【2026年度診療報酬改定】疑義解釈その1+その2 徹底解説 ― 193問からクリニック院長が読むべき15問を厳選|施行直前ガイド



はじめに ― 193問、全部読みますか?

6月1日の施行まで、残り約2ヶ月。

3月23日に疑義解釈その1(48問)、4月1日にその2(約145問)が発出され、合わせて193問の疑義解釈が出揃いました。告示・通知で確定した骨格に、実務運用の「肉づけ」がされた形です。

とはいえ、193問のQ&Aを全部読む時間がある院長は、そう多くないはずです。

この記事では、193問の中から「無床内科クリニックの院長が今すぐ確認すべき15問」を厳選し、シリーズ記事①〜⑩との接続を含めて解説します。 特に、記事⑧(告示答え合わせ速報)でお約束した「⚠️5項目の追跡結果」と、記事⑩(CKMリレー型運用)の設計方針が疑義解釈で裏付けられた点を重点的にお伝えします。

読者別ショートカット

お忙しい方は、ご自身の役割に合ったセクションへどうぞ。

・院長(意思決定) → S2 院長が読むべき15問 + S5 ⚠️追跡結果 + S6 施行直前チェックリスト
・医療事務スタッフ(算定実装) → S2 15問のカテゴリA + S3 LSDM深掘り + S6 チェックリスト
・看護師・管理栄養士 → S4 心不全管理料の研修要件 + S6 チェックリスト

確度ラベル(本シリーズ共通)

ラベル

意味

告示・通知・疑義解釈で確定

⚠️

疑義解釈で未回答。その3以降で確定待ち

💭

筆者の推測・予測

1. 193問の全体像 ― 何が出て、何が出なかったか

疑義解釈の位置づけ(おさらい)

診療報酬の法的階層を改めて整理します。

文書

法的位置づけ

内容

告示(官報)

厚労省令

点数表本体・施設基準の骨格

通知(保医発)

告示の補足

留意事項・届出手続き

疑義解釈

事務連絡

通知の運用上のQ&A。審査判断の実務基準

記事④(告示10チェックポイント)で解説したとおり、現場で最も読み込むべきは通知と疑義解釈です。告示で「何点」が決まり、通知で「どう算定するか」が示され、疑義解釈で「このケースはどうなるか」が確定する構造です。

2つの疑義解釈の構成

疑義解釈その1(3月23日発出)

別添1(医科)〜別添5(訪問看護)の5部構成、計48問。告示・通知公布(3月5日)から18日後の発出です。抗菌薬適正使用、電子的診療情報連携、生活習慣病管理料、リハビリ、ベースアップ評価料が中心。

疑義解釈その2(4月1日発出)

別添1(医科)〜別添6(DPC)の6部構成、計約145問。その1の約3倍のボリュームで、入院料・リハビリ・精神科・手術に大きな重心を置きつつ、心不全再入院予防継続管理料(問54〜58)やベースアップ評価料(別添2)など外来関連の重要問も含まれています。

※ 4月1日発出のその2は、3月31日に一度発出された同名の事務連絡を廃止・差し替えた修正版です。

領域別マッピング ― クリニック関連度で見る193問

193問を領域別に整理し、「無床内科クリニックへの関連度」で分類しました。

領域

その1

その2

関連度

生活習慣病管理料・充実管理加算

問33-34

★★★

外来データ提出加算

問4-5

★★★

電子的診療情報連携

問3

問1, 27-31

★★★

心不全再入院予防継続管理料

問54-58

★★★

ベースアップ評価料

ベア問1-2

別添2問1-7

★★★

抗菌薬適正使用体制

問1-2

★★☆

在宅自己注射・処方関連

問37

問65-66

★★★

在支診・往診体制

問88-92

★★☆

リハビリテーション

問38-44

問47-52, 67-68

★★☆

入院料・入退院支援

問6-32

問2-46

★☆☆

精神科

問74-77

★☆☆

手術・麻酔

問78-97

★☆☆

DPC

別添6

★☆☆

歯科・調剤・訪問看護

別添3-5

別添3-5

対象外

★★★の問から15問を厳選したのが、次のS2です。

💭 何が「出なかった」か ― 不在の意味を読む

193問を走査して最も目を引くのは、外来管理料の併算定に関する詳細が一切回答されていないことです。記事⑧・記事⑩で追跡してきた⚠️5項目は、その1・その2ともに未回答でした(詳細はS5で解説)。

