高齢心房細動患者における治療戦略とその後のQOL変化



PubMed URLhttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32028139 

タイトル:Treatment strategies and subsequent changes in the patient-reported quality-of-life among elderly patients with atrial fibrillation.

背景:

カテーテルアブレーション(CA)アプリケーションを含むリズムコントロール戦略は、心房細動(AF)管理には不可欠である。

ただし、臨床試験における高齢患者は過小評価されており、様々なリズムコントロール治療の効果を患者が報告したデータは限られている。

ゆえに、高齢の心房細動患者に対するリズムコントロール戦略の適用を調査した。

方法:

KiCS-AFレジストリー(20129月~201712月、多施設後ろ向きコホート研究)より、ベースラインと1年後の訪問時に生活の質に対するアンケート(AFEQT)に回答した年齢70歳以上の心房細動患者733人のデータを分析した。患者が報告した生活の質(QOL)の改善は、初期治療戦略に従って評価した。

結果:

合計321人の患者(43.8%)がリズムコントロールで管理され、そのうち125人(17.1%)が抗不整脈薬(AAD)のみによる治療を受け、196人(26.7%)がカテーテルアブレーション(CA)を受けた。

レートコントロール群と比較して、リズムコントロール群は若く、併存症の罹患率は低いが、ベースラインAFEQTの全体的なサマリー(OS)スコアは低かった(71.8 [標準偏差20.3]80.0 [標準偏差16.1]; P <.001)。

1年後のAFEQT-OSスコアは、治療戦略(レートまたはリズムコントロール)に関係なく改善していた。

交絡因子を調整した後、カテーテルアブレーション(CA)施行によるベースラインのAFEQTスコアの低下は、QOLの有意な改善(AFEQT-OSスコアの変化≥5)と関連していた。

抗不整脈薬(AAD)のみのリズムコントロール患者のQOLの改善には、臨床的な意味はなかった。

結論:

現代日本の臨床において、リズムコントロール戦略は多くの高齢心房細動患者に広く施行されており、症例を厳選したカテーテルアブレーション(CA)施工患者のQOL改善に寄与している。

 【補足情報】

AFEQT-OSスコア:https://www.ahajournals.org/doi/abs/10.1161/circ.140.suppl_1.12737

スコアの範囲は0100。より高いスコアはより良いQOLを反映する。5ポイントの増加を臨床的に意味のある改善として定義。AFEQT-OS≥80の患者はQOLを維持した患者として定義。

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