アジアの心不全患者における心房細動の人種差



PubMed URLhttps://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32383559/ 

タイトル:Ethnic Differences in Atrial Fibrillation Among Patients With Heart Failure in Asia

<概要(意訳)>

目的:

我々は、アジアのHFpEFおよびHFrEF患者における心房細動(AF)の罹患率、臨床的相関、臨床アウトカムに関する民族的差異の特徴を調査することを目的とした。

方法:

アジア11地域で同一プロトコール、前向きに登録されているASIAN-HFレジストリー(平均年齢:61±13歳、女性:27%、HFrEF83%)」のHF患者5,504人のうち、1,383人(25%)は、AFを罹患していた。 AFの定義は、AFの既往、 ベースラインの心電図測定における心房細動(AF)、および/または心房粗動(Atrial flutter)の検出とした。

結果:

AFの臨床的相関には、高齢、脳卒中の既往、NT-proBNPの高値、左房拡大等があり、これらは民族間で類似していた。

糖尿病は、人種に関係なく、HFrEF [調整オッズ比(AOR0.7995CI 0.66-0.95]およびHFpEFAOR 0.5895CI 0.39-0.84)患者のAF罹患率は、低かった。

中国人と比較して、日本人と韓国人はHFrEF[AOR 1.7695CI1.40-2.21]患者のAF罹患率が高かったのに対し、インディアンはHFrEF[AOR 0.1895CI 0.13-0.24]、およびHFpEF[AOR 0.2895CI 0.16-0.49]患者のAF罹患率は、共変量の調整後でも低かった。

東南アジアのインディアンは南アジアのインディアンと比較して、AF[AOR 3.0195CI 1.60-5.67]の罹患率が高く、民族と地域における交互作用がインディアンの間で観察された[HFrEF患者の罹患率:北東アジア(21.2%)、南アジア(6.5%)、東南アジア(38.6%)、HFpEF患者の罹患率:北東アジア(37.4%)、南アジア(12.0%)、東南アジア(49.4%)]

AFは、人種に関係なく、QOLの低下と全ての原因による年間死亡率、またはHF入院リスクの増加と関連していた[調整ハザード比(HR1.3995CI1.18-1.63]

結論:

アジアの心不全(HF)患者における心房細動(AF)が関連する臨床的相関と有害な臨床アウトカム(心不全入院、全ての原因による死亡)は、民族間で類似していた。

しかし、民族間に大きな差異があるAFの罹患率[HFrEF患者の罹患率:中国人(27.9%)、インディアン(7.2%)、マレー人(16.8%)、日本人/韓国人(46.7%)、その他(28.3%)、HFpEF患者の罹患率:中国人(41.9%)、インディアン(16.7%)、マレー人(32.0%)、日本人/韓国人(61.6%)、その他(55.6%)]は、既存の危険因子によって説明できない。 

Sponsored Link




この記事を書いた人