DPP-4阻害薬と比較したSGLT2阻害薬の認知症発症リスク



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36508692/

タイトル:Association of Sodium-Glucose Cotransporter 2 Inhibitors With Time to Dementia: A Population-Based Cohort Study

<概要(意訳)>

目的:

2 型糖尿病は、認知症リスクを高めるが、そのリスクを軽減する介入を推奨する明確なエビデンスは依然として不足している。

この集団ベースの後ろ向きコホート研究は、DPP-4阻害薬と比較したSGLT2阻害薬の新規使用が認知症リスクの低下と関連するかどうかを調査することを目的とした。

 

方法:

2016年7月1日から2021年3月31日までに、過去1年間にいずれの薬剤クラスで治療されず、SGLT2阻害薬(カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン)またはDPP-4阻害薬(リナグリプチン、サクサグリプチン、シタグリプチン)で新規治療された66歳以上のオンタリオ州在住者がコホートの参加対象となった。

コホート登録日にSGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬の両方、複数のSGLT2阻害薬、または複数のDPP-4阻害薬を服用している人は除外された。

また、認知症の病歴がある人やベースラインで長期介護を受けている人は除外された。

 

結果:

106,903例の内、36,513例がSGLT2阻害薬の投与を開始し、70,390例がDPP-4阻害薬の投与を開始した(図1)。

コホートへの参加(治療開始時点)から平均2.80±1.07年の追跡調査および合計192,453人/年のリスク時間にわたり、2,731件の認知症が発生した。

 

ITT解析を用いた一次分析では、SGLT2阻害薬の使用は、DPP-4阻害薬と比較して認知症リスクの低下と関連することが示された[aHR 0.80(95% CI 0.71-0.89)](図2Aおよび表2)。

 

DPP-4阻害薬と比較した各SGLT2阻害薬の認知症リスクは、それぞれ、

ダパグリフロジンにおいて、[aHR 0.67(95% CI 0.53-0.84)]

エンパグリフロジンにおいて、[aHR 0.78(95% CI 0.69-0.89)]

カナグリフロジンにおいて、[aHR 0.96(95% CI 0.80-1.16)]

となり、SGLT2阻害薬の薬剤間で認知症リスクの低下を示す薬剤とそうでない薬剤があることが示された。

 

DPP-4阻害薬と比較したSGLT2阻害薬の性別における認知症リスクは、それぞれ、

女性被験者において、[aHR 0.72(95% CI 0.61-0.86)]

男性被験者において、[aHR 0.85(95% CI 0.74-0.99)]

となり、女性の方が認知症リスクの低下が大きい傾向があるが、性差の交互作用は示されなかった(p=0.150)。

 

DPP-4阻害薬と比較したSGLT2阻害薬の年齢別における認知症リスクは、それぞれ、

75歳以上において、[aHR 0.78(95% CI 0.67-0.91)]

75歳未満において、[aHR 0.84(95% CI 0.72-0.996)]

となり、同等の認知症リスクの低下が示され、年齢での交互作用は示されなかった(p=0.497)。

 

On-treatment解析を用いた二次分析では、コホート登録から平均2.09±0.96年の追跡調査があり、合計117,024例/年のリスク時間にわたり、1,696件の認知症が発生した。

SGLT2阻害薬の使用は、DPP-4阻害薬と比較して認知症リスクの低下と関連することが示された[aHR 0.66(95% CI 0.57-0.76)] (図2Bおよび表2)。

Diabetes Care. 2023 Feb 1;46(2):297-304.

結論:

この大規模集団ベースのコホート研究は、平均2.8年間の追跡期間にわたり、SGLT2阻害薬の使用と認知症リスクの低下において、臨床的に意味のある関連性を実証した。

この関連性は、SGLT2阻害薬によって異なり、ダパグリフロジンとエンパグリフロジンは認知症リスクの低下と関連していたが、カナグリフロジンでは関連していなかった。

潜在的なバイアスを適格化し、最小限に抑えるために複数のアプローチを採用したが、それらは残存交絡の可能性を排除するものではなく、適切に設計されたランダム化対照試験が必要である。

Diabetes Care. 2023 Feb 1;46(2):297-304.

Sponsored Link




この記事を書いた人