高齢糖尿病患者の死亡リスク層別化における高感度トロポニンの有用性



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32161049/ 

タイトル:Performance of High-Sensitivity Cardiac Troponin Assays to Reflect Comorbidity Burden and Improve Mortality Risk Stratification in Older Adults With Diabetes

<概要(意訳)>

目的:

高齢者の糖尿病管理は、併存疾患が多く、依然として困難である。

高感度トロポニンは、高齢糖尿病患者の予後予測を改善する可能性がある客観的で定量可能なバイオマーカーである。

併存疾患が多い(3疾患以上)または、少ない(3疾患未満)場合の高感度トロポニンI(hs-cTnI)と高感度トロポニンT(hs-cTnT)レベル別の死亡リスクを層別化した。

方法:

ARIC研究の被験者1,835人における85パーセンタイル以上の高感度トロポニンの高値(被験者の最終訪問時のhs-cTnI≧9.2 ng / L、またはhs-cTnT≧24 ng / Lと定義)と併存症との関連を調査する為に、ロジスティック回帰分析を行った(年齢:67〜89歳、男性:43%、黒人:31%、被験者訪問回数:2011 – 2013年の間で5回)。

Cox比例ハザードモデルを使用して、併存疾患レベルと高感度トロポニン高値における全ての原因による死亡リスクを比較した。 追跡期間は6.2年(中央値)で、死亡者は418人であった。

結果:

併存疾患が多い(3疾患以上)被験者におけるベースラインの高感度トロポニンIは、4.3(2.8、7.7) [中央値(Q1、Q3)]で、高感度トロポニンTは、14.0(9.0、22.0)[中央値(Q1、Q3)]であった。

併存疾患が少ない(3疾患未満)被験者におけるベースラインの高感度トロポニンI は、2.8(1.9、4.5)[中央値(Q1、Q3)]で、高感度トロポニンT は、10.0(7.0、14.0)[中央値(Q1、Q3)]であった。

いずれかの高感度トロポニンの高値(hs-cTnI≧9.4 ng / L、またはhs-cTnT≧25 ng / L)は、冠動脈疾患、心不全、慢性腎臓病、肺疾患(気腫もしくはCOPD)、低血糖、高血圧、認知症、フレイルと関連していた。

hs-cTnIとhs-cTnTの高値は、併存疾患の多い少ないに関わらず死亡リスクをさらに上昇させた。

hs-cTnIまたはhs-cTnTが高値で、併存疾患が多い被験者の死亡リスクは最も高かった。

併存疾患が少ない患者でさえ、hs-cTnI(ハザード比3.0 [95%CI 1.7、5.4])、またはhs-cTnT(ハザード比3.3 [95%CI 1.8、6.2])の高値は、死亡リスクの上昇と関連していた。

結論:

多くの併存疾患は、高感度トロポニンI(hs-cTnI)と高感度トロポニンT(hs-cTnT)の上昇に関連していた。いずれかの高感度トロポニンの高値は、併存疾患の多い少ないに関わらず、全ての原因による死亡リスクの上昇と関連していた。 高感度トロポニンは、死亡リスクの高い糖尿病の高齢患者を識別する為、高齢糖尿病患者の臨床ケアに有用である。

【参考情報】心筋トロポニンTとIの違い

http://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/183.html

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