服用頻度別のDPP-4阻害薬間における服薬継続率とアドヒアランスの比較



PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31778076/

タイトル:Comparison of Persistence and Adherence Between DPP-4 Inhibitor Administration Frequencies in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus in Japan: A Claims-Based Cohort Study

<概要(意訳)>

目的:

日本人2型糖尿病患者における1日1回、1日2回、または週1回のDPP-4阻害薬における服薬の服薬継続率とアドヒアランスを調査する。

方法:

この後ろ向き縦断的観察コホート研究では、日本の大規模診療データベース(MDV)を使用した。

2015年5月から2017年6月の間にDPP-4阻害薬が新規処方された患者のデータを2018年5月まで1年間追跡し、UTコホート(未治療群)、PTコホート(既治療群)、全体コホート(UT+PT)の服薬継続率とアドヒアランスを評価した。

結果:

DPP-4阻害薬を処方された合計598,419人がMDVデータベースで特定された。

選択基準を満たした39,826人のうち、82.4%が1日1回、15.6%が1日2回、2.0%が週1回のDPP-4阻害薬を処方されていた。

[服薬継続率(DPP-4阻害薬から他経口血糖降下薬への変更は服薬中断とするが、DPP-4阻害薬への追加薬と服用頻度の異なるDPP-4阻害薬への切り替えは服薬継続と判断)]

全体コホートにおける服薬継続率は、1日1回DPP-4阻害薬(66.3%)は、1日2回DPP-4阻害薬(64.7%)と同等であった(HR 1.022 [95%CI:0.994–1.050]; p=.1187)が、週1回DPP-4阻害薬(38.8%)より有意に高い服薬継続率であった(HR 1.699 [95%CI:1.585–1.822]; p <.0001)。

UTコホートにおける服薬継続率は、1日1回DPP-4阻害薬(62.8%)は、1日2回DPP-4阻害薬(58.3%)より有意に高く(HR 1.053[95%CI:1.005–1.103];p=.0309)、同様に、週1回DPP-4阻害薬(12.3%)より有意に高かった(HR 3.802 [95% CI: 3.331–4.339]; p<.0001)。

PTコホートにおける服薬継続率は、1日1回DPP-4阻害薬(68.6%)は、1日2回DPP-4阻害薬(67.9%)と同等であった(HR 1.010[95%CI:0.977–1.045]; p=.5472)が、週1回DPP-4阻害薬(49.1%)より有意に高かった(HR 1.420[95%CI:1.308–1.542]; p <.0001)。

[アドヒアランス:

  1. アドヒアランス:各コホート群のベースライン人数に対する12ヶ月後の服薬継続人数の割合
  2. 平均PDC:proportion of days coveredの略称。調査対象日数に対して実際に処方した日数の比率を示す平均治療日数カバー比率。カットオフ値は0.8。]

全体コホートにおけるアドヒアランスは、1日1回は2回とともに97.8%(平均PDC=0.97)で同等であった(OR= 0.945 [95%CI:0.780–1.145]; p=.5636)。

UTコホートにおけるアドヒアランスは、1日1回は96.4%(平均PDC=0.96)、1日2回は95.6%(平均PDC=0.96)と同等であった(OR= 0.874 [95%CI:0.686–1.115]; p=.2789)。

PTコホートにおけるアドヒアランスは、1日1回は2回とともに98.8%(平均PDC=0.98)で同等であった(OR=0.979[95%CI:0.710–1.350]; p=.8979)。

週1回DPP-4阻害薬の全体コホートにおける、アドヒアランスは65.8%(平均PDC=0.74)、UTコホートでは28.5%(平均PDC=0.46)、PTコホートでは76.2%(平均PDC=0.81)となり、1日1回と2回よりも大幅に低かった(p <.0001)。

結論:

DPP-4阻害薬の中では11回の薬剤が日本で最も多く処方されている。

11回のUTコホートにおける服薬継続率は、12回より高かった。 11回のUTコホートとPTコホートにおける服薬継続率は、週1回より高かった。

 UTコホートとPTコホートにおけるアドヒアランスは、11回と12回で同等であった。 週1回のUTコホートとPTコホートにおけるアドヒアランスは、11回と2回よりも低かった。

 1DPP-4阻害薬の長期処方解禁は2016年であったので、今後の蓄積データの更なる分析が必要だろう。

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