PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33413348/
タイトル:Cardiovascular and renal outcomes with SGLT-2 inhibitors versus GLP-1 receptor agonists in patients with type 2 diabetes mellitus and chronic kidney disease: a systematic review and network meta-analysis
<概要(意訳)>
背景:
SGLT2阻害剤とGLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病(T2DM)患者の心血管・腎イベントのリスクを低下させることが大規模臨床試験で示されている。
しかし、これまでの研究では、CKD(慢性腎臓病)を合併したT2DM患者の心血管・腎イベント抑制効果をSGLT2阻害剤とGLP-1受容体作動薬と比較していない。
本研究では、CKD合併T2DM患者におけるSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬のベネフィットを調査した。
方法:
2020年11月まで系統的文献検索を行い、
3P-MACE(主要な有害心血管イベント)リスクと腎アウトカムの複合を比較したランダム化比較試験を選択した。
ネットワークメタアナリシスにより、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬のリスク比(RR)を間接比較した。
結果:
合計32,949人の患者を対象とした13の研究が選択された。
Cardiovasc Diabetol 2021 Jan 7; 20(1): 14.
SGLT-2阻害薬は、「3P-MACEおよび腎イベント」のリスクをプラセボと比較して有意に低下させた。
リスク比(RR)は、それぞれ、[0.85(95%CI 0.75-0.96)]および[0.68 (95%CI 0.59-0.78)]となった。
一方で、GLP-1受容体作動薬は、「3P-MACEまたは腎イベント」のリスクをプラセボと比較して有意に低下させなかった。
リスク比(RR)は、それぞれ、[0.91(95%CI 0.80-1.04)]または[0.86(95%CI 0.72-1.03)]となった。
GLP-1受容体作動薬と比較して、SGLT2阻害薬は、3P-MACEの有意なリスク低下を示さなかったが[0.94(95%CI 0.78-1.12)]、腎イベントは有意なリスク低下を示した[0.94(95%CI 0.78-1.12)]。
Cardiovasc Diabetol 2021 Jan 7; 20(1): 14.
感度分析により、ヒトGLP-1由来のGLP-1受容体作動薬はプラセボ治療と比較して、3P-MACEの有意なリスク低下を示したが[0.81 (95%CI 0.69-0.95) ]、エキセンディン-4由来のGLP-1受容体作動薬[参考:エキセナチド(バイエッタⓇ2回/日、ビデュリオンⓇ1回/週)、リキシセナチド(リスミアⓇ)]は、有意なリスク低下は示さなかった。
SGLT2阻害薬は、エキセンディン-4由来のGLP-1受容体作動薬と比較して、3P-MACEの有意なリスク低下を示した[0.83(95%CI 0.69-0.99)]。
Cardiovasc Diabetol 2021 Jan 7; 20(1): 14.
結論:
CKD(eGFR<60)を合併した2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬は(プラセボと比較して)「心血管および腎イベント」のリスク低下を示したが、GLP-1受容体では示されなかった。
SGLT2阻害薬は、GLP-1受容体作動薬と比較して「腎イベント」の有意なリスク低下を示した。
感度分析では、ヒトGLP-1由来のGLP-1受容体作動薬とエキセンディン-4由来のGLP-1受容体作動薬における3P-MACEのリスク低下に差異が示された。
【参考情報】
ネットワークメタアナリシス
https://www.pmda.go.jp/files/000211102.pdf
システマティック・レビューとメタ解析について
https://www.dr-kid.net/summary-systematic-review-meta-analysis
感度分析
https://note.com/medengwriter/n/n3a730ad2db54
GLP-1受容体作動薬の分類
https://www.igaku.co.jp/pdf/1610_tonyobyo-03.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/60/9/60_562/_pdf/-char/en