2型糖尿病患者の肝脂肪に対するSGLT2阻害薬の影響



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31540903/ 

タイトル:Empagliflozin Effectively Lowers Liver Fat Content in Well-Controlled Type 2 Diabetes: A Randomized, Double-Blind, Phase 4, Placebo-Controlled Trial

<概要(意訳)>

背景:

代謝パラメーターが十分にコントロールされた2型糖尿病の肝臓脂肪含有量(LFC)をナトリウム・グルコース共輸送体 2(SGLT2)阻害剤が低下させるかどうかを評価する。

方法:

2型糖尿病患者[n=84、HbA1c 6.6±0.5%(49±10mmol/mol)、罹病期間39±27ヶ月]をSGLT2阻害薬(エンパグリフロジン25㎎/日)群、またはプラセボ群に無作為に割り付けた。

主要評価項目は、「磁気共鳴法で計測した肝臓脂肪含有量(LFC)のベースラインから24週間の変化量」とした。

副次評価項目は、同位体希釈法による2段階クランプ法で測定した「組織特異的インスリン感受性」とした。

探索的データ分析は、インスリン感受性と肝機能のサロゲート(代用)マーカーで構成した。

各群の統計的比較は、ベースライン値、年齢、性別、BMIを調整したANCOVA(共分散分析)により評価した。

Diabetes Care. 2020 Feb; 43(2): 298-305.

結果:

プラセボ群と比較したSGLT2阻害薬群の24週後における肝臓脂肪含有量(LFC)の絶対変化は-1.8%(95%CI -3.4~-0.2 ; p=0.02)、相対変化は-22%(95%CI -36~-7 ; p=0.009)となった。

この変化量は、SGLT2阻害薬がプラセボよりも2.3倍量のLFCを低下させたことになる。

体重はSGLT2阻害薬群でプラセボ群よりも有意に低下[-2.5kg(95%CI -3.7~-1.4 ; p<0.001)]させたが、組織特異的インスリン感受性(全体、肝臓、脂肪)の変化には差がなかった。

空腹時血糖値(FBG)はSGLT2阻害薬群でプラセボ群よりも有意に低下[-0.7mmol/L(95%CI -1.3~-0.2 ; p=0.01)] させたが、HbA1cの変化には差がなかった。

尿酸はSGLT2阻害薬群でプラセボ群よりも有意に低下[-74 mol/L(95%CI -108~-42 ; p<0.001)]させ、高分子量アディポネクチンは有意に増加[36%(95%CI 16~60 ; p<0.001)](36%[16、60]; P <0.001)させた。

Diabetes Care. 2020 Feb; 43(2): 298-305.

結論:

SGLT2阻害薬は、24週という短期間でも代謝パラメーターがコントロールされた2型糖尿病患者の肝脂肪を効果的に低下させた。

また、インスリン感受性が変化していないにも関わらず、尿酸を減少させ、高分子量アディポネクチンを増加させたのは興味深い。

ゆえに、SGLT2阻害薬は、2型糖尿病患者における非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の早期治療に貢献する可能性があるだろう。

 

【参考情報】

脂肪肝/NAFLD/NASH

http://www.seikatsusyukanbyo.com/guide/fatty-liver.php 

インスリン抵抗性評価の(HOMA-R、正常血糖域クランプ法)違い

https://www.novonordiskpro.jp/content/dam/nnpro/japan/ja/DiabetesCare/OnlineDITN/MainPage/ditn_1507.pdf 

組織特異的なインスリン感受性測定

https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/52/5/52_5_317/_pdf 

「アディポネクチン」が糖尿病リスクを低下 インスリンの働きを強化

https://dm-net.co.jp/calendar/2017/026968.php

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