2型糖尿病患者の血糖・血圧・脂質目標達成率と合併症有病率



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27752329/ 

タイトル:Large-scale survey of rates of achieving targets for blood glucose, blood pressure, and lipids and prevalence of complications in type 2 diabetes (JDDM 40)

<概要(意訳)>

背景:

2型糖尿病患者の人口と体重の増加に伴い、治療目標達成率と合併症の有病率を調査することは重要である。

本研究では、全国多施設コホート研究を通じて2型糖尿病患者の治療目標達成率と細小血管/大血管合併症の有病率を調査した。

方法:

糖尿病専門医が所属する全国7施設の診療所に通院している2型糖尿病患者9,956例の患者を対象に全国横断調査を実施した。

細小血管(腎症、網膜症、神経障害)/大血管(冠動脈疾患、虚血性脳卒中、末梢動脈疾患)の有病率、「HbA1c<7.0%、血圧<130/80mmHg、LDL<120㎎/dL、HDL≧40㎎/dL、non-HDL<150㎎/dL」の目標達成率を調査した。

研究期間中に最も一般的な血糖降下薬は、メトホルミンとDPP-4阻害薬の組み合わせであった。

結果:

ベースラインの患者背景(平均)は、年齢65歳、糖尿病罹病期間14年、BMI 24.9 kg/m、血圧126/72 mmHg、HbA1c 7.04%、腎症29.5%、微量アルブミン尿23.9%、蛋白尿5.6%、網膜症26.4%、神経障害27.7%であった。

全体における3つ(HbA1c、血圧、脂質)の治療目標達成率は、それぞれ、

52.9%、46.8%、65.5%であった。

全体における細小血管合併症(腎症、網膜症、神経障害)の有病率は、それぞれ、

29.5%、26.4%、27.7%であった。

BMJ Open Diabetes Res Care. 2016 Oct3; 4(1): e000294.

3つ(HbA1c、血圧、脂質)の治療目標を達成した患者の細小血管合併症(腎症、網膜症、神経障害)の有病率は、それぞれ、

21.7%、21.4%、24.0%であった。

2つ(HbA1c/血圧/脂質)の治療目標を達成した患者の細小血管合併症(腎症、網膜症、神経障害)の有病率は、それぞれ、

25.8%、23.8%、25.4%であった。

1つ(HbA1c/血圧/脂質)の治療目標を達成した患者の細小血管合併症(腎症、網膜症、神経障害)の有病率は、それぞれ、

33.7%、30.0%、31.2%であった。

3つ(HbA1c、血圧、脂質)の治療目標が未達成の患者の細小血管合併症(腎症、網膜症、神経障害)の有病率は、それぞれ、

43.2%、33.2%、31.7%であった。

3つの治療目標の未達成度は、とくに「腎症」の有病率の増加と比例した。

 

大血管合併症(冠動脈疾患)の無い患者の細小血管合併症(腎症、網膜症、神経障害)の有病率は、それぞれ、

27.8%、24.4%、25.8%であった。

大血管合併症(冠動脈疾患)の有る患者の細小血管合併症(腎症、網膜症、神経障害)の有病率は、それぞれ、

41.2%、38.8%、41.5%であった。

大血管合併症の有る患者の細小血管合併症の有病率は、より上昇した。

BMJ Open Diabetes Res Care. 2016 Oct3; 4(1): e000294.

BMI<25の患者の3つ(HbA1c、血圧、脂質)の治療目標達成率は、それぞれ、

57.1%、51.5%、70.5%であった。

25≦BMI<30の患者の3つ(HbA1c、血圧、脂質)の治療目標達成率は、それぞれ、

48.6%、42.3%、60.7%であった。

BMI≧30の患者の3つ(HbA1c、血圧、脂質)の治療目標達成率は、それぞれ、

44.7%、36.2%、55.1%であった。

BMIの上昇に伴い、3つの治療目標達成率は低下した。

 

BMI<25の患者の細小血管合併症(腎症、網膜症、神経障害)の有病率は、それぞれ、

25.1%、24.8%、26.9%であった。

25≦BMI<30の患者の細小血管合併症(腎症、網膜症、神経障害)の有病率は、それぞれ、

34.1%、28.5%、29.0%であった。

BMI≧30の患者の細小血管合併症(腎症、網膜症、神経障害)の有病率は、それぞれ、

37.9%、27.8%、28.2%であった。

BMIの上昇に伴い、「腎症」の有病率が増加した。

BMJ Open Diabetes Res Care. 2016 Oct3; 4(1): e000294.

結論:

本研究(JDDM40)の対象となった被験者の約半数は、HbA1c、血圧、脂質の治療目標を達成していなかった。

これらの治療目標の未達成度は、細小血管合併症の有病率と比例した。

また、BMIの上昇に伴い、HbA1c、血圧、脂質の未達成度の増加と細小血管合併症の有病率の増加が示された。

修正可能な危険因子と合併症を含めた糖尿病のトータルケアが重要であることが示唆された。

 

【参考情報】

わが国の糖尿病のトレンド(総説)斎 藤 重 幸

http://www.jacd.info/library/jjcdp/review/53-3_01_saitou.pdf 

non-HDLコレステロールとは?

https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1107.html 

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