日本版高出血リスク評価基準によるPCI施行後の高出血リスク患者の同定



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33298644/ 

タイトル:Application of the Modified High Bleeding Risk Criteria for Japanese Patients in an All-Comers Registry of Percutaneous Coronary Intervention ― From the CREDO-Kyoto Registry Cohort-3 ―

<概要(意訳)>

背景:

日本版高出血リスク(J-HBR)評価基準に該当する患者の「有病率」と現状の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行後の「出血イベント発症率」は未だ明らかになっていない。

方法:

初回のPCIを施行した連続13,258例の患者を登録したCREDO-Kyoto Registry Cohort-3[ 日本における経皮的冠動脈インターベンション(PCI)および冠動脈バイパス手術(CABG)のレジストリー(コホートIII)]にJ-HBR評価基準を適用した。

この評価基準には、ARC-HBR(学術研究コンソーシアムが提唱する出血高リスク)基準 に加えて、心不全、低体重(男性<55kg、女性<50kg)、末梢動脈疾患、虚弱(フレイル)などの日本固有の主要基準が含まれている。

結果:

CREDO-Kyoto Registry Cohort-3(n=1,3258)において、J-HBR基準に該当する患者[J-HBR群]は8,496人(64%)、J-HBR基準に該当しない患者[非J-HBR群]は4,762人(36%)であった。

また、J-HBR基準に該当する患者は8,496人(64%)であったが、ARC-HBR基準に該当する患者は6,407人(48%)であった。

Circ J. 2020 Dec 8. doi: 10.1253/circj. CJ-20-0836.

BARC出血基準3または5に該当する出血イベントの5年累積発症率は、非J-HBR群よりも、J-HBR群の方が有意に高かった(1年時点:14.0% vs 4.1%、5年時点:23.1% vs 8.4%、p<0.0001)。

心筋梗塞または虚血性脳卒中の5年累積発症率も、J-HBRグループの方が非J-HBR群よりも、J-HBR群の方が有意に高かった(1年時点:6.9% vs 3.6%、5年時点:13.2% vs 7.1%、p<0.0001)。

Circ J. 2020 Dec 8. doi: 10.1253/circj. CJ-20-0836.

J-HBR基準(大基準11項目、小基準5項目)を「小基準≧2つ、大基準1つ、大基準2つ、大基準≧3つ」の4つに分類し、非HBR基準(8.4%)と比較した、出血イベントの5年累積発症率は、それぞれ、「12.2%、18.7%、28.6%、37.4%」となり、J-HBR群の基準を満たす程、出血イベント発症率が増加した。

Circ J. 2020 Dec 8. doi: 10.1253/circj. CJ-20-0836.

結論:

日本版高出血リスク(J-HBR)評価基準は、経皮的冠動脈インターベンション( PCI )施行後の出血イベント発症リスクが高い患者を特定することが示された。

これらの患者は、CREDO-Kyoto Registry Cohort-3の登録患者の64%を占めていた。

 

【参考情報】

「日本版 HBR 評価基準」の策定

https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2020_Kimura_Nakamura.pdf

BARC 出血基準

https://www.readcube.com/articles/10.1253/jjcsc.21.1_38

 

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