心房細動患者における虚血性脳卒中・頭蓋外出血・頭蓋内出血の発症時期



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32863288/ 

タイトル:Seasonal Variations in the Incidence of Ischemic Stroke, Extracranial and Intracranial Hemorrhage in Atrial Fibrillation Patients

<概要(意訳)>

背景:

心房細動(AF)患者の重篤な有害事象である虚血性脳卒中(IS)と大出血の発症には、季節変動がある可能性があるが、実際の報告はほとんどない。

方法:

2004年~2016年の心研データベース(n=22,018)から、AF患者[平均年齢63.5歳、男性2,656人(74.2%)、持続性AF 1,388人(38.8%)]3,581人を分析対象とした。

結果:

CHADSスコアとHAS-BLEDスコアの中央値は、ともに1点であった。

経口抗凝固薬は2,082人(58.1%)の患者に処方され、その内訳は、ワルファリン 1,214人、DOACs(直接経口抗凝固薬) 868人であった。

IS(虚血性脳卒中)、頭蓋外出血(ECH)、頭蓋内出血(ICH)の発症を、最大3年間の観察期間で、季節[春:3~5月、夏:6~8月、秋:9~11月、冬:12~1月]ごとに集計した。

春、夏、秋、冬におけるIS(虚血性脳卒中)の発症率(1,000人/年)は、それぞれ、8.5、8.8、7.5、16.8であった。

春、夏、秋、冬における頭蓋外出血(ECH)の発症率(1,000人/年)は、それぞれ、7.2、9.7、3.8、13.1であった。

春、夏、秋、冬における頭蓋内出血(ICH)の発症率(1,000人/年)は、それぞれ、2.7、1.9、3.8、7.0であった。

Circ J. 2020 Aug 28. doi: 10.1253/circj. CJ-20-0134.

平均2.4年間のフォローアップ期間中、IS(虚血性脳卒中)、頭蓋外出血(ECH)、頭蓋内出血(ICH)の発症は、それぞれ、90例、73例、33例であった。

夏における頭蓋外出血(ECH)の発症では、DOACsの服用患者数で若干増加が認められた。

この内訳は、[None:3人、ワルファリン:8人、DOACs:10人]であった。

一方で、秋における頭蓋外出血(ECH)と頭蓋内出血(ICH)の発症は、DOACsの服用患者では認められなかった。

Circ J. 2020 Aug 28. doi: 10.1253/circj. CJ-20-0134.

結論:

心房細動(AF)患者における、IS(虚血性脳卒中)、頭蓋外出血(ECH)、頭蓋内出血(ICH)の発症の季節変動は、一貫して冬の期間(12~1月)に増加していた。

また、夏の期間(6~8月)に、頭蓋外出血(ECH)の小さなピーク(21/73人)が観察され、DOACsの服用患者で若干多く認められたが、秋の期間(9~11月)の頭蓋外出血(ECH)と頭蓋内出血(ICH)の発症は、DOACsの服用患者では認められなかった。

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