中国武漢におけるCOVID-19入院患者の死亡リスク因子と臨床経過



PubMed URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32171076

タイトル:Clinical course and risk factors for mortality of adult inpatients with COVID-19 in Wuhan, China: a retrospective cohort study.

 <概要(意訳)>

背景:

201912月以降、中国の武漢で重度の急性呼吸器症候群コロナウイルス2SARS-CoV-2)が原因でコロナウイルス疾患2019COVID-19)が発生した。COVID-19患者の疫学的および臨床的特徴は報告されているが、死亡リスク因子および臨床経過は十分に分かってない。

 方法:

後ろ向き多施設コホート研究として、2020131日までに退院または死亡した金銀潭病院および武漢肺病院(中国武漢)に入院した全てのCOVID-19の成人入院患者(18歳以上)を対象とした。ウイルスRNA検出用の連続サンプルを含む人口統計、臨床、治療、および検査データを電子医療記録から抽出し、生存者と非生存者との間で比較した。単変量および多変量ロジスティック回帰分析により、院内死亡リスク因子を検討した。

 結果:

191人の患者(金銀潭病院から135人、武漢肺病院から56人)の内、137人が退院し、54人が病院で死亡した。 91人(48%)の患者に併存症があり、高血圧が最も多く58人(30%)、続いて糖尿病36人(19%)、冠動脈疾患15人(8%)であった。

多変量ロジスティック回帰分析による主な院内死亡リスク因子は、高齢(オッズ比1.1095CI: 1.03-1.17p = 0.0043)、SOFA(臓器不全評価)スコア(オッズ比5.6595CI2.61-12.23; p <00001)、および1μg/ mLを超えるdダイマー(オッズ比18.4295CI2.64-128.55; p = 0.0033 )であった。

ウイルス排出期間の中央値は生存者で20.0日であったが、SARS-CoV-2は非生存者で死亡するまで検出された。生存者のウイルス排出の最長期間は37日であった。

(※バイオマーカーの経時的な変化を補足:入院時のリンパ球数は、非生存者より生存者で有意に高かった。生存者ではリンパ球数は発症後7日目に最低となり入院中に改善したが、非生存者では死亡するまで重度のリンパ球減少が観察された。

dダイマー、高感度心臓トロポニンI、血清フェリチン、乳酸脱水素酵素、およびIL-6は、生存者に比し非生存者で明らかに増加していた。

非生存者の高感度心臓トロポニンIは発症後16日目から急速に増加したが、乳酸脱水素酵素は、生存者と非生存者ともに初期段階で増加したが、生存者では13日目から減少した。)

解釈:

高齢、SOFAスコアが高く、1μg/ mLを超えるdダイマーは、臨床医が予後不良の患者を早期に識別するのに役立つだろう。感染した患者を隔離することは、ウイルス排出期間を鑑みると有効な手段である。

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