メタ解析におけるCOPD吸入治療薬の有効性比較_Triple vs Dual



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32994234/ 

タイトル:Inhaled therapies for chronic obstructive pulmonary disease: a systematic review and meta-analysis

<概要(意訳)>

目的:

ネットワークメタアナリシスを使用して、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の吸入治療の有効性を検討したランダム化比較試験(RCT)と観察研究のエビデンスを統合することを目的とした。

方法:

所定の手順に基づいて、「MEDLINE」と「Embase」を系統的に検索した。

RCTのネットワークメタアナリシスでは、COPD吸入治療薬の「増悪(長期:20週間以上の治療期間、短期:20週間未満の治療期間)、肺機能(1秒量:FEV1)、健康関連のQOL(SGRQスコア)、死亡率、有害事象、肺炎」に対する有効性を調査した。

また、観察研究におけるCOPD吸入治療薬の有効性は、RCTの結果と定性的な比較を行った。

結果:

本研究では、「212件のRCTと19件の観察研究」がネットワークメタアナリシスの対象となった。

 

「20週以上の治療が必要な急性増悪」に対する効果は、LAMA+LABA(dual療法)と比較して、Triple療法(LAMA+LABA+吸入コルチコステロイド)は、

0.85(95%CI 0.78~0.94)となり、

有意な効果を示した。

 

「20週未満の治療が必要な急性増悪」に対する効果は、LAMA+LABA(dual療法)と比較して、Triple療法(LAMA+LABA+吸入コルチコステロイド)は、

0.67(95%CI 0.49~0.92)となり、

有意な効果を示した。

 

「1秒量」と「トラフ1秒量」の肺機能に対する効果は、LAMA+LABA(dual療法)と比較して、

Triple療法(LAMA+LABA+吸入コルチコステロイド)は、

0.02(95%CI -0.10~0.14)と-0.03(95%CI -0.04~0.11)となり、

有意な効果を示さなかった。

 

健康関連のQOL(SGRQスコア)に対する効果は、LAMA+LABA(dual療法)と比較して、Triple療法(LAMA+LABA+吸入コルチコステロイド)は、

-1.12(95%CI -3.83~1.59)となり、

有意な効果は示さなかった。

 

「死亡率」に対する効果は、LAMA+LABA(dual療法)と比較して、Triple療法(LAMA+LABA+吸入コルチコステロイド)は、

0.72(95%CI 0.59~0.89)となり、

有意な効果を示した。

 

「有害事象」に対する影響は、LAMA+LABA(dual療法)と比較して、Triple療法(LAMA+LABA+吸入コルチコステロイド)は、

1.02(95%CI 0.96~1.08)となり、

同等であった。

 

「肺炎」に対する影響は、LAMA+LABA(dual療法)と比較して、Triple療法(LAMA+LABA+吸入コルチコステロイド)は、

1.35(95%CI 1.10~1.67)となり、

有意な悪化が示された。

BMJ Open. 2020 Sep 29;10(9):e036455.

また、観察研究データの大半は、RCTデータと一貫した結果を示していた。

結論:

トリプル療法(LAMA+LABA+吸入コルチコステロイド)の恩恵を享受できるCOPD患者の特性を完全に理解するには、更なるエビデンス、とくに実用的な試験を実施する必要があるだろう。

 

【参考情報】

ネットワークメタアナリシス

https://www.pmda.go.jp/files/000211102.pdf 

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