PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32069218/
タイトル:Diet-induced weight loss alters hepatic glucocorticoid metabolism in type 2 diabetes mellitus
<概要(意訳)>
背景:
組織特異的な糖質コルチコイド代謝の変化については、合併症のない肥満と2型糖尿病で報告されている。
食事療法と運動療法で体重が減少した合併症のない肥満患者のコルチゾール代謝を改善した報告があるので、我々は2型糖尿病患者も同様の結果が得られるだろうと仮説を立てた。
本研究では、食事療法と運動療法を追加し体重減少がもたらす糖質コルチコイド代謝への影響を調査した。
方法:
2型糖尿病患者28例を旧石器時代の食事(魚、肉、野菜)を12週間継続するPD(パレオダイエット)群と1週間に180分の有酸素運動と筋力トレーニングを追加で行うPDEX(パレオダイエット・エクササイズ)群に無作為に割り付けた。
15例(10例はメトホルミン治療中)のPD群と13例(9例はメトホルミン治療中)のPDEX群における「糖質コルチコイド代謝」の測定を実施した。
評価項目は、「24時間畜尿サンプルにおける糖質コルチコイド代謝の変化、皮下脂肪における11β-HSD1のmRNA発現、経口投与されたコルチゾンから血中コルチゾールへの変換」とした。
また、高インスリン正常血糖域クランプ法を使用して体組成とインスリン抵抗性を測定し、磁気共鳴分光法によって脂肪肝を測定した。
Eur J Endocrinol. 2020 Apr; 182(4): 447-457.
結果:
食事療法(PD)群と食事と運動療法(PDEX)群ともに、体重の減少とインスリン抵抗性の改善を示した。
経口摂取した「コルチゾンの血中コルチゾールへの変換」と「尿中5α-THF+5β-THF/ THEの比率(参考:コルチゾン→THEへ還元、コルチゾール→5α-THFと5β-THFに還元)」は両群で増加を示した。
Eur J Endocrinol. 2020 Apr; 182(4): 447-457.
結論:
食事療法と運動療法の介入は、2型糖尿病患者の体重減少とインスリン抵抗性改善と同時に(肝臓で11β-HSD1が活性化し)コルチゾンから血中コルチゾールの増加をもたらした。
2型糖尿病における肝臓の糖質コルチコイド代謝の調節不全は、代謝機能障害の原因ではなく結果であることが示唆された。
【参考情報】
メタボリックシンドロームの治療標的
http://j-ca.org/wp/wp-content/uploads/2016/04/4607_7-3.pdf
コルチゾールと脂質代謝
https://www.ryudai2nai.com/doc/Lipid201201_01.pdf
コルチゾール値の解釈
コルチゾールとコルチゾンは、肝で還元されてテトラヒドロ型[それぞれ、THF(5α型、5β型)とTHE]となり、さらに肝で3位にグルクロン酸が抱合されて尿中に排泄される
https://www.okayama-u.ac.jp/user/kensa/kensa/fukujinh/17ohcs.htm
file:///C:/Users/yamazaky/Downloads/HIGASHIYAMA-Yumi-2015-A.pdf
高インスリン正常血糖域クランプ法