その2は入院料・リハビリ・精神科・手術・DPCに重心が置かれており、外来のクリニック向け詳細は「施行後のレセプトデータを見てから判断する」という厚労省の姿勢が透けて見えます。

2. クリニック院長が読むべき15問

193問から、「無床内科クリニック(生活習慣病外来中心)の算定判断・届出準備・労務管理に直結する」という基準で15問を厳選しました。3つのカテゴリに分類して解説します。

カテゴリA:算定判断に直結する6問

これらは「明日のレセプト」に影響します。

#

出典

問番号

テーマ

答の核心

確度

1

その1

問33

LSDM(Ⅰ)(Ⅱ):次回受診日が確定しない場合

患者と十分な相談を行っても日付が確定しない場合、次回受診が必要な時期について指導すればよい

2

その1

問34

LSDM(Ⅰ):「血液検査等」に特定健診データを含むか

含まれる。 特定健康診査その他の健康診断等の結果を参照できる場合も可

3

その2

問55

心不全管理料1/2と3の重複届出

管理料1又は2の届出機関は、管理料3を届出できない(相互排他)

4

その2

問54

心不全管理料の「関係学会のガイドライン」

日本循環器学会及び日本心不全学会の「心不全診療ガイドライン」を指す

5

その2

問65

在宅自己注射薬の院内処方時の調剤料等

当該薬剤のみを処方する場合は算定不可。他剤を併せて処方する場合は別途算定可

6

その2

別添2問4

ベースアップ評価料の同日他科受診

「1日につき」が削除され、同日に別の診療科を受診した場合も算定可能

要するに: LSDMの算定ハードルが下がり(問33・34)、心不全管理料3の設計がクリニック向けに確定し(問55)、ベースアップの算定機会が広がった(別添2問4)。いずれも「取りこぼしを防ぐ」方向の回答です。

カテゴリB:施設基準の準備・手続きに関わる5問

これらは「届出の漏れ・遅れ」を防ぐために確認すべき問です。

#

出典

問番号

テーマ

答の核心

確度

7

その1

問4

外来データ提出加算と充実管理加算の届出

充実管理加算を届出済みでも、外来データ提出加算は改めて様式7の10の届出が必要

8

その1

問5

外来データ提出加算のスケジュール

令和8年11月20日までに届出→試行データ実績→令和9年4月から算定可能

9

その2

問58

心不全管理料の研修要件

①認定看護師教育課程「慢性心不全看護」「心不全看護」、②心不全療養指導士、③7時間以上の研修(4要件すべて充足)

10

その2

問57

心不全管理料のスタッフ経験

複数の施設での経験を合算して施設基準を満たすことが可能

11

その1

問3

電子的診療情報連携体制整備加算の届出

旧加算(医療DX推進体制整備加算等)からの自動移行ではなく、改めて届出が必要

要するに: 「自動移行」の思い込みが最大の落とし穴。充実管理加算→データ提出加算(問4)も、DX関連(問3)も、すべて再届出が必要です。「出し忘れ」で数十万円を逃すケースが実際に起こり得ます。

カテゴリC:全クリニック必須の労務・運営に関わる4問

ベースアップ評価料は全クリニックに影響します。

#

出典

問番号

テーマ

答の核心

確度

12

その1

ベア問1

ベースアップ評価料の「3月31日時点」要件

令和8年3月31日時点で算定している必要あり。4月以降に算定を開始する施設は含まれない

13

その2

別添2問3

新規開設施設の給与実績

(Ⅰ)は届出前1月、(Ⅱ)は届出前3月の給与支払い実績が必要

14

その2

別添2問7

目標未達時の算定可否

3.2%のベースアップに届かなくても、全額を賃金改善に充てていれば算定可能

15

その2

別添2問5

賃金改善の開始月

原則として算定開始月から実施。やむを得ない場合は年度末までに遡及して改善すればよい

3. 充実管理加算・生活習慣病管理料の深掘り

問33が解消した現場の混乱

生活習慣病管理料の算定要件に「次回受診する日の予約を行うこと」が明記されたことで、現場では「予約が取れない患者にはLSDMを算定できないのか?」という混乱が生じていました。

問33の答は明快です。患者と十分な相談を行っても日付が確定しない場合、次回受診が必要な「時期」について指導すれば算定可能。

実務的には、カルテに「次回受診について説明。患者都合により日付未定。○月頃の受診を指導した」と記載しておくことで、返戻リスクを回避できます。

カルテ記載の定型文サンプル(問33対応):

