日本人における血清高感度CRPレベルと心房細動発症の関連



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33597325/ 

タイトル:Serum High-Sensitivity C-Reactive Protein Levels and the Development of Atrial Fibrillation in a General Japanese Population

<概要(意訳)>

背景:

心房細動(AF)は、高齢者によく見られる不整脈であり、心原性脳塞栓症などの合併症を引き起こすことがある。

西欧諸国では、全身性炎症マーカーである血清高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)は、心房細動発症の危険因子であることが報告されている。

しかしながら、アジア人でこの関連を調査した研究は殆どない。

本研究(久山町研究)では、日本人におけるhs-CRPレベルとAF発症の関連を調査した。

方法:

AF既往のない40歳以上の合計2,510例の日本人被験者を、血清hs-CRP濃度を性別で四分位数[男性: Q1, ≦0.23 mg/L; Q2, 0.24–0.54 mg/L; Q3, 0.55–1.25 mg/L; Q4, ≧1.26 mg/L、 女性: Q1, ≦0.19 mg/L; Q2, 0.20–0.39 mg/L; Q3, 0.40–0.91 mg/L; Q4, ≧0.92 mg/L]により4つのグループに分け、24年間追跡した。

Cox比例ハザードモデルを使用して、AFの発症に対するハザード比と95%信頼区間を推定した。

結果:

追跡期間中に、234例の被験者(男性113例、女性121例)がAFを発症した。

AF発症時の平均年齢は、hs-CRPレベル全体でほぼ一定であった[Q1: 78(±11)、 Q2: 78 (±10)、Q3: 78(±10)、Q4: 79(±11)、傾向p=0.70].

 

カプラン・マイヤー法を使用したAFの累積発症率(Log rank p<0.01)、年齢と性別で調整した年間1,000人あたりのAF発症率[Q1(n=615):4.8、Q2(n=642):5.0、Q3(n=627):7.0、Q4(n=626):7.3、傾向p=0.001]は、は、血清hs-CRPレベルが高くなるにつれて増加を示した。

 

また、Q1グループを参照とした場合のAF発症のハザード比は、[Q2:HR 1.26(95%CI 0.83-1.92)、Q3:HR 1.77(95%CI 1.18-2.66)、Q4:HR 1.89(95%CI 1.24-2.86)、傾向p<0.001]となり、この関連性は、潜在的な交絡因子の調整後も実質的に変化せず、有意なままであった。

 

AF発症リスクの識別能力(感度と特異度)を最適化した血清hs-CRP濃度のカットオフ値は、男性で0.88 mg/L、女性で0.83 mg/Lであった。

Circ J. 2021 Feb 18. doi: 10.1253/circj.CJ-20-0751.

結論:

日本人集団において血清高感度C反応性タンパク質レベルの上昇は、心房細動発症の独立した危険因子であることが示された。

 

【参考情報】

C反応性蛋白(定量)

https://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/index.cgi?c=speed_search-2&pk=279 

CRPと高感度CRPの違い

http://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/08.html 

怖い不整脈と怖くない不整脈

http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph06.html 

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