適切な食事療法下の2型糖尿病患者の内臓脂肪に与えるSGLT2阻害薬の影響



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27052123/ 

タイトル:Ipragliflozin effectively reduced visceral fat in Japanese patients with type 2 diabetes under adequate diet therapy

<概要(意訳)>

背景:

本研究では、日本人の2型糖尿病患者にSGLT2阻害薬を投与することによる「体組成の変化」を調査し、内臓脂肪組織の変化に関連する変数を特定した。

方法:

2014年6月~2015年2月の間に北海道大学病院の外来通院している24例の2型糖尿病患者(年齢20~75歳、HbA1c≧7.0%、eGFR≧45)を調査対象とした。

主要評価項目は、「SGLT2阻害薬(イプラグリフロジン50㎎/日)を16週間服用した後の内臓脂肪の減少」とした。

内臓脂肪は2つの異なる生体電気インピーダンス法(オムロン社:HDS-2000 DUALSCAN、インボディ社:InBody 720)で測定した。

脂肪量、除脂肪量[体重−(体重×体脂肪率)]、体水分量を含む体組成は、全身の体積重量で表示された。

骨格筋指数(SMI)は、四肢の筋肉量の合計を 身長(m)の 2 乗で割った値とした。

副次評価項目は、「体重、腹囲、空腹時血糖値の変化」を含めた。

体組成、内臓脂肪量、生化学パラメーターは、ベースライン(0週)、8週、16週で測定した。

食事と運動療法の生活習慣スコアは、ベースラインと16週で評価した。

結果:

本研究中における「性器感染症、尿路感染症を含む有害事象」は、調査対象となった24例には発生しなかった。

ベースラインの患者背景は、「年齢 52.7±11.9歳、罹病期間 9.9±4.9年、HbA1c 7.7±0.7%、BMI 28.9±5.4 kg/m、eGFR 84.3±23.8mL/min/1.73m2」であった。

SGLT2阻害薬の投与前は、SU薬(n=14)、ビグアナイド薬(n=20)、DPP-4阻害薬(n=17)、α-グルコシダーゼ阻害薬(n=5)、チアゾリジン薬(n=5)、GLP-1受容体作動薬(n=3)、インスリン(n=2)で治療されていた。

日本糖尿病学会から策定された「SGLT2 阻害薬の適正使用に関するRecommendation」に従って、3例はSU薬を減量し、5例はSU薬を中止した。

また、研究開始の直後に1例はインスリンを減量し、研究中に4例は低血糖予防の為にインスリンを減量した。

ベースラインから16週間で、体重(75.6±17.2〜73.1±17.3 kg、p <0.001)と腹囲(99±11〜96±10 cm、p =0.002)は、有意に減少した。

ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)と尿酸値も、有意に減少した。

インスリンを使用しない22例のインスリン抵抗性指数のHOMA-IRは、有意な改善が示された。

ヘマトクリット値は有意に上昇したが、eGFRは有意な変化はなかった。

総ケトン体とβ-ヒドロキシ酪酸は有意に増加したが、アセト酢酸は有意な変化はなかった。

Endodrine Journal 2016, 63(6),589-596

主要評価項目である内臓脂肪(VAT)は、8週目と16週目の両方で大幅に減少した(それぞれ、110±33から102±36と101±34 cm、p=0.005)。

(皮下脂肪)SATはVATよりも、個体差が大きかったが、16週目にも大幅に減少しました(262±93〜247±94 cm、p=0.037)。

総脂肪量は、8週目で有意に減少し(27.9±11.9〜26.9±11.8 kg、p<0.001)、16週目も減少は維持していた(26.2±11.6kg、p<0.001)。

体水分量は、8週目で有意に減少し(35.1±7.3〜34.6±7.2 kg、p<0.001)、16週目も減少は維持していた(34.5±7.4 kg、p<0.001)。

除脂肪量は、8週目で有意に減少し(44.9±9.4から44.3±9.3kg、p<0.001)、16週目も減少は維持していた(44.3±9.5kg、p<0.001)。

骨格筋量指数(SMI)も同様の変化が観察され、8週目で有意に減少し(7.5±1.1〜7.3±1.2 kg /m、p<0.001)、16週目も減少は維持していた(7.3±1.2kg/ m、p<0.001)。

最終的な体重減少(-2.49 kg)の71%は「脂肪量の減少(-1.77±1.84 kg)」、22%は「体水分量の減少(-0.55±0.80 kg)」が占めていた。

残りは、タンパク質(-0.14±0.21kg、p=0.001)とミネラル(-0.03±0.08kg、p=0.041)のわずかであるが有意な減少が占めていた。

Endodrine Journal 2016, 63(6),589-596

また、質問票を使用して食事と運動のライフスタイルスコアをベースラインと16週目で評価した。

ライフスタイルの平均総スコアには、有意な差はなかった。

食事療法と運動療法のスコアを別々に評価した場合も、有意な差はなかった。

VAT(内臓脂肪)の減少率と相関関係を示す変数を調査した。

特定された唯一の変数は、「16週間の食事療法スコア」であった(r=-0.416、p=0.043)。

Endodrine Journal 2016, 63(6),589-596

結論:

SGLT2阻害薬は、日本人2型糖尿病患者の内臓脂肪(VAT)を大幅に減少させ、代謝性パラメーターを改善した。

SGLT2阻害薬の治療メリットをより高めるには、適切な食事療法が必要であることが示された。

 

【参考情報】

骨格筋量指数(Skeletal Muscle mass Index:SMI)

サルコペニアの診断・病態・治療

https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/clinical_practice_52_4_343.pdf 

SGLT2 阻害薬による 内臓脂肪面積の変動と食事との関係

https://www.c-linkage.co.jp/dual-bia/data/2016/tr02.pdf 

SGLT2阻害薬とサルコペニア

https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/190563-1-11.pdf 

Sponsored Link




この記事を書いた人