【LSDM(Ⅱ) 次回受診指導】 療養計画に基づき、次回受診の必要性について説明。 患者の都合により受診日は確定せず。 次回受診時期:令和○年○月頃を目安に受診するよう指導。 検査項目:血液化学検査+HbA1c(前回実施日:令和○年○月○日)

この定型文をカルテテンプレートに登録しておけば、該当患者の診察時にすぐ呼び出せます。

問34が開いた「特定健診データ活用」の道

問34は、記事⑧で追跡していた⚠️3(「血液検査等」の「等」の範囲)を部分的に解消した重要な回答です。

LSDM(Ⅰ)の算定留意事項通知では、「6か月以内に血液検査等を実施すること」が要件とされています。問34は、この「血液検査等」について、特定健康診査やその他の健康診断で実施した検査の結果を参照できる場合も含まれることを明確にしました。 ✅

これにより、例えば以下のようなケースで算定のハードルが下がります。

  • 自院での血液検査が6ヶ月超になってしまったが、3ヶ月前に特定健診を受けている患者
  • 職場健診のデータを持参した患者

ただし、健診結果を参照する場合は診療録にその結果を記載することが条件です。事務スタッフとの情報共有が重要です。

⚠️ なお、⚠️3(「等」の範囲)は部分的に解消されたに留まります。尿検査やeGFRが「等」に含まれるかは依然として未確定であり、安全側の運用(血液化学+HbA1c+尿検査を6ヶ月以内に実施)を引き続き推奨します。

問4・問5が示す充実管理加算のロードマップ

問4と問5を組み合わせると、充実管理加算からデータ提出加算への拡張ロードマップが見えてきます。

タイミング

アクション

根拠

済み

充実管理加算の施設基準を届出

令和8年11月20日まで

外来データ提出加算の様式7の10を届出

✅ 問5

届出後

試行データを作成・提出(充実管理加算の既存データを流用可)

✅ 問4

令和9年4月

外来データ提出加算の算定開始

✅ 問5

問4のポイントは「充実管理加算の既存データが流用できる」点です。 充実管理加算を届出済みの施設は、試行データの新規作成が不要になり、作業負荷が大幅に軽減されます。

💭 「充実管理加算のティア判定、自院は何点なのか具体的に知りたい」という方向けに、Excel計算ツールをnoteで準備中です。ティア基準値(上位20%/50%のカットオフ値)は現時点で未公表ですが、基準値が公表され次第、無償アップデート版を提供します。公開時にはこのブログでお知らせします。

4. 心不全管理料の新情報 ― 問54〜58の実務的意味

疑義解釈その2の問54〜58は、心不全再入院予防継続管理料(B001-10)に関する5問です。記事⑥(心不全管理料の基本)、記事⑦(ステートメント解説)、記事⑩(リレー型運用)を前提に、疑義解釈で追加された情報の実務的意味を読み解きます。

5問の一覧

問番号

確定した内容

実務への翻訳

確度

問54

ガイドライン=日本循環器学会+日本心不全学会の「心不全診療ガイドライン」

管理計画書の作成根拠が公式に特定された。記事⑦のステートメントとの整合性も確認

問55

管理料1/2の届出機関は管理料3を届出できない

管理料1/2は病院向け、管理料3はクリニック向けという棲み分けが確定

問56

特別入院基本料算定病棟は管理料1の対象外

クリニックには直接影響なし。連携先病院の確認事項

問57

医師・看護師等の経験は複数施設合算OK

転職歴のあるスタッフの経験を合算できる。施設基準のハードルが緩和

問58

研修要件:3パターンが該当

下表参照。連携先病院のスタッフが要件を満たすかのチェックリストになる

問58の研修要件 ― 3パターンの詳細

パターン

内容

対象

日本看護協会の認定看護師教育課程「慢性心不全看護」「心不全看護」

看護師

日本循環器学会「心不全療養指導士」

医師・看護師・保健師・管理栄養士等

7時間以上の研修(4要件すべて充足)

医師・看護師・保健師・管理栄養士等

パターン③の4要件は以下のとおりです。 ✅

  1. 慢性心不全に関する一定の知識と経験を有する者を対象としていること
  2. 心不全の病態、薬物治療・非薬物治療、療養指導、食事指導、運動指導、地域連携の内容が含まれていること
  3. 慢性心不全の管理に関する実習を含むこと
  4. 医療関係団体が主催し、修了証が発行されていること

