PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33063949/
タイトル:High prevalence and clinical impact of dynapenia and sarcopenia in Japanese patients with type 1 and type 2 diabetes: Findings from the Impact of Diabetes Mellitus on Dynapenia study
<概要(意訳)>
目的:
本研究では、「日本人の1型糖尿病患者と2型糖尿病患者におけるサルコペニア[四肢骨格筋量低下・筋機能低下(骨格筋の質低下)]とダイナペニア[四肢骨格筋量正常・筋機能低下(骨格筋の質低下)]の有病率と臨床的特徴」を明らかにすることを目的とした。
方法:
この横断的研究では、合計1,328例の被験者が登録された。
その内訳は「1型糖尿病患者177例、2型糖尿病患者645例、非糖尿病患者506例」であった。
サルコペニアの定義は、The Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS)2019に従った。
ダイナペニアの定義は、ClarkとManiniが提唱した概念に従った。
サルコペニアおよびダイナペニアのない被験者は、健常者と定義した。
結果:
高齢者(65歳以上)の被験者における「サルコペニアとダイナペニア」の有病率は、それぞれ、非糖尿病患者で「12.2%と0.5%」、1型糖尿病患者で「42.9%と11.4%」、2型糖尿病患者で「20.9%と13.9%」となり、非糖尿病患者と比較して、1型および2型糖尿病患者の「サルコペニアとダイナペニア」の有病率は有意に高い(p<0.001)ことが観察された。
1型および2型糖尿病患者では、健常者と比較して、「サルコペニア患者」は有意に「高齢、低BMI(<18.5 kg/m2)」であり、「糖尿病性ニューロパチー(神経障害)」の合併率が高かった。
1型糖尿病と2型糖尿病の患者では、健常者と比較して、「ダイナペニア患者」は有意に「高齢」であり、「糖尿病性ニューロパチー(神経障害)」の合併率が高く、「低eGFR(<30 mL/min/1.73m2)」の割合が多かった。
J Diabetes Investig. 2021 Jun;12(6):1050-1059.
高齢者(65歳以上)の「QOL(生活の質)」において、
1型糖尿病では、健常者と比較して、「サルコペニア患者(p<0.05)」と「ダイナペニア患者(p<0.01)」の方が有意に低下していた。
2型糖尿病では、健常者と比較して、「サルコペニア患者(p<0.05)と「ダイナペニア患者(p<0.001)」の方が有意に低下していた。
さらに「サルコペニア患者」と比較して、「ダイナペニア患者」の方が有意に低下していた(p<0.001)。
高齢者(65歳以上)の「偶発的な転倒(1回以上)」において、
1型糖尿病では、健常者と比較して、「ダイナペニア患者」の方が有意に高かった(p<0.05)。
2型糖尿病では、健常者と比較して、「サルコペニアおよびダイナペニア患者」の方が有意に高かった(p<0.001)。
さらに「サルコペニア患者」と比較して、「ダイナペニア患者」の方が有意に高かった(p<0.05)。
J Diabetes Investig. 2021 Jun;12(6):1050-1059.
結論:
サルコペニアとダイナペニアの有病率は、非糖尿病患者に比し、1型および2型糖尿病患者でより高率に観察され、QOLの低下と偶発的な転倒の一因となることが示唆された。
【参考情報】
サルコペニアとダイナペニア
https://www.somethingaboutrehabilitation.com/2017/10/difference-between-sarcopenia-and.html
高齢糖尿病患者におけるダイナペニア及びサルコペニアと転倒恐怖との関連性に関する比較検
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/54/4/54_54.537/_pdf