PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32476254/
タイトル:Glucagon-like peptide-1 receptor agonists and sodium-glucose co-transporter-2 inhibitors as combination therapy for type 2 diabetes: A systematic review and meta-analysis
<概要(意訳)>
目的:
2型糖尿病患者におけるGLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の併用療法の有効性と安全性を評価すること。
方法:
2019年12月2日までに、Medline、Embase、Cochrane Library、灰色文献(参考:一般の商業出版ルートでは入手が困難な文献)の情報源から、GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の「同時併用療法」、GLP-1受容体作動薬またはSGLT2阻害薬の「追加療法」の有効性と安全性を成人の2型糖尿病患者を対象に評価したランダム化比較試験を検索した。
主要評価項目は、「HbA1cの変化」とした。
副次評価項目は、「体重、血圧、推算糸球体濾過量の変化、重度の低血糖、全死亡、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心不全による入院の発症率」とした。
変量効果(ランダム効果)モデルによるメタ分析を使用して、データをプールした。
結果:
本研究では、7件の試験(1,913例)が適格基準に合致した。
Diabetes Obes Metab. 2020 Oct; 22(10): 1857-1868.
GLP-1受容体作動薬と比較した、GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の(同時・追加)併用療法のHbA1c(%)、体重(Kg)、収縮期血圧(mmHg)の加重平均差は、それぞれ、
HbA1c:-0.61(95%CI -1.09~-0.14)
体重:-2.59(95%CI -3.68〜-1.51)
収縮期血圧:-4.13(95%CI -7.28〜-0.99)
となり、「HbA1c、体重、収縮期血圧」で低下効果が示された。
SGLT2阻害薬と比較した、GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の(同時・追加)併用療法のHbA1c(%)、体重(Kg)、収縮期血圧(mmHg)の加重平均差は、それぞれ、
HbA1c:-0.85(95%CI -1.19~-0.52)
体重:-1.46(95%CI -2.94〜0.03)
収縮期血圧:-2.66(95%CI -5.26〜-0.06)
となり、「HbA1c、収集期血圧」で低下効果が示された。
体重に関しては、他よりも研究期間が長い一つの試験を除外(108Wでなく、24Wのデータを使用)すると、低下効果が示された[-1.79(95%CI -2.99〜-0.59)]。
併用療法は、重度の低血糖の発症率を増加させなかった。
死亡率と心血管系のアウトカムに関するデータは、殆んどなかった。
Diabetes Obes Metab. 2020 Oct; 22(10): 1857-1868.
結論:
GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の同時または追加の併用療法は、GLP-1受容体作動薬またはSGLT2阻害薬と比較して、重度の手血糖リスクを高めることなく、HbA1c、体重、収縮期血圧を低下させることが示された。
しかしながら、長期的な有効性や心血管系アウトカムの影響に関しては、未だ結論を出すことはできない。
【参考情報】
変量効果モデル(ランダム効果モデル)
http://jspt.japanpt.or.jp/ebpt_glossary/random-effect-model.html
メタ分析における固定効果モデルと変量効果モデルの正当化
加重平均の意味と計算方法