★問55の戦略的意義 ― リレー型運用の「唯一の最適解」が確定

問55は、記事⑩で提案した「リレー型運用」の正当性を疑義解釈で公式に裏付けた重要な回答です。

管理料1/2の届出機関は管理料3を届出できない。 ✅ これは裏返せば、クリニック(無床診療所)は管理料3しか届出できないことを意味します。管理料1は入院基本料の届出が前提であり、管理料2も同様の入院機能が求められるためです。

記事⑩で設計した「月1-6は心不全管理料3イ(400点)、月7-12は生活習慣病管理料Ⅱ+充実管理加算(最大363点)にスイッチ」というリレー型運用は、クリニックが取り得る構造的に唯一の合理的設計であることが確定しました。管理料3一択のクリニックにとって、第7ヶ月以降のLSDMスイッチは「選択」ではなく「構造的必然」です。

リレー型運用の詳細は →記事⑩

5. ⚠️5項目 追跡結果 ― 全滅、だが安全側は正解

記事⑧(告示答え合わせ速報)と記事⑩(CKMリレー型運用)で提示した⚠️5項目の最終追跡結果を報告します。

照合結果

疑義解釈その1(3/23)+その2(4/1)+改定通知訂正(4/2)の全文書を照合しました。

#

項目

その1

その2

訂正通知(4/2)

現ステータス

⚠️1

地域包括診療加算×心不全管理料3の併算定

未回答

未回答

名称訂正のみ

⚠️継続

⚠️2

LSDM-Ⅱ×心不全管理料(主病が異なる場合)

未回答

未回答

該当なし

⚠️継続

⚠️3

「血液検査等」の「等」の範囲

部分回答(問34)

未回答

該当なし

⚠️継続(部分✅)

⚠️4

ティア基準値(上位20%/50%)の算出方法

手続き面のみ(問4)

未回答

該当なし

⚠️継続

⚠️5

心不全管理料2×外来栄養食事指導料の運用

未回答

未回答

該当なし

⚠️継続

5項目すべて⚠️が継続。完全に✅に転換した項目はゼロです。

この結果をどう読むか

💭 5項目すべて未回答という結果は、厚労省の意図的な「施行後判断」姿勢だと読んでいます。

その2は入院料・リハビリ・精神科・手術・DPCに重心があり、外来管理料の併算定詳細は明確に後回しにされています。推測ですが、施行後のレセプトデータが蓄積されてから判断する方針ではないかと考えます。

読者へのアドバイス:記事⑩の設計方針(安全側)はそのまま正しい。 ⚠️の項目は「安全側で設計すれば現時点で算定に支障なし」という前提で構築しているため、修正は不要です。仮に将来的に⚠️が✅(算定可)に転換すれば、それはアップサイド(収益増加の余地)になります。

今後の監視ポイント

⚠️の解消は、疑義解釈(その3以降)だけでなく、施設基準Q&A事務連絡審査支払基金の通達など、別形式の文書で出る可能性もあります。疑義解釈だけを監視対象にすると見逃すリスクがある点にご注意ください。

本ブログでは、⚠️項目に関する新たな公式情報が出た時点で続報記事を公開します。

6. 施行直前チェックリスト ― 残り2ヶ月の使い方

記事⑧の48時間アクションプランを、疑義解釈の確定内容を反映して「施行直前版」に更新しました。

4月中:基盤整備

  • ベースアップ評価料の算定状況を確認。3月31日時点で算定していない場合、注意が必要(✅ その1ベア問1)
  • ☐ ベースアップの区分計算を確認。派遣職員を含める場合は派遣元との情報連携体制を構築(✅ その1ベア問2)
  • ☐ 新規開設の場合:給与支払い実績の確保((Ⅰ)は1月、(Ⅱ)は3月必要)(✅ その2別添2問3)
  • ☐ 電子的診療情報連携体制整備加算の再届出を確認。旧加算からの自動移行なし(✅ その1問3)
  • ☐ J-SIPHEデータ提出の第1回締切(4月30日)を確認。提出データの対象期間は2025年10月〜2026年3月

