PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34035077/
タイトル:The Impact of Frailty on the Effectiveness and Safety of Intensive Glucose Control and Blood Pressure-Lowering Therapy for People With Type 2 Diabetes: Results From the ADVANCE Trial
<概要(意訳)>
背景:
ADVANCE試験に参加した2型糖尿病患者に対する厳格な血糖と血圧の管理がフレイル患者の有効性と安全性に与える影響を調査した。
方法:
Cox比例ハザードモデルを使用して、フレイル(定義:フレイル指数FI>0.21)の有無における厳格な血糖と血圧の管理が2型糖尿病患者の有効性と安全性に与える影響を推定した。
主要評価項目は、「大血管障害および細小血管障害のイベント」とした。
副次評価項目は、「全ての原因による死亡(全死亡)、心血管死、重症低血糖、低血圧/めまいによる降圧治療の中止」とした。
結果:
11,140例の被験者(平均年齢 65.8歳、女性 42.5%)の内、フレイルの割合は25.7%(n=8,275)であった。
非フレイルと比較した、フレイルの2型糖尿病患者における有効性と安全性の調整ハザード比[HR(95%CI)]は、それぞれ、
大血管障害および細小血管障害:1.90(1.74-2.07)
大血管障害:2.31(2.05-2.59)
細小血管障害:1.60(1.42-1.81)
全死亡:2.18(1.93-2.47)
心血管死:3.01(2.55-3.57)
重症低血糖:1.57(1.20-2.06)
となり、「フレイル」は「主要評価項目と副次評価項目」の独立した予測因子であることが示された。
Diabetes Care. 2021 May 25; dc202664.
「厳格な血糖管理(HbA1cの目標値≦6.5%)」をしたフレイルと非フレイルの2型糖尿病患者における有効性と安全性のハザード比で交互作用が認められた項目は、下記3項目であった。
大血管障害および細小血管障害:1.03(0.90-1.18)vs 0.84(0.75-0.94);p=0.020
大血管障害:1.10(0.92-1.31)vs 0.85(0.73-1.00);p=0.033
全死亡:1.11(0.92-1.34)vs 0.83(0.71-0.98);p=0.021
「厳格な血圧管理」をしたフレイルと非フレイルの2型糖尿病患者における有効性と安全性のハザード比で交互作用が認められた項目は、下記1項目であった。
細小血管障害:1.11(0.89-1.39)vs 0.82(0.70-0.96);p=0.030
Diabetes Care. 2021 May 25; dc202664.
結論:
試験対象集団においてフレイルを遡及的に推定することは可能であり、これらの患者は予後不良であることが示された。
非フレイルと比較して、フレイルの2型糖尿病患者に対する厳格な血糖と血圧管理のベネフィットは、減弱していた。
【参考情報】
ADVANCE試験
https://www.ebm-library.jp/diabetes/contents/detail_advance.html