日本人2型糖尿病患者における心血管アウトカム比較_SGLT2阻害薬 vs その他



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32530554/ 

タイトル:Sodium-glucose cotransporter 2 inhibitors compared with other glucose-lowering drugs in Japan: Subanalyses of the CVD-REAL 2 Study

<概要(意訳)>

背景:

日本は、他国と比較して、メトホルミンの使用量が少なく、DPP-4阻害薬の使用量が多いことが特徴であり、2型糖尿病治療薬の心血管系に対する有効性と安全性データは限られている。

本研究では、CVD-REAL 2試験における日本人2型糖尿病患者の心血管転帰を調査した。

方法:

CVD-REAL 2試験(匿名化された医療データベースを使用して、2型糖尿病患者の治療をSGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬、他の糖尿病治療薬で開始したデータを収集した後ろ向きコホート研究)において、日本人2型糖尿病患者の心血管転帰を「SGLT2阻害薬(n=33,890)vs 他の糖尿病治療薬(n=33,890)」、「SGLT2阻害薬(n=9,876)vs DPP-4阻害薬(n=9,876) 」のグループを、それぞれ、1:1で比較した。

結果:

SGLT2阻害薬で多く使用されていた薬剤は、「ダパグリフロジン、イプラグリフロジン、エンパグリフロジン」で70%を占めていた。

他の糖尿病治療薬の内訳は、「DPP-4阻害薬(19.9%)、メトホルミン(17.8%)、インスリン(15.7%)、SU薬(12.2%)、α-グルコシダーゼ阻害薬(10.8%)、チアゾリジン薬(8.8%)、グリニド薬(8.5%)、GLP-1受容体作動薬(6.1%)」であった。

1:1で比較したグループの「SGLT2阻害薬vs 他の糖尿病治療薬(oGLD)」、「SGLT2阻害薬vs DPP-4阻害薬」における変数の標準化差異は10%未満であり、患者特性は一致していた。

他の糖尿病治療薬(oGLD)と比較した、SGLT2阻害薬の心血管転帰のハザード比は、それぞれ、

院内死亡:HR 0.56(95%CI 0.47-0.67)、p<0.001

心不全による入院:HR 0.75(95%CI 0.64-0.89)、p=0.001

心不全による入院/死亡:HR 0.65(95%CI 0.58-0.74)、p<0.001

心筋梗塞:HR 0.75(95%CI 0.50-1.14)、p=0.176

脳卒中:HR 0.66(95%CI 0.52-0.84)、p=0.001

となり、CVD(心血管疾患)の既往のある患者(約16%)とない患者(約84%)においても、同様の傾向が認められた。

J Diabetes Investig. 2021 Jan;12(1):67-73.

DPP-4阻害薬と比較した、SGLT2阻害薬の心血管転帰のハザード比は、それぞれ、

院内死亡:HR 0.52(95%CI 0.36-0.73)、p<0.001

心不全による入院:HR 0.79(95%CI 0.56-1.10)、p=0.158

心不全による入院/死亡:HR 0.65(95%CI 0.51-0.83)、p=0.001

心筋梗塞:HR 1.09(95%CI 0.46-2.56)、p=0.846

脳卒中:HR 0.64(95%CI 0.39-1.04)、p=0.071

となり、CVD(心血管疾患)の既往のある患者(約14%)とない患者(約86%)においても、同様の傾向が認められた。

J Diabetes Investig. 2021 Jan;12(1):67-73.

結論:

日本の実臨床における2型糖尿病治療は、DPP-4阻害薬または他の糖尿病治療薬(DPP-4阻害薬、メトホルミン、インスリン、SU薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬、グリニド薬、GLP-1受容体作動薬)と比較して、SGLT2阻害薬で治療を開始した方が、「院内死亡、心不全による入院、脳卒中」等の心血管イベントのリスク低下に寄与することが示された。

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