PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33281141/
タイトル:Optimal Duration for Dual Antiplatelet Therapy After Left Main Coronary Artery Stenting
<概要(意訳)>
背景:
左冠動脈主幹部(LMCA)病変に薬剤溶出ステント(DES)を留置する冠動脈インターベンションは、良好な臨床転帰を示している。
しかしながら、LMCA病変のDES留置後の二重抗血小板療法(DAPT)の最適期間は、未だ調査されていない。
方法:
韓国のKOMATEレジストリにおいて、左冠動脈主幹部(LMCA)病変に薬剤溶出ステント(DES)留置後1年間で心血管(心臓死、心筋梗塞、ステント血栓症、虚血性脳卒中)と大出血を含む有害事象を経験しなかった1,004例を分析した。
潜在的な交絡因子を調節するために、傾向スコア分析(IPTW法)を実施した。
被験者は、二重抗血小板療法(DAPT)の期間で、DAPT≦12ヶ月(中央値9.1ヶ月)群[n=503]とDAPT>12ヶ月(中央値29.9ヶ月)群 [n=501]の2群に分けた。
主要評価項目は、純臨床有害事象(NACE:心臓死、心筋梗塞、ステント血栓症、大出血の複合)とした。
結果:
追跡期間(中央値4.5年)中のLMCA病変に対するDES留置後のNACE(虚血・出血イベント)の発症リスクは、DAPT≦12ヶ月群[n=503]と比較して、DAPT>12ヶ月群 [n=501]の方が有意に低かった[HR 0.53(95%CI 0.29-0.99)、p=0.05]。
また同様に、「現世代のDESを留置」された被験者のLMCA病変に対するDES留置後のNACE(虚血・出血イベント)の発症リスクは、DAPT≦12ヶ月群[n=431]と比較して、DAPT>12ヶ月群 [n=258]の方が有意に低かった[HR 0.27(95%CI 0.09-0.84)、p=0.02]。
追跡期間(中央値4.5年)中のLMCA病変に対するDES留置後の大出血(TIMI基準)の発症リスクは、DAPT≦12ヶ月群[n=503]と比較して、DAPT>12ヶ月群 [n=501]は同等であった[HR 0.53(95%CI 0.29-0.99)、p=0.05]。
また同様に、「現世代のDESを留置」された被験者のLMCA病変に対するDES留置後の大出血の発症リスクは、DAPT≦12ヶ月群[n=431]と比較して、DAPT>12ヶ月群 [n=258]は同等であった[HR 1.19(95%CI 0.21-6.69)、p=0.85]。
Cir J.2020 Dec 5. doi : 10.1253/circj. CJ-20-0362.
結論:
左冠動脈主幹部(LMCA)病変に薬剤溶出ステント(DES)を留置した患者において、大出血がなく二重抗血小板療法(DAPT)を継続できる場合、12ヶ月を超えるDAPT期間は、「長期の安全性は同等で虚血イベントには有効」であることが示された。
【参考情報】
傾向スコア分析
https://waidai-csc.jp/updata/2019/05/7e3a9ea92b282ede82550e81a73c6b54.pdf
冠動脈疾患患者における抗血栓療法
https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2020_Kimura_Nakamura.pdf