5月:リハーサル・最終確認

  • ☐ レセコンベンダーにマスタ更新スケジュールを確認(充実管理加算のティア選択機能、心不全管理料3の算定コード)
  • ☐ 充実管理加算を届出済みの施設:外来データ提出加算の様式7の10の届出準備を開始(✅ その1問4。11月20日が締切だが、早期準備を推奨)
  • ☐ 心不全管理料3の算定を検討する場合:連携先病院のスタッフが研修要件を満たしているか確認(✅ その2問58。3パターンのいずれかに該当するか)
  • ☐ 心不全管理料3の施設基準:スタッフの経験は複数施設合算が可能であることを念頭に、該当者を特定(✅ その2問57)
  • ☐ LSDM(Ⅰ)の運用フロー見直し:特定健診データの流用ルートを事務スタッフと共有(✅ その1問34)
  • ☐ LSDM(Ⅰ)(Ⅱ)の運用:次回受診日が確定しない患者への対応フローを確認(✅ その1問33。カルテ記載の定型文を準備)
  • ☐ 在宅自己注射薬(インスリン等)の院内処方時の算定ルールを事務スタッフに周知(✅ その2問65)
  • ☐ 複数科を標榜している場合:ベースアップ評価料の同日他科受診での算定ルールを確認(✅ その2別添2問4)

タイムライン(疑義解釈反映・最終版)

時期

アクション

ステータス

✅ 3/5

告示・通知公布

完了

✅ 3/23

疑義解釈その1発出(48問)

完了

✅ 4/1

疑義解釈その2発出(約145問)

完了

✅ 4/2

改定通知訂正(393ページ)

完了

4/30

J-SIPHEデータ提出 第1回締切

★確認

5月中旬

J-SIPHE第1回結果返却

待ち

5月

レセコンマスタ更新・リハーサル運用

準備中

6/1

診療報酬改定 施行

💭 6月以降

疑義解釈その3以降(⚠️項目の解消可能性)

監視中

11/20

外来データ提出加算 届出締切

先を見据えて準備

7. アンチパターン3類型 ― 疑義解釈の「読み違い」で損をする

❌ パターン1:「問34で⚠️3が解消された」と拡大解釈する

問34は「特定健診データの流用可」を確認しただけであり、6ヶ月以内の検査実施義務そのものは変わっていません。 ⚠️3(「血液検査等」の「等」にeGFRや尿検査が含まれるか)は依然として未確定です。

正しい対応: 自院での検査実施を基本とし、健診データは「補完手段」として位置づける。6ヶ月以内に血液化学+HbA1c+尿検査を実施する安全側の運用を継続。

❌ パターン2:「問55でクリニックは心不全管理料を取れない」と誤解する

問55は「管理料1/2と3の相互排他」を確定しただけです。クリニック向けの管理料3は取れます。 管理料3イは400点(6回目まで)、3ロは225点(7回目以降)。入院基本料を届け出ていないクリニックが1/2を取れないのは以前からの構造であり、問55は3の存在を否定するものではありません。

正しい対応: 連携先病院で退院時に管理料1を算定した患者を、クリニックで管理料3として引き受ける。第7ヶ月以降はLSDMⅡ+充実管理加算にスイッチする「リレー型運用」が最適解。

❌ パターン3:「⚠️が5つも未回答=施行準備を延期すべき」と焦る

⚠️5項目はいずれも「安全側で設計すれば、現時点の確定情報だけで十分に算定・収益化が可能」な項目です。⚠️が全部未回答だからといって、施行準備を止める理由にはなりません。

正しい対応: 確定事項で設計・算定し、⚠️が✅に転換したらアップサイドとして享受する。記事⑩のリレー型運用モデル(30人で年間約137万円)は、すべて確定情報だけで成立しています。

8. 2028年度予測 ― 疑義解釈から見える「次の布石」

💭 ここからは私見です。

予測①:⚠️4(ティア基準値)はJ-SIPHEの返却データで実質的に判明する

ティア基準値(上位20%/50%のカットオフ値)は、疑義解釈ではなくJ-SIPHEのデータ提出→結果返却というプロセスで実質的に明らかになる可能性があります。第1回のデータ受付が4月30日締切、結果返却が5月中旬です。この返却データに自院のパーセンタイル順位が含まれるかどうかが注目点です。

