PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32111021/
タイトル:Coronary Artery Disease Is More Severe in Patients With Non-Alcoholic Steatohepatitis Than Fatty Liver
<概要(意訳)>
背景:
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、アテローム性動脈硬化症のリスクを増加させる。
しかしながら、NAFLD患者における冠動脈硬化の重症度と病理学的所見の関係は、まだ分かっていない。
我々は、冠動脈CT血管造影(CCTA)を使用してNAFLD患者の冠動脈病変の特徴を評価した。
方法:
全体で胸部痛または心電図の異常所見があるNAFLD患者101人[非アルコール性脂肪肝(NAFL):41人、非アルコール性脂肪肝炎(NASH):60人]にCCTAが施行された。
マルチスライスCTを使用して冠動脈狭窄症(CAS)、石灰化スコア[冠動脈石灰化の定量的評価法:Agatstonスコア(CACS)]、および冠動脈非石灰化プラークを含む冠動脈病変を評価した。
結果:
NAFLD患者101人の内、51人は冠動脈狭窄症が無く、50人は冠動脈狭窄症が有った。
糖尿病の併発率は、NAFL患者で51.2%、NASH患者で68.3%であった。
多変量解析の結果、年齢[p=0.0049]、喫煙スコア[p=0.0147]、脂質異常症(DLP)[p=0.0373]の有病率、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)[p=0.0102]、および肝線維化の進展度[p=0.0450]は、CAS(冠動脈狭窄症)の独立した危険因子であることが示された。
年齢[p=0.0023]、およびDM(糖尿病)[p=0.0232]とDLP(脂質異常症)[p=0.0118]の有病率はCACS(冠動脈石灰化)の独立した危険因子であり、NASH[p=0.0987]の有病率はCACSの独立した危険因子である傾向があった。
さらに、DLP[p=0.0240]とNASH[p=0.0307]の有病率は、非石灰化プラークの独立した危険因子であった。
冠動脈病変リスクは、非アルコール性脂肪肝(NAFL)の患者よりも非アルコール性脂肪肝炎(NASH)患者の方が高いことが示唆された。
結論:
この前向き研究において、肝生検により診断されたNAFLD患者に冠動脈CT血管造影(CCTA)を施行することにより、NASH患者はNAFL患者よりも冠動脈疾患リスクが高く、心血管イベントが高いことが示唆される。今後の更なる研究での確証が必要だろう。