急性心不全で入院した患者の健康状態に対するSGLT2阻害薬の影響



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35377706/ 

タイトル:Effects of Empagliflozin on Symptoms, Physical Limitations and Quality of Life in Patients Hospitalized for Acute Heart Failure – Results From the EMPULSE Trial

<概要(意訳)>

背景:

急性心不全(AHF)で入院した患者は、症状の悪化、身体的な制限、生活の質の低下など、健康状態が悪化する。

SGLT2阻害薬は、慢性心不全患者の健康状態を改善するが、急性心不全患者に対しての影響は十分に分かっていない。

EMPULSE試験では、カンザスシティ心筋症アンケート(KCCQ)を使用して、SGLT2阻害薬(エンパグリフロジン)が「症状、身体的制限、生活の質」に及ぼす影響を調査した。

方法:

AHFで入院した患者は、エンパグリフロジン10mg/日またはプラセボに無作為化された。

KCCQスコアは、無作為化時と15日、30日および90日の時点で評価された。

 

主要評価項目「死亡、心不全イベント、初回心不全イベントまでの期間、治療90日後におけるカンザスシティ心筋症質問票総合症状スコア(KCCQ-TSS)のベースラインからの5ポイント以上の変化―の複合」に対するSGLT2阻害薬の効果をベースラインKCCQ-TSSの3分位数別[<27.1(n=166)、≧27.1~<52.1 (n=184)、≧52.1 (n=176)]に事後解析した。

 

事前に指定した分析項目としての「TSS総症状スコア(TSS)、全体的要約スコア(OSS:身体機能、症状、社会的機能、生活の質の領域から導かれる)、臨床要約スコア(CSS)、身体的制限スコア(PLS)、生活の質スコア(QOL)」を評価した。

結果:

合計530例の被験者が無作為化(各群265例)された。

ベースラインにおけるKCCQ-TSS(総症状)の平均スコア(40.8±24.0)は全体的に低かった。

 

ベースラインのKCCQ-TSSスコア(三分位数別)に関わらず、SGLT2阻害薬の主要評価項目に対する効果[Win ratio(95%CI)]は、それぞれ、

全体:1.36(1.09-1.68)

<27.1:1.49(1.01-2.20)

≧27.1~<52.1:1.37(0.94-1.99)

≧52.1:1.48(1.00-2.20)

となり、全体の結果と一貫していることが示された(交互p=0.94)。

Circulation. 2022 Apr 4. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.122.059725.

SGLT2阻害薬の治療介入から90日後の「健康状態」に対する有益な効果は、それぞれ、

TSS総症状スコア(TSS):+4.45 points(0.32-8.59)、p=0.003

全体的要約スコア(OSS):+4.40 points(0.33-8.48)、p=0.03

臨床要約スコア(CSS):+4.85 points(0.77-8.92)、p=0.002

身体的制限スコア(PLS):+4.80 points(0.00-9.61)、p=0.05

生活の質スコア(QOL):+4.66 points(0.32-9.01)、p=0.04

となり、大幅な改善を示すとともに、治療効果は15日後から観察され、90日間まで持続していた。

Circulation. 2022 Apr 4. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.122.059725.

ベースライン特性別[心不全状態、糖尿病の有無、年齢、性別、地域、NT-proBNP、eGFR、AFの有無、左室駆出率、KCCQ-TSSスコア]による、SGLT2阻害薬の治療介入から90日後のTSS総症状スコア(TSS)に対する効果(プラセボと比較した調整平均差)は、一貫していることが示された。

Circulation. 2022 Apr 4. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.122.059725.

結論:

急性心不全で入院した患者に対するSGLT2阻害薬(エンパグリフロジン10㎎/日)の早期治療介入(心不全状態が安定した入院後少なくとも24時間後、遅くとも5日以内)は、ベースラインのKCCQ-TSS(総症状)スコアに関わらず、臨床的ベネフィットをもたらした。

健康状態の改善は、治療15日目から観察され、90日目まで維持されていた。

 

【参考情報】

EMPULSE第Ⅲ相試験において、SGLT2阻害薬は急性心不全で入院後の安定した成人患者に対して有意な臨床的ベネフィットを示す

https://www.boehringer-ingelheim.jp/press-release/20220311_01 

急性心不全の入院患者におけるSGLT2阻害薬の有効性と安全性

急性心不全の入院患者におけるSGLT2阻害薬の有効性と安全性 – やまちゃんの気まぐれ喫茶|医学論文を通じて研鑚に励もう! (yamachanmr-kimagrekissa.com)

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