高齢心不全患者における介護保険レベル別の臨床的特徴と転帰



PibMed-URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32713877/ 

タイトル:Clinical Characteristics and Outcomes of Heart Failure Patients With Long-Term Care Insurance ― Insights From the Kitakawachi Clinical Background and Outcome of Heart Failure Registry ―

<概要(意訳)>

背景:

日本では、介護保険(LTCI)システムが高齢者の支援に重要な役割を果たしているが、LTCIと急性心不全患者の予後との関係を検討した臨床研究はない。

方法:

この前向き多施設コホート研究では、急性心不全で入院した1,253人が登録された。

その内、死亡退院患者と65歳未満の患者等を除き、965人を調査対象とした。

主要評価項目は、「退院後の全ての原因による死亡と心不全による再入院」の複合エンドポイントとした。

退院後6ヶ月、1年、2年、3年の時点でフォローアップを行った。

患者を①LTCIのない(支援と介護が不必要)患者、②要支援1または2を必要とする患者、③要介護1または2の患者、④要介護3〜5の患者の4つのグループに分けた。

結果:

965人における患者の年齢は80.4±7.0歳、左室駆出率(LVEF<50%)の割合は60.0%、入院期間は25.7±20.4日、併存症は「心不全既往59.1%、冠動脈疾患既往29.6%、高血圧67.7%、糖尿病34.0%、心房細動44.8%、CKD56.3%」等であった。

カプラン・マイヤー分析では、グループ①の退院後1,080日間における主要評価項目の累積発症率は、他のグループよりも低いことが確認された。

Circ J.2020 Jul 21.doi:10.1253/circj.CJ-20-0017.

潜在的な交絡因子を調整したCox比例ハザードモデルにおける、主要評価項目のリスクは、グループ①と比較して、グループ③[HR1.62(95%CI:1.22-1.98)、p<0.001]と④[HR 1.62(95%CI:1.23-2.14)、p<0.001]で有意に高かった。

しかし、グループ①と②の間に有意な差はなかった[HR 1.22 (95%CI:0.91-1.64)、p=0.165]。

Circ J.2020 Jul 21.doi:10.1253/circj.CJ-20-0017.

結論:

介護保険(LTCI)の重症度は、急性心不全患者における「退院後の全ての原因による死亡と心不全による再入院」リスクと関連していた。

LTCI患者のサブグループ解析では、要介護レベル1〜5の心不全患者は、要支援1~2の心不全患者よりも「退院後の全ての原因による死亡と心不全による再入院」リスクが有意に高かった。

Circ J.2020 Jul21.doi:10.1253/circj.CJ-20-0017.

今後、政府と医師会は、心不全患者におけるLTCIレベルの重症化を抑制し、自立を維持する為のシステムと制度を構築する必要があるだろう。

【参考情報】介護保険制度

https://www.tokyo-denshikempo.or.jp/konnatoki/40657075-kaigohoken.html 

https://kaigo.homes.co.jp/manual/insurance/about/

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