PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32624299/
タイトル:Characteristics and anticoagulant treatment status of elderly non-valvular atrial fibrillation patients with a history of catheter ablation in Japan: Subanalysis of the ANAFIE registry
<概要(意訳)>
背景:
カテーテルアブレーション(CA)の有用性は、高齢者を含む心房細動(AF)患者に示されている。
ただし、CAを施行した75歳以上の非弁膜症性AF(NVAF)患者のデータは少ない。
ANAFIEレジストリーのサブ解析より、CA施行NVAF高齢患者の特徴と抗凝固療法の現状を調査した。
方法:
本研究は、2016年10月~2018年1月の間に外来受診時の心電図検査で、NVAFと診断された後期高齢患者(75歳以上)が登録された多施設共同前向き観察研究である。
心房細動の治療実態は、個々の医師の裁量で行われた薬物/非薬物治療が反映している。
今回のサブ解析では、患者をCA施行群とCA非施行群に分類して、臨床特徴と抗凝固療法の現状を分析した。
結果:
32,726人のNVAF患者の内、CA施行患者は、3,002人(9.2%)であった。
CA群(n=3,002)は、非CA群(n=29,724)より、かなり若く(78.9歳vs 81.7歳、p <0.0001)、CHADS2とHAS-BLEDの平均スコアが有意に低かった(各p <0.0001)。
CA群の年齢は、ほとんどが75〜79歳(63.6%)であった。
非CA群の年齢は、全体的に均等分布しており、大半の患者は75〜79歳(37.5%)、80〜84歳(34.5%)であった。
CA群は、非CA群より、有意に身長が高く、体重が重かった(各p <0.0001)。 ただし、BMIは各群で有意な違いはなかった。
CA群は、非CA群より、クレアチニンクリアランス(CCr)と収縮期血圧(SBP)が高かった(各p <0.0001)。
非CA群は、CA群より、心疾患、心不全、脳血管疾患、高尿酸血症、慢性腎臓病、認知機能障害などの併存症が多かった(各p<0.0001) 。
発作性AFの割合は、CA群(72.9%)の方が非CA群(38.9%)より多かった(p<0.0001)。
持続性(>7日)AFの割合は、両群間で同様であったが、長期持続性(≧1年)AFの割合は、CA群(5.1%)の方が非CA群(14.1%)より低かった。 永続性AFの割合も、CA群(6.3%)の方が非CA群(38.9%)より低かった。
抗凝固薬を使用していない割合は、CA群(13.3%)の方が非CA群(7.6%)より多かった(p <0.0001)。
直接経口抗凝固薬(DOAC)の使用割合は、CA群(69.9%)と非CA(66.0%)群で同様であった。
両群で最も使用されたDOACはアピキサバンであり、次はリバーロキサバンであった。
両群におけるエドキサバンとダビガトランの使用割合は、それぞれ同様であった。
減量考慮基準(医師の裁量で2用量を選択できる)を持つダビガトラン(直接トロンビン阻害薬)の通常用量の使用割合は、両群間で同様であった。
減量基準(減量条件が薬剤により決まっている)を持つアピキサバン、リバーロキサバン、アドキサバン(Xa阻害薬)の通常用量の使用割合は、CA群の方が非CA群より多かった。
ワルファリンの使用割合は、非CA群(26.4%)の方がCA群(16.9%)より多かった。
TTR>60%(ワルファリンの治療効果が認められる)の割合は、CA群で56.7%、非CA群で62.4%であった。
結論:
ANAFIEレジストリーのサブ解析より、心房細動カテーテルアブレーション(CA)を施行した高齢の非弁膜症性心房細動(NVAF)患者は、非CA施行した高齢のNVAF患者と比較して、「発作性AFの割合が高い、年齢が若い、体重が重い、身長が高い、CCrが大きい、抗凝固薬を使用していない割合が多い、減量基準のある DOACの標準用量の使用割合が多く、減量考慮基準のあるDOACの標準用量の使用割合は同程度、ワルファリンのコントロール不良(TTR<60%)の割合が多い」等の現状が示された。
【参考情報】
ANAFIE Registry
http://www.anafie.net/about.html
発作性・持続性・永続性心房細動の分類定義