95%CI 0.33-0.96)となり、43%の相対リスク減少率となった。
「AFの再発」のアブレーション治療群のハザード比は、抗不整脈薬療法群と比較して、HR 0.56(95%CI 0.42-0.74)となり、44%の相対リスク減少率となった。
Circulation. 2021 Feb 8. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.120.050991.
フォローアップ期間60ヶ月における、AFEQTスコアの平均差は5.0ポイント(95%CI 2.5-7.4)、MAFSI症状頻度スコアの平均差は-2.0ポイント(95%CI -2.9~-1.2)となり、アブレーション治療群で有意なMAFSI症状頻度スコアが示された(p<0.001)。
結論:
CABANA試験に登録されたNYHA分類Ⅱ度以上の心不全合併心房細動患者では、カテーテルアブレーション治療により、抗不整脈薬療法と比較して、臨床的に重要な全死亡、心房細動の再発、QOLの質が有意に改善された。
HFpEF患者が多くを占めていた本研究の結果は、今後、独立した試験での検証も必要だろう。
【参考情報】
CABANA試験におけるカテーテルアブレーション/薬物療法のAF再発の割合
https://www.carenet.com/news/general/carenet/50618
症候性AFへのアブレーションの効果、CABANA試験で明らかに
https://www.carenet.com/news/journal/carenet/47837
待望のCABANA試験(心房細動対象,カテアブvs薬物療法のRCT)
https://dobashin.exblog.jp/239155280/
心房細動のQOL評価法=AFEQTが開発され妥当性に優れる