高齢糖尿病患者におけるサルコペニアと白質変化の関連



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32750745/

タイトル:Associations between sarcopenia and white matter alterations in older adults with diabetes mellitus: A diffusion tensor imaging study

背景:

糖尿病を罹患した高齢者は、サルコペニアになりやすい。

拡散テンソル画像解析(DTI)の研究では、糖尿病患者の大脳白質が統合性異常をきたしていることも示している。

しかしながら、白質(大脳髄質)の構造変化とサルコペニアとの関係は未だよくわかっていない。

方法:

東京都健康長寿医療センターのフレイル外来患者284例(65歳以上)を対象に、DTIを使用してFA(拡散異方性の指標)とMD(平均拡散能)を測定し、大脳白質の統合性の変化を評価した。

サルコペニア患者全体、非糖尿病のサルコペニア患者、糖尿病のサルコペニア患者の3群において、サルコペニアと診断要素(四肢骨格筋肉量、握力、歩行速度)に関連する7つの白質路(左右の前視床放線、小鉗子、左右の上縦束、左右の下前頭後頭束)とFA値、またはMD値との関連を調査した。

結果:

サルコペニア診断基準2019を満たした全てのサルコペニア患者と糖尿病患者における両側の前視床放線(ATR)と右下後頭前頭束(rIFOF)で、著しく低下したFA値、あるいは上昇したMD値が認められた。

年齢、性別、HbA1c、血圧、認知機能、身体活動、うつ病、栄養状態、炎症で調整した二項ロジスティック回帰分析により、全てのサルコペニア患者と糖尿病患者における左の前視床放線(ATR)と右下後頭前頭束(rIFOF)にFA(拡散異方性の指標)の低値との関連が示された。

J Diabetes Investig.2020 Aug 4.

結論:

左の前視床放線(ATR)と右下後頭前頭束(rIFOF)の白質変化は、糖尿病患者のサルコペニアの有病率と関連している。

これらの白質変化へのアプローチは、糖尿病患者のサルコペニア発症抑制に重要な役割を果たす可能性がある。

 

【参考情報】

サルコペニア診断基準2019

https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=13446

サルコペニア

https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/sarcopenia/about.html

高齢者における認知症や脳血管障害の発症に脳小血管病が関与する臨床的意義の解明に関する研究

https://www.ncgg.go.jp/ncgg-kenkyu/documents/29/28xx-15.pdf 

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