PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33552467/
タイトル:Adverse events associated with sodium glucose co-transporter 2 inhibitors: an overview of quantitative systematic reviews
<概要(意訳)>
背景:
SGLT2阻害薬で治療した2型糖尿病患者の有害事象は、複数の定量的系統的レビューで報告されている。
本研究では、報告されたSGLT2阻害薬の有害事象に関するエビデンスの質を評価した。
方法:
PubMed、EMBASE、Cochrane Libraryから、SGLT2阻害薬の安全性を評価した定量的系統的レビューを検索した。
2人のレビューアがデータを抽出し、AMSTARツール[参考:システマティックレビューの
方法論的な質を評価するために2017年に作成された測定ツールで、総スコアは(0~11点)を、Low quality (0-3点)、Medium quality (4~7点)、 High quality (8-11点) の3段階に評価する]を使用して方法論の質を評価しました。
主要な評価項目は、(インアクティブ/アクティブ)プラセボと比較したSGLT2阻害薬の「泌尿生殖器感染症、体液量減少、急性腎障害、骨折、糖尿病性ケトアシドーシス、下肢切断、癌、その他の注目すべき有害事象」に対する推定値とその信頼区間(95%CI)とした。
結果:
スクリーニングされた1,289件の内、47件がSGLT2阻害薬の安全性を評価し、その内の35件は方法論の質が低かった。
カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジンは、プラセボおよびその他の血糖降下薬と比較して、生殖器感染症のリスク増加が一貫して認められた。
カナグリフロジンとダパグリフロジンは、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)のリスク増加と関連していた。
カナグリフロジンは、下肢切断リスクの増加に関連する唯一の薬剤であったが、 これは単一の試験プログラムの結果によるものである。
ダパグリフロジンは、尿路感染症のリスクが統計的に有意に増加した唯一の薬剤であった。
エンパグリフロジンは、膀胱がんのリスクの統計的に有意な増加と関連していたが、この結果は検出バイアスの影響を受けやすかった。
(インアクティブ/アクティブ)プラセボと比較して、急性腎障害または骨折リスクの統計的に有意な増加と関連するSGLT2阻害薬は認められなかった。
Ther Adv Drug Saf . 2021 Jan 26; 12:2042098621989134.
結論:
SGLT2阻害薬の有害事象について報告されている定量的系統的レビューの大半は、方法論の質が低かった(AMSTAR評価が低かった)。
ゆえに、SGLT2阻害薬の安全性に関する約50件の定量的系統的レビューがあるにも関わらず、この薬剤の重要な副作用リスクは依然として明らかになっていない。
【参考情報】
システマティックレビュー
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/guideline/pdf/manual_4_2017.pdf
AMSTAR評価
http://aihara.la.coocan.jp/archives/2010/09/sr1sr.php
点推定と区間推定の意味と違い
https://toukeigaku-jouhou.info/2015/08/25/post-414/
バイアスの種類