一人暮らしの2型糖尿病患者における外来受診時の血糖変動の性差



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31932536/

タイトル:Living Alone Is Associated With Visit-To-Visit HbA1c Variability in Men but Not in Women in People With Type 2 Diabetes: KAMOGAWA-DM Cohort Study

<概要(意訳)>

背景:

一人暮らしの人口増加に伴い、一人暮らしの糖尿病患者も増加しており、その割合は推定で7~15%とされている。

実際に、一人暮らしは糖尿病発症のリスクであり、男性においては死亡リスクとの報告がある。

また、HbA1cの変動は、細小血管と大血管合併症のみならず、全ての原因による死亡のリスク因子として知られている。

ゆえに、本研究では、一人暮らしの2型糖尿病の男性と女性の血糖パラメーター、特に血糖変動との関連を評価することにした。

方法:

2014年1月~2016年1月の間に、KAMOGAWA-DM研究に登録された2型糖尿病患者を抽出した。ただし、ステロイドの使用、eGFR<30の高度腎障害、腎移植、肝移植の患者は除外した。

HbA1cの変動性を計算するには、年間5回以上のHbA1c測定が必要という報告に基づき、年間の測定回数が5回未満の患者も除外した。

HbA1cの平均、標準偏差(SD)、および変動係数(CV)は、登録開始後1年間の医療記録から抽出されたHbA1cの値を使用して計算した。

HbA1cのCVは、SD /平均HbA1c(%)として定義した。

生活習慣に関連する要因(週1回以上の運動、アルコール摂取、喫煙、一人暮らしetc)をアンケートで評価した。

結果:

合計で301人(男性:198人、女性:103人)が評価対象となった。

全体の平均年齢は68歳、糖尿病の罹病期間は10年(中央値)、平均(SD)血糖値は7.1%(6.7–7.8)であった。

一人暮らしの割合は、男性で18%(35/198)、女性で17%(18/103)であった。

一人暮らしの男性におけるHbA1cの平均(SD)は、1人暮らしでない男性と比較して、有意に高かった[7.6%(6.8–8.3])vs 7.1%(6.6–7.8)、p = 0.043]。

さらに、一人暮らしの男性におけるHbA1cのSD(四分位範囲)とCV(四分位範囲)も、一人暮らしでない男性と比較して、有意に高かった[0.39(0.17–0.62)vs 0.24 (0.16–0.36)、p < 0.001]と[0.06(0.03–0.08)vs 0.03(0.02–0.05)、p < 0.001]。

しかしながら、一人暮らしの女性では、HbA1cの平均、標準偏差(SD)、および変動係数(CV)は、一人暮らしでない女性と差はなかった[7.0%(1.0)vs 7.3%(0.8)、p = 0.252]および[0.03(0.02 -0.05)vs 0.03(0.02-0.04)、p = 0.845]。

共変量を調整した重回帰分析により、男性の一人暮らしは、HbA1cの変動(CV)と関連していた(β=0.180、p=0.005)が、女性の一人暮らしには、その関連が認められなかった(β=0.085、p=0.369)。

結論:

2型糖尿病の男性の一人暮らしは受診時のHbA1cの変動と関連していたが、女性にはその関連が認められなかった。

実臨床において、一人暮らしの2型糖尿病の男性の血糖コントロールには、注意を払う必要があるだろう。

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