地域包括ケア病棟入院料(令和4年度改定)のポイント



☆地域包括ケアとは

高齢者が、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域において構築される包括的な支援・サービス提供体制を地域包括ケアシステムという。

☆地域包括ケア病棟入院料とは

地域包括ケア病棟に入院中の患者に対して算定する入院料で、急性期治療を終え病態の安定した患者や、自宅などで療養中の患者が対象となる。

☆地域包括ケア病棟入院料の体系

地域包括ケア病棟は、病棟単位で行うものと病室単位で行うものがあり、それぞれ入院料の名称が違い、「病棟単位」のものは「地域包括ケア病棟入院料」、「病室単位」のものは「地域包括ケア入院医療管理料」という。

それぞれ4種類(合計8種類)の「入院料」と5種類の「加算」、6種類の「減算」がある。

また、地域包括ケア病棟では、1日平均「2単位」以上の「リハビリテーション」を提供する必要があるが、その費用は地域包括ケア病棟入院料に含まれており、別には算定できない(摂食機能療法を除く)。

入院料

点数

(生活療養を受ける場合)

算定上限日数

地域包括ケア病棟入院料1

地域包括ケア入院医療管理料1

2,809点

(2,794点)/日

入院日から

60日

地域包括ケア病棟入院料2

地域包括ケア入院医療管理料2

2,620点

2,605点)/日

地域包括ケア病棟入院料3

地域包括ケア入院医療管理料3

2,285点

(2,270点)/日

地域包括ケア病棟入院料4

地域包括ケア入院医療管理料4

2,076点

(2.060点)/日

DPC対象患者が地域包括入院料を算定する病棟・病室(一般病棟)に移動した場合は、以下の通り算定する。

移動先で算定する入院料

算定方法(入室日から60日が算定上限)

地域包括ケア病棟入院料

DPCの入院日Ⅱ(全ての DPC 参加病院・準備病院・データ提出病院のデータを元に、DPC 分類ごとに計算された平均在院日数)までの間は、DPCで算定し、それを超えた日以降は地域包括ケア病棟入院料を算定

地域包括ケア入院医療管理料

DPCの入院日Ⅲ(平均在院日数+2SD)までの間は、DPCで算定し、それを超えた日以降は地域包括ケア入院医療管理料を算定

<5種類の加算>

加算

点数

算定上限日数

急性期患者支援病床初期加算

50~250点/日

転院・転棟日から14日

在宅患者支援病床初期加算

400~500点/日

入院日から14日

看護職員配置加算(届出必要)

150点/日

看護補助者配置加算/

看護補助体制充実加算(届出必要)

160点/日

165点/日

看護職員夜間配置加算(届出必要)

65点/日

☆急性期患者支援病床初期加算の算定要件

急性期医療の後方病床を確保する(ポストアキュート)ことにより、急性期医療を支えることを目的として、療養病棟が有する機能を評価したものであり、転院、入院又は転棟した日から起算して14日を限度に算定できる。令和2年度改定では、急性期患者支援療養病床初期加算として300点/日(14日を限度)であったが、評価体系が見直され、4種類に分かれた。

対象患者

急性期医療を担う医療機関の一般病棟

(自院の急性期一般病棟も含む)から転院・転倒した患者

算定上限

転院・転棟日から14日

必要事項

入院前の患者の居場所(転院の場合は、転院前の医療機関名)、

自院の入院歴の有無、入院までの経過などをカルテに記載すること

入院経路

400床以上

400床未満

他の医療機関(特別な関係にあるものを除く)の

一般病棟から転棟した場合

150点/日

250点/日

上記以外の場合

50点/日

125点/日

☆在宅患者支援病床初期加算の算定要件

在宅患者や介護保険施設入所者等の状態が軽度悪化した際に入院医療を提供できる病床を確保する(サブアキュート)ことにより、在宅での療養を支えることを目的として、療養病棟が有する機能を評価したものであり、転院、入院又は転棟した日から起算して14日を限度に算定できる。

令和2年度改定では、在宅患者支援病床初期加算として350点/日(14日を限度)であったが、評価体系が見直され、4種類に分かれた。

対象患者

介護老人保健施設、介護医院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、

有料老人ホーム、自宅から入院した患者

算定上限

入院日から14日

必要事項

□厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」などの内容を踏まえ、入院時に、治療方針に関する患者・家族の意思決定を支援

□入院前の患者の居場所(転院の場合は、転院前の医療機関名)、自院の

入院歴の有無、入院までの経過などをカルテに記載すること

その他事項

自院が介護老人保健施設などを併設している場合、その施設からの受け入れた患者は算定不可

入院経路

点数

介護老人保健施設から入院した患者の場合

500点

介護医療院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人

ホーム等または自宅から入院した患者の場合

400点

<6種類の減算>

減算

対象

点数

夜間看護体制特定日減算

許可病床数100床未満の医療機関が対象施設。夜間の救急外来患者の対応のため、いずれか1病棟において夜勤を行う看護職員が一時的に2名未満となった日が対象日。

所定点数の95/100

在宅復帰率が基準未達

地域包括ケア病棟入院料3,4および地域包括ケア入院医療管理3,4を届出る病棟・病室が対象(届出が必要)

所定点数の90/100

自院の一般病棟から転棟

した患者割合が基準未達

200床以上の医療機関で、地域包括ケア病棟入院料2,4を届出る病棟・病室が対象(届出が必要)

所定点数の85/100

施設基準の実績要件が未達

地域包括ケア病棟入院料2,4または地域包括ケア入院医療管理料2,4を届け出る病棟・病室が対象(届出が必要)

所定点数の90/100

入退院支援加算見届け

100床以上の医療機関で、地域包括ケア病棟入院料1,2または地域包括ケア入院医療管理料1,2を算定する施設で、入退院支援加算1を未届の場合。

所定点数の90/100

療養病棟

地域包括ケア病棟入院料または地域包括ケア入院医療管理を算定する病棟または病室が療養病棟である場合。

ただし、自宅等からの入院患者割合が6割以上、自宅等からの緊急入院患者数が前3月で30人以上、または救急医療の実施に必要な体制が整備されている場合は、減算対象外となる。

所定点数の95/100

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