CVRDのない2型糖尿病患者の心腎リスク比較_SGLT2阻害薬 vs DPP-4阻害薬



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32893440/ 

タイトル:Lower cardiorenal risk with sodium-glucose cotransporter-2 inhibitors versus dipeptidyl peptidase-4 inhibitors in patients with type 2 diabetes without cardiovascular and renal diseases: A large multinational observational study

<概要(意訳)>

背景:

心血管および腎疾患(CVRD)がない2型糖尿病患者を対象に、SGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬の「心血管疾患、心不全(HF)、慢性腎臓病(CKD)」の発症リスクを比較した。

方法:

本研究(観察コホート研究)では、2012~2018年にかけて、「英国、ドイツ、日本、ノルウェー、韓国、スウェーデン」の電子健康記録(EHR)から患者を特定した。

合計で、CVRDがない2型糖尿病患者にSGLT2阻害薬またはDPP-4阻害薬を新規処方された1,006,577例が、傾向スコアを用いて1:1にマッチングされた。

未調整のCox回帰分析を使用して、「心腎疾患、HF、CKD、脳卒中、心筋梗塞(MI)、全ての原因による死亡、心血管死」のハザード比(HR)を推定した。

結果:

両群の平均年齢は56歳、女性は43%、フレイルは10%であった。

DPP-4阻害薬と比較したSGLT2阻害薬の「心腎疾患のハザード比(全体/日本)」は、

HR 0.56(95%CI 0.42-0.74)/ HR 0.35(95%CI 0.27-0.45)であった。

DPP-4阻害薬と比較したSGLT2阻害薬の「HFのハザード比(全体/日本)」は、

HR 0.71(95%CI 0.59-0.86)/ HR 0.63(95%CI 0.43-0.92)であった。

DPP-4阻害薬と比較したSGLT2阻害薬の「CKDのハザード比(全体/日本)」は、

HR 0.44(95%CI 0.28-0.69)/ HR 0.23(95%CI 0.17-0.32)であった。

DPP-4阻害薬と比較したSGLT2阻害薬の「脳卒中のハザード比(全体/日本)」は、

HR 0.87(95%CI 0.69-1.09)/ HR 0.54(95%CI 0.37-0.78)であった。

DPP-4阻害薬と比較したSGLT2阻害薬の「心筋梗塞のハザード比(全体/日本)」は、

HR 0.94(95%CI 0.80-1.11)/ HR 1.56(95%CI 0.65-3.72)であった。

DPP-4阻害薬と比較したSGLT2阻害薬の「全死亡のハザード比(全体/日本)」は、

HR 0.67(95%CI 0.59-0.77)/ HR 0.62(95%CI 0.46-0.84)であった。

DPP-4阻害薬と比較したSGLT2阻害薬の「心血管死のハザード比(全体)」は、

HR 0.61(95%CI 0.44-0.85)であった。

ゆえに、脳卒中と心筋梗塞を除いて、SGLT2阻害薬の心腎疾患・HF・CKD・全死亡・心血管死の発症リスクは、DPP-4阻害薬よりも低かった。

Diabetes ObesMetab. 2021 Jan; 23(1): 75-85.

また、心腎疾患発症リスクを「年齢(65歳以上、未満)、性別、RAS阻害薬/ループ利尿薬/β遮断薬/インスリン/SU薬/スタチンの有無」でサブ解析しても、交互作用は認められず一貫した結果が示された。

Diabetes ObesMetab. 2021 Jan; 23(1): 75-85.

結論:

心血管疾患および腎疾患(CVRD)がない2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬の心腎疾患の発症リスクは、DPP-4阻害薬よりも低いことが示された。

SGLT2阻害薬の大規模臨床試験で証明された心腎疾患のリスク低下は、実臨床にも当てはまるだろう。

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