心房細動カテーテルアブレーションの適応を評価するHEAL-AFスコア



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33335616/ 

タイトル:A novel and simple scoring system for assessing the indication for catheter ablation in patients with atrial fibrillation: The HEAL-AF Score

<概要(意訳)>

背景:

心房細動(AF)のカテーテルアブレーション(CA)の適応を決定するスコアリングシステムが望まれている。

方法:

連続2,898例のAF患者の内、938例(32.4%)にカテーテルアブレーション(CA)治療が施行された。

CA治療の適応を決定する為の新しいスコアリングシステムであるHEAL-AFスコアは、多変量解析によって、「NYHA分類≧Ⅱ度、高齢者(≧75歳)、無症候性心房細動、長期持続性(慢性)心房細動、左房径≧50mm、女性」の6変数から構成され、各変数1点を割り付けた。

J Arrhythm. 2020 Sep 2; 36(6): 997-1006.

結果:

CA治療を施行された938例のAF患者とHEAL-AFスコアの内訳は、0点(489例)、1点(338例)、2点(85例)、≧3点(26例)となり、各点数におけるCA施行率はHEAL-AFスコアが低いほど高かった[0点:52.0%、1点:36.5%、2点:15.1%、≧3点:5.6%]。

 

HEAL-AFスコアの増加に伴い、総処置時間、透視時間、アブレーション時間の全てが長くなり[全てのp<0.001]、CFAEアブレーション(心房内分裂電位の焼灼)[p=0.007]と左房線状アブレーション[p<0.001]を含む基質の修飾頻度が増加した[p<0.001]。

 

初回のCA治療後のAF非再発の累積イベント率(平均追跡期間36.5±28.8ヶ月)は、HEAL-AFスコア0点で73.2%、1点で71.0%、2点で60.0%、≧3点で50.0%であった(ログランク検定p=0.004)。

J Arrhythm. 2020 Sep 2; 36(6): 997-1006.

HEAL-AFスコア 0点を基準とした、AF再発の未調整ハザード比(HR)は、それぞれ、

1点:1.141(95%CI 0.868-1.498)、p=0.344

2点:1.755(95%CI 1.192-2.583)、p=0.004

≧3点:2.211(95%CI 1.246-3.923)、p=0.007となり、

HEAL-AFスコア2点と≧3点は、AFの再発と有意な関連を示した。

 

HEAL-AFスコアの6変数を使用した多変量Cox回帰モデルでは、

長期持続性AF[HR 1.858(95%CI 1.291-2.674]、p=0.001]と女性[HR 1.370(95%CI 1.029-1.824)、p=0.031]が「AF再発」の独立した予測因子であった。

 

HEAL-AFスコアの6変数を使用した多変量ロジスティック回帰モデルでは、

女性[OR 1.706(95%CI 1.153-2.931)、p=0.009]は、「非PVトリガー(肺静脈からの期外刺激がない)」の独立した予測因子であった。

また、無症候性AF[OR 2.144(95%CI 1.568〜2.931)、p<0.001]、長期持続性AF[OR 2.150(95%CI 1.265〜3.654)、p=0.005]、LAD(左房径)≧50mm[OR 1.061(95%CI 1.081-3.534)、p<0.025]は、「基質修飾」の独立した予測因子であった。

J Arrhythm. 2020 Sep 2; 36(6): 997-1006.

結論:

新しいHEAL-AFスコア[6変数、各1点:NYHA分類≧Ⅱ度、高齢者(≧75歳)、無症候性心房細動、長期持続性心房細動、左房径≧50mm、女性]は、心房細動カテーテルアブレーション治療後の適応[0点:肺静脈隔離術(PVI)のみのCAでも有用、1点:CAの成功率高い、2点:慎重な患者選定と特定の心筋焼灼術を検討する必要がある、3点:CA施行した患者は少なかった]と再発に関連していた。

HEAL-AFスコア2点、3点以上の心房細動患者におけるカテーテルアブレーション治療は慎重に検討する必要があるだろう。

 

【参考情報】

心房細動のメカニズムとアブレーションの理論的根拠

https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo/41/6/41_41_606/_pdf/-char/ja 

心房細動アブレーション後の心房細動誘発性と左房本体 および,左心耳の容積と dominant frequencyの関係

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jse/33/4/33_291/_pdf/-char/ja 

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