糖尿病患者におけるDPP-4阻害薬の生化学的パラメータに対する影響比較



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32317005/ 

タイトル:Comparative Effect of Dipeptidyl-Peptidase 4 Inhibitors on Laboratory Parameters in Patients With Diabetes Mellitus

<概要(意訳)>

背景:

糖尿病は、慢性腎臓病、心血管疾患、NASHやNAFLDを含めた慢性肝疾患の主要な危険因子である。

ゆえに、糖尿病患者の合併症の要因を理解して、腎機能、脂質代謝、肝機能に関連した生化学パラメーターをコントロールすることは重要である。

本研究では、5つのDPP-4阻害薬が新規で治療介入となった2型糖尿病(DM)患者の生化学的パラメーターに対する影響を比較し評価した。

方法:

2型糖尿病の患者で、シタグリプチン(n = 879、50mg/日)、ビルダグリプチン(n = 253、100mg/日)、テネリグリプチン(n = 260、20mg/日)、アログリプチン(n = 237、25mg/日)、リナグリプチン(n = 180、5mg/日)のDPP-4阻害薬を新規処方された患者を対象とした。

多変量回帰分析によって、投与1年間(ベースライン、3ヶ月後、12ヶ月後)における生化学パラメーター[HbA1c、血清クレアチニン、推算糸球体濾過量(eGFR)、HDL、総コレステロール(TC)、トリグリセリド(TG)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)]への影響を比較し評価した。

結果:

インスリン、SU薬、ビグアナイド薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬、グリニニド薬、SGLT2阻害薬などの抗糖尿病治療薬が併用されていない割合は、シタグリプチン(28.6%)、ビルダグリプチン(39.1%)、テネリグリプチン(55.8%)、アログリプチン(39.2%)、リナグリプチン(49.4%)であった。

5つのDPP-4阻害薬において、HbA1cの低下効果はベースラインに比し、有意な低下が認められたが、血清クレアチニンの有意な上昇とeGFRの有意な低下が認められた。

脂質代謝(TC、TG)パラメーターに関しては、ベースラインに比し、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチンにおいて、有意な低下が認められた。

肝機能(ALT)パラメーターに関しては、ベースラインに比し、シタグリプチン、アログリプチン、リナグリプチンにおいて、有意な低下が認められた。

しかしながら、ベースラインと比し、3ヶ月後と12ヵ月後の生化学的パラメーターの平均変化は、5つのDPP-4阻害薬の間で有意な差はなかった。

結論:

本研究では、5つのDPP-4阻害薬が、血糖、腎臓、脂質、肝臓に関連した生化学的パラメーターに与える影響を示した。

DPP-4阻害薬は、忍容性の高い血糖降下薬であるが、臨床医は少なくとも12ヶ月間は生化学的パラメーターをモニターすべきだろう。

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