PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33272948/
タイトル:Impacts of Glycemic Control on Intracranial Plaque in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus: A Vessel Wall MRI Study
<概要(意訳)>
背景:
2型糖尿病患者の血糖コントロールとICAD(頭蓋内アテローム性動脈硬化症)のプラークの特徴との関係は、未だ明らかになっていない。
本研究では、MRIによる頭蓋内血管壁イメージングを使用して、2型糖尿病患者の血糖コントロールと頭蓋内プラークの特徴との関連を調査した。
方法:
MRIによる頭蓋内血管壁イメージングにより、アテローム性動脈硬化症プラークが検出された合計311例の患者[男性217例(69.8%)、平均年齢63.24±11.44歳]を登録し、非2型糖尿病群、血糖コントロールが良好な2型糖尿病群、血糖コントロールが不良な2型糖尿病群の3群における頭蓋内プラークの画像特徴を分析し、グループ間で比較した。
また、アテローム性動脈硬化症の臨床的危険因子もロジスティック回帰分析を使用して分析した。
結果:
合計311例の内、281例(90.4%)が虚血性脳卒中[162例はMRI 拡散強調画像(DWI)で陽性病変(梗塞)、119例はTIA(一過性脳虚血発作)]と診断され、残りの30例はめまいであった。
また、172例(55.31%)は「非2型糖尿病(NDM)」、55例(39.57%)は「血糖コントロールが良好な2型糖尿病(GGC T2DM)」、84例(60.43%)は「血糖コントロールが不良な2型糖尿病(PGC T2DM)」であった。
2型糖尿病の罹病期間は2カ月~30年(平均8.5年)で、95例(68.35%)は経口薬を服用し、32例(23.02%)はインスリン療法を受け、12例(8.63%)は血糖降下薬の治療を受けていなかった。
NDM群[1.00(IQR 0.89-1.15)mmol L]と比較して、血糖コントロールが不良なT2DM群[0.92(IQR 0.76-1.09 )mmol L]は、HDL(高密度リポタンパク質コレステロール)が有意に低かった(p<0.05)。
3群間における「高血圧、高血圧グレード、血圧コントロール不良」の患者割合に有意な差はなく、他の臨床パラメーターについても同様であった。
全体におけるプラークの長さと厚さは、それぞれ、平均6.72mmと1.80mmであった。
「血糖コントロールが不良な2型糖尿病(PGC T2DM)」群は、「非2型糖尿病(NDM)」群と比較して、
プラーク(mm)は有意に長く[6.45(IQR 4.63-10.95) vs 4.90(IQR 3.43-7.58)、p<0.001]、
プラーク(mm)は有意に厚く[1.80(IQR 1.40-2.38) vs 1.40(IQR 1.10-2.18)、p=0.005]、
狭窄率(%)は有意に高かった[66.67(IQR 34.47-80.15)mm vs 38.52(IQR 16.67-72.67)、p<0.001]。
311例の内、227例(72.99%)で頭蓋内プラークが認められた。
頭蓋内プラークの有病率は、NDM群(63.4%)と血糖コントロールが良好なT2DM群(72.7%)よりも、血糖コントロールが不良なT2DM群(92.9%)で有意に高かった(p<0.001)。
多変量ロジスティック回帰分析を使用し、年齢、高血圧、喫煙、冠動脈疾患の既往、心血管疾患の家族歴を調整後の頭蓋内プラークの危険因子(オッズ比)は、それぞれ、
プラークの長さ:男性(OR 1.864)、血糖コントロール不良(OR 1.966)
プラークの厚さ:低HDL(OR 1.739)、血糖コントロール不良(OR 1.981)
狭窄:血糖コントロール不良(OR 1.962)
プラーク:低HDL(OR 2.046)、血糖コントロール不良(OR 5.448)
となった。
AJNR AmJ Neuroradiol. 2021 Jan; 42(1): 75-81.
結論:
2型糖尿病患者の血糖コントロール不良は、罹病期間よりも、頭蓋内アテローム性動脈硬化症プラークの長さ、厚さ、狭窄、有病率により大きな影響を与えることが示唆された。