LDLコレステロールレベル別の心血管転帰に対するSGLT2阻害薬の効果



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33307785/ 

タイトル:Cardiovascular outcomes and LDL-cholesterol levels in EMPA-REG OUTCOME ®

<概要(意訳)>

背景:

LDLコレステロール値の増加は、心血管リスクの増加に関連していることは既知の事実である。

本研究では、EMPA-REG OUTCOME試験の心血管転帰に対するSGLT2阻害薬(エンパグリフロジン)の効果は、ベースラインのLDLコレステロールレベルによって変化するかどうかを分析した。

方法:

EMPA-REG試験では、心血管リスクの高い2型糖尿病の被験者は、標準治療に加えてエンパグリフロジン(10/25㎎)またはプラセボを投与されていた。

 

「3P-MACE(心血管死・脳卒中・心筋梗塞)、心血管死、心不全による入院、全死亡」の心血管転帰に対するプラセボと比較したSGLT2阻害薬の効果をベースラインのLDLコレステロール(参考:基準値60~119mg/dl)を6つのレベル[<1.8 mmol/L(70 mg/dL)、1.8- <2.2 mmol/L(70-<85mg/dL)、2.2- <2.6 mmol/L(85–<100mg/dL)、2.6-3.0 mmol/L(100–<115mg/dL)、> 3.0 mmol/L(>115mg/dL)]別に分析した。

結果:

7,020例の内、81.0%が脂質低下療法(77.0%がスタチン治療)を受けていた。

平均のLDLコレステロールは、2.2±0.9mmol/Lであり、38%は<1.8mmol/L、18%は>3.0mmol/Lであった。

 

6つのLDLコレステロールグループ間で、年齢、BMI、HbA1cは差がなかったが、最低値群は最高値群と比較して、冠動脈疾患(83.0% vs 59.9%)とスタチン治療(88.2% vs 50.9%)の割合が多かった。

 

プラセボ群と比較したSGLT2阻害薬群の全体における「3P-MACE」のハザード比は、HR 0.86(95%CI 0.74-0.99)であったが、LDLコレステロール別のサブグループ間でも一貫した効果が示された(交互p=0.279)。

 

プラセボ群と比較したSGLT2阻害薬群の全体における「心血管死」のハザード比は、HR 0.62(95%CI 0.49-0.77)であったが、LDLコレステロール別のサブグループ間でも一貫した効果が示された(交互p=0.085)。

 

プラセボ群と比較したSGLT2阻害薬群の全体における「心不全による入院」のハザード比は、HR 0.65(95%CI 0.50-0.85)であったが、LDLコレステロール別のサブグループ間でも一貫した効果が示された(交互p=0.501)。

 

プラセボ群と比較したSGLT2阻害薬群の全体における「全死亡」のハザード比は、HR 0.68(95%CI 0.57-0.82)であったが、LDLコレステロール別のサブグループ間でも一貫した効果が示された(交互p=0.156)。

 

ゆえに、SGLT2阻害薬群は、LDLコレステロール別のカテゴリー全体で、一貫して全ての心血管転帰リスクの減少を示した(すべての交互p値> 0.05)。

Diab Vasc Dis Res. Nov-Dec 2020;17(6):1479164120975256.

結論:

SGLT2阻害薬(エンパグリフロジン)の有益な心血管保護効果は、ベースラインのLDLコレステロールレベルに関わらず一貫していた。

【参考情報】

LDLコレステロール基準値はどれくらい?高い場合・低い場合の症状

https://feely.jp/4592658/ 

脂質異常症の薬物療法と注意点

https://medicalnote.jp/contents/160304-009-JX 

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