急性心不全患者の死亡率に対する糖尿病の影響



PubMed URLhttps://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32359358/ 

タイトル:Impact of Diabetes Mellitus on Mortality in Patients With Acute Heart Failure: A Prospective Cohort Study

<概要(意訳)>

背景:

急性心不全(AHF)患者の3分の1以上が糖尿病(DM)を罹患しているが、DMが臨床転帰に与える影響は不明である。

本研究では、AHFで入院した患者をDMおよび左心室駆出率(LVEF)により層別化し、それぞれの転帰を比較した。

方法:

韓国の急性心不全レジストリーにおいて、5,625人の患者を登録(20113月~20192月、登録対象のDM患者は2,321人)し、追跡した。

主要評価項目は、院内死亡率、および全ての原因による死亡率(院内死亡率と全体死亡率)とした。

この主要評価項目に対するHFサブタイプ(HFrEFLVEF < 40%HFmrEF40% ≤ LVEF < 50%HFpEFLVEF ≥ 50%)と血糖コントロール(HbA1c < 7.0%、≧7.0%)における、それぞれの影響を評価した。

結果:

3.5年(中央値)の追跡期間中に、235人(4.4%)の院内死亡と2500人(46.3%)の全体死亡があった。

DMは、潜在的な交絡因子を調整後の全体死亡率の有意な増加に関連していた(ハザード比[HR] 1.1195%信頼区間[CI] 1.03-1.22)。

糖尿病の有無による全ての原因による死亡率の内訳は、院内死亡率でDM6.0%、非DM3.2%(p<0.001)、全体死亡率でDM51.6%、非DM42.4%(p<0.001)であった。

サブグループ分析において、DMは左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者の全体死亡率の増加と関連していた(HR 1.1495CI 1.02-1.27)。

 血糖コントロールが不良(退院後1年以内にHbA1c≥7.0%)な患者は、血糖コントロールが良好(HbA1c <7.0%)な患者と比較して、全ての原因による死亡率のリスクが有意に高かった(44.0vs 36.8%、log-rank p = 0.016)。

結論:

糖尿病(DM)は、特に急性心不全(AHF)で入院した左室駆出率の低い(HFrEF)患者の全死亡率に与える影響が大きかった。 退院後1年以内の血糖コントロールが良好(HbA1c <7.0%)な患者は、血糖コントロール不良患者と比較して、全ての原因による死亡率リスクが低かった。

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