PubMed URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35394821/
タイトル:Sodium-glucose Cotransporter 2 Inhibitors and Risk of Hyperkalemia in People with Type 2 diabetes: A Meta-analysis of Individual Participant Data from Randomized Controlled Trials
<概要(意訳)>
背景:
慢性腎臓病(CKD)および/または心不全患者の臨床転帰を改善するレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)阻害薬とミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は、不整脈と死亡のリスクを高める高カリウム血症に注意が必要である。
心血管リスクが高い2型糖尿病またはCKD患者の心腎イベントのリスクを軽減するSGLT2阻害薬の高カリウム血症に対する影響は体系的に評価されていない。
方法:
心血管リスクの高い2型糖尿病および/またはCKD患者を対象としたSGLT2阻害薬のランダム化二重盲検プラセボ対照試験をメタ分析した。
主要評価項目は、「SGLT2阻害薬の重篤な高カリウム血症(血清カリウム≥6.0mmol/L)の影響」とした。
その他評価項目は、「SGLT2阻害薬の高カリウム血症および低カリウム血症(血清カリウム≤3.5mmol/L)の影響」とした。
メタ分析は、ランダム効果モデルを使用し、各試験における治療効果を推定した。
結果:
4つのSGLT2阻害薬(カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、エルツグリフロジン)を評価する49,875例の被験者からなる6つの試験(CANVAS Program、CREDENCE、DAPA-CKD、DECLARE-TIMI 58、EMPA-REG OUTCOME、VERTIS CV)の結果をメタ分析した。
1,754例の被験者が重篤な高カリウム血症を発症し、さらに1,119人の研究者が報告した高カリウム血症のイベントが記録されました。
プラセボ対照群と比較したSGLT2阻害薬群の「重篤な高カリウム血症のリスク」は、6つの試験間で一貫して有意に軽減していることが示された[HR 0.84(95%CI 0.76-0.93); p<0.001、交互p=0.71、異質性(I2)=0.0%]。
ベースライン特性[血糖値(HbA1c ≦8/>8%)、eGFR(≧60/<60 mL/min/1.73m2)、UACR(<30/≧30 mg/g)、心不全既往の有無、RAAS系阻害薬の有無、利尿薬使用の有無、MRA使用の有無]別のサブ解析では、SGLT2阻害薬群の「重篤な高カリウム血症のリスク」は一貫して軽減していたが、交互作用は「RAAS系阻害薬の有無」で認められた(交互p=0.002)。
Circulation. 2022 Apr 8. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.121.057736.
プラセボ対照群と比較したSGLT2阻害薬群の「低カリウム血症のリスク」は、6つの試験間で一貫していることが示された[HR 1.04(95%CI 0.94-1.15); p=0.43、交互p=0.42、異質性(I2)=0.0%]。
ベースライン特性[血糖値(HbA1c ≦8/>8%)、eGFR(≧60/<60 mL/min/1.73m2)、UACR(<30/≧30 mg/g)、心不全既往の有無、RAAS系阻害薬の有無、利尿薬使用の有無、MRA使用の有無]別のサブ解析でも、SGLT2阻害薬群の「低カリウム血症のリスク」は一貫していることが示された。
Circulation. 2022 Apr 8. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.121.057736.
結論:
SGLT2阻害薬は、低カリウム血症のリスクを高めることなく、心血管リスクが高い2型糖尿病および/またはCKD患者の重篤な高カリウム血症のリスクを軽減することが示された。