予測②:⚠️1・⚠️2の併算定可否は施行後に追加事務連絡で回答される

外来管理料の併算定詳細は、施行後のレセプトデータが蓄積された段階で、2026年度中の追加事務連絡(その3以降、または施設基準Q&A)で回答されると予測します。

予測③:2028年度改定でリレー型運用が公式に推奨される可能性

問55で管理料1/2と3の棲み分けが確定したことで、「病院(管理料1/2)→クリニック(管理料3→LSDM)」という連携モデルのデータが2年分蓄積されます。この実績データが2028年度改定で「地域連携型の心不全管理」として評価される展開もあり得ます。

9. まとめ ― 193問の中の「15問」で施行日を迎える

約190問の疑義解釈から、クリニック院長が今すぐ確認すべきは15問。そして⚠️5項目はすべて未回答ですが、安全側で設計すれば問題なし。

6月1日に向けた残り2ヶ月の使い方で、施行後1年の収益が決まります。

本シリーズでお伝えしてきた積極的対応シナリオ ― 充実管理加算ティア1(30点)、心不全管理料3+リレー型運用、CKD重症化予防、眼科歯科連携 ― を組み合わせれば、年間465〜555万円+αのポテンシャルがあります(各記事の収益シミュレーションの合算値)。

note有料コンテンツのご案内

「What/Why」はこのブログで。「How/How Much」はnoteで。

準備中のツール:充実管理加算ティア判定パック(Excel+フローチャートPDF)― 自院の検査実施率・受診継続率を入力するだけで現在のスコアを算出。ティア基準値確定後に無償アップデート版を提供 – リレー型運用 月別損益計算ツール(Excel)― 30人/50人/100人モデルの月別収益をシミュレーション – コピペ用カルテ記載テンプレート(Word+記入例PDF)― 問33対応の定型文を含む

公開時にはこのブログでお知らせします。ブックマーク、またはSNSフォローでお待ちください。

この記事の弱点3つ

弱点①:⚠️5項目がすべて未回答のまま。 本記事で最も読者が知りたい「併算定の可否」「ティア基準値」について、疑義解釈では回答が出なかった。安全側の運用で問題ないことは確認済みだが、確定情報を提供できなかった点は弱みです。

弱点②:15問の選定は「無床内科クリニック」に特化。 在宅専門クリニック、有床診療所、200床未満の病院にとっての重要問(在支診の往診体制5問、リハビリ関連7問等)は15問に含めていません。読者層を絞った結果として一部の読者の期待に応えられていない可能性があります。

弱点③:疑義解釈その3以降で内容が変わる可能性。 特に⚠️1(併算定)と⚠️2(主病が異なる場合のLSDM×心不全管理料)は、その3で回答が出ればリレー型運用のシミュレーション数値が変動します。本記事の内容は「4月時点のスナップショット」であり、更新の余地があります。

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→ 記事① 生活習慣病管理料

問4・5のデータ提出加算の前提知識

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告示チェックポイント原本

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疑義解釈の法的位置づけ(S1で復習)

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BNP算定の実務基盤

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*本記事は「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和8年3月23日事務連絡)および「疑義解釈資料の送付について(その2)」(令和8年4月1日事務連絡)に基づいています。

*ファクト確度の表記:✅=告示・通知・疑義解釈で確定、⚠️=疑義解釈で未回答、💭=筆者の推測

*疑義解釈その1・その2のPDF原文に直接照合し、全15問の問番号・内容の正確性を検証済みです。

*疑義解釈その3以降の発出があり次第、⚠️項目の追跡続報をお届けします。

*シリーズ関連記事:

記事①:【2026年度診療報酬改定】生活習慣病管理料はこう変わる ― 署名廃止・充実管理加算+地域包括診療加算の対象拡大の全容と収益シミュレーション – やまちゃんの気まぐれ喫茶|医学論文を通じて研鑚に励もう!

記事②:【2026年度診療報酬改定】AIクラーク1.2人換算の衝撃― 診療報酬改定が突きつける医療DXの「本気度」 – やまちゃんの気まぐれ喫茶|医学論文を通じて研鑚に励もう!

記事③:【2026年度診療報酬改定】CKD重症化予防はこう変わる ― 2,000万人×98%未診断の衝撃、SGLT2阻害薬の使い分けとガイドライン3本比較 – やまちゃんの気まぐれ喫茶|医学論文を通じて研鑚に励もう!

記事④:2026年度診療報酬改定】告示・通知で確認すべき10のチェックポイント ― 充実管理加算・DX加算・地域包括診療加算の対象拡大の施設基準はここに書いてある – やまちゃんの気まぐれ喫茶|医学論文を通じて研鑚に励もう!

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