NAFLD合併2型糖尿病患者の脂肪肝に対するSGLT2阻害薬の効果



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29895557/ 

タイトル:Effect of Empagliflozin on Liver Fat in Patients With Type 2 Diabetes and Nonalcoholic Fatty Liver Disease: A Randomized Controlled Trial (E-LIFT Trial)

<概要(意訳)>

背景:

ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT-2)阻害剤は、齧歯類モデルで脂肪肝を減少させることが示されている。

しかしながら、ヒトの肝脂肪に対するSGLT-2阻害薬の効果に関するデータは殆どない。

本研究では、MRIプロトン密度脂肪画分測定法(MRI-PDFF)を使用して、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)合併2型糖尿病患者の脂肪肝に対するSGLT-2阻害剤の効果を調査した。

方法

2016年3月~2017年5月の間に、NAFLD合併2型糖尿病患者50例をSGLT2阻害薬(標準治療にエンパグリフロジン10 mg/日を追加)群または対照群(標準治療)に無作為に割り付けた。

主要評価項目は、「ベースラインから20週における、MRI-PDFFで測定した脂肪肝の減少」とした。

副次評価項目は、「アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP)値の減少」とした。

結果:

両群間における血糖(HbA1c、FBG)低下作用には、差がなかった(差をつけなかった)。

主要評価項目の「脂肪肝の減少」は、SGLT2阻害薬群の方が対照群より有意な減少が示された(SGLT2阻害薬群と対照群の平均MRI-PDFF差 -4.0%; p<0.0001)。

ベースラインから20週時点の「MRI-PDFFで測定した脂肪肝の減少」では、

SGLT2阻害薬群:16.2% ⇒ 11.3% ; p<0.0001

対象群:16.4% ⇒ 15.5% ; p=0.057

となり、SGLT2阻害薬群で有意な減少が示された。

また、副次評価項目の「ALT、AST、γ-GTPの減少」では、

ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)は2群間で有意な減少を示したが、

AST(p=0.212)とγ-GTP(p=0.057)は有意な減少を示さなかった。

Diaberes Care. 2018 Aug; 41(8): 1801-1808.

結論:

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)合併2型糖尿病患者の標準治療にSGLT2阻害薬を追加することで、脂肪肝の減少とALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)値の改善が認められた。

 

【参考情報】

NAFLD/NASH(日本消化器病学会ガイドライン)

https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/nafld.html 

AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP

https://www.kanen-net.info/kanennet/knowledge/inspection01 

γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(略称:γ-GT、別名:γ-GTP、GGT)

https://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/index.cgi?c=speed_search-2&pk=99 

肝線維化・脂肪化診断の進歩と将来展望

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kanzo/59/8/59_407/_pdf/-char/ja

非アルコール性脂肪性肝疾患の発症機構を解明

https://www.amed.go.jp/news/seika/kenkyu/20200501-02.html 

肝臓の機能理解のための解剖学

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsma1939/58/5/58_5_411/_